オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ

文字の大きさ
36 / 120

その14 立ち入り禁止区域にて ルース視点

しおりを挟む
騎士団の区域から王族居住区域に入った。
当然普通の人は入れない。
立ち入り禁止区域だ。

少し歩いたらシャーリーの茶色の髪が見えた。
黒い髪の男もいた。

やっぱり一緒だ…。
何だか距離が近い。
何かされていないか心配だ。シャーリーの方に走った。
近づくとシャーリーが手を引っ張っられてほとんど引きづられかているように歩いているのが見えた。

「彼女を離してくれないかな?」
なんとか息を整えながら話す。
「私の妃にするのだ。」
は?今なんて言った。
シャーリーは僕のだからそれは無理だ。
それだけはいくら隣国の王太子の願いでも聞き入れてあげれない。
シャーリーが首を振る。
大丈夫。心配しなくてもいいよ。
僕はシャーリーにわかるようにうなずいた。

よく見るとシャーリーの髪にはお茶会で僕があげたリボンが付いている。
つまり紋章入りのものだ。
「分かるだろ?」
よかった。シャーリーがあのリボンをつけてくれていた。
隣国の王族の彼ならすぐにわかるはずだ。

一瞬ダマガラン王太子はシャーリーのリボンを見た。
僕の色のリボン。
さらにザイン公爵家の紋章が見えるはずだ。この紋章は隣国の王族ならわかるはずだ。
この国の王族の血を引くザイン公爵家の紋章。
「ザイン公爵家の…」
ダマガラン王太子の手が離れた隙にシャーリーが僕の方にかけより後ろに隠れた。
僕はシャーリーの手を引いてひとまずダマガラン王太子の前から足早に去った。

はっきり言ってこの間のルキシス副団長の件にしても、今回の件にしても、もう少し自覚してくれないかな。
君は可愛いい。
それに優しい。
他にもいろいろあるが、とにかくみんなを惹きつけるんだ。
ヒロインだからかもしれないがそれだけじゃない。
いいかげんに僕の家に縛り付けて外に出られないようにしてやりたいよ。
本当にこの頃怒ってばかりだ。
いいかげんにしないとシャーリーに嫌われてしまうな。
僕は無言のまま歩いていた。

「ごめんなさい…」

まあ今回はシャーリーが無事でひとまずよかった。
あんなところ巡回中の騎士に見つかっていたらまず三日は投獄だよ。
しかし、それならシャーリーは国外追放になると喜ぶんだろうか。
はぁ、ため息しかないな。

シャーリーの頬が赤くなっているのに気づいた。

「赤くなってる。」

シャーリーの頬に手を当てた。

「ちょっと光る…冷たいものをつきつけられて…」

は?剣をシャーリーに突き付けた?あいつ!絶対に許さない。

「他には。」

シャーリーが頬に手を当てて、かなり赤くなり下を向きごにょごにょと言葉を濁す。

「頬に…触れたというか…キ…スされたというか…。」

もう絶対無理。
ダマガラン王太子!生きてこの国からでれると思うな。
何で会ったばかりのあいつがそんなことをするんだ。
僕だってまだなのに。
さっきレオンハルト王太子殿下にはお願いされたが無理だ。
こいつなんてどこかで野垂れ死にしようか知ったことではない。

シャーリー、今の僕は怖いよね。
自分でも怒りを抑えられないのが分かる。シャーリーが悪いわけではない。
わかってるんだ。わかってるんだけど。
どうしたらいい?日に日に嫉妬心が湧き上がってくる。
シャーリーへの独占欲が強くなっていく。

シャーリー…。
僕が君を好きなんだと早く気づいて…。
僕はシャーリーと手を繋いでいる方を強く引っ張って彼女の頬にキスをした。

初めて触れた彼女の頬は柔らかく暖かかった。

後ろで彼女がゆでダコになっているのも知らず、赤くなった僕の顔を見られないようにするのが精一杯だった。

さっきの騎士団の友達はシャーリーのリボンに気づいていたんだ。
シャーリーが僕のものだという印。
少しずつ広まって行けばいい。
隠すことで心配なことが増えていくならもう言ってしまおう。

シャーリーは僕の婚約者なんだって。

みんながこの噂を知る頃には僕達は16歳になっているだろう。

その頃にはシャーリーの全てを手に入れよう。
何があっても彼女を手放さない。
誰にも渡さない。
僕は彼女がいい。
彼女だけでいいんだ。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜

矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】 公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。 この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。 小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。 だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。 どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。 それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――? *異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。 *「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない

あーもんど
恋愛
ある日、悪役令嬢に憑依してしまった主人公。 困惑するものの、わりとすんなり状況を受け入れ、『必ず幸せになる!』と決意。 さあ、第二の人生の幕開けよ!────と意気込むものの、人生そう上手くいかず…… ────えっ?悪役令嬢って、家族と不仲だったの? ────ヒロインに『悪役になりきれ』って言われたけど、どうすれば……? などと悩みながらも、真っ向から人と向き合い、自分なりの道を模索していく。 そんな主人公に惹かれたのか、皆だんだん優しくなっていき……? ついには、主人公を溺愛するように! ────これは孤独だった悪役令嬢が家族に、攻略対象者に、ヒロインに愛されまくるお語。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

処理中です...