血と束縛と

北川とも

文字の大きさ
84 / 1,289
第5話

(17)

しおりを挟む
 舐められ、たっぷり唾液で湿らされてから、三田村の指がゆっくりと内奥に挿入される。愛撫で蕩けさせられたその場所は、嬉々として指を締め付け、和彦のその反応に応えるように、三田村の指が内奥の粘膜と襞を擦り上げる。
「はあっ……、あっ、はっ……、んああっ」
 和彦の内奥を解しながら、三田村は片手でワイシャツのボタンを外し、スラックスの前を寛げる。
 三田村の準備が整うと、和彦は両腕を伸ばして求めていた。
「んうっ――」
 熱く滾った三田村のものが、ぐっと内奥に押し込まれる。和彦は苦しさに小さく喘ぎながら、三田村の肩に額をすり寄せる。一方で、もどかしい手つきで三田村のワイシャツを脱がせていく。
 思った通り、三田村も刺青を入れていた。ただ、賢吾とは違い、肩や腕、腿にかかるほど大きなものではなく、背一面にのみ彫られているものだ。
 どんな刺青なのか早く見たいと思いながら、刺青を入れた人間特有の、少しざらついた肌をてのひらで撫でる。その感触に促されるように、三田村のものが力強く内奥に捩じ込まれた。
「ああっ、あっ、あっ、あうっ……」
 三田村のものをきつく締め付けて、和彦は絶頂に達していた。迸らせた精によって下腹部が濡れるが、三田村は気づいていないらしく、ひたすら腰を突き上げてくる。和彦も、絶頂に達した余韻に浸る間もなく、内奥を強く擦り上げられる肉の愉悦に酔わされる。
 単調な律動が、狂おしいほど気持ちいい。求めていた男の欲望を、自分の体のもっとも淫らな部分に突き立てられるたびに、官能が迸り出てくるようだ。
 頭上のクッションを握り締めて乱れる和彦の首筋に、三田村の熱い愛撫が施される。和彦が掠れた声でせがむと、軽く噛み付かれた。その刺激に、内奥が物欲しげな収縮を繰り返す。
 三田村が上体を起こし、和彦は両膝を掴まれて足を大きく左右に開かれる。何人もの男たちに見られているが、繋がっている最中の秘部を観察される羞恥にだけは慣れない。だからこそ、羞恥するたびに感度が高まる。
 三田村はこんなときにも無表情で――だが、猛った欲望を、和彦の内奥に何度も打ち込んでくる。奥深くまでしっかりと突き上げ、ときには蕩けた内奥を大胆に掻き回しながら、念入りに和彦を愛してくれる。
「気持ちいいんだろ、先生。……あんたの体の反応は、一度間近でしっかりと観察して、自分なりにあれこれと試してみたことがあるからな」
 一瞬、三田村がなんのことを言っているのかわからなかったが、引き抜かれたものを一気に突き込まれた衝撃で思い出した。
「先生を拉致してきて、組長の命令で先生の尻をおもちゃで嬲りながら、気づいた。ここを突くと――」
 微妙な角度をつけて、三田村が内奥の襞と粘膜を擦り上げてくる。和彦は声にならない悲鳴を上げて仰け反っていた。
「きつくおもちゃを締め付けながら、先生の内股が震えていた。……やっぱり、ここが感じるんだな。中が、ビクビクと痙攣してる。ずっと、どんなふうに反応するのか、確かめたかったんだ」
 もう一度同じ攻めを与えられ、目から涙が溢れる。その涙を唇で吸い取られてから、内奥には三田村の熱い精を注ぎ込まれていた。


 死を覚悟したセックスは、麻薬じみた快感を味わわせてくれる。どうせ奪われるのならと、命を削ることすら惜しまない激しさのせいかもしれない。
 三田村と唇と舌を貪り合いながら、和彦は水音を立てて腰を前後に揺らす。すると三田村の手が尻にかかり、下から強く突き上げられる。湯に浸かっているせいで、簡単に浮く体が不安定なため、三田村の首に両腕を回してしがみついた。
「あっ、あっ、あうっ……」
 普段は無表情で感情を表に出すことが少ない三田村だが、欲望は隠すことなく和彦にぶつけてくれる。
 ベッドの上でさんざん絡み合い、求め合ってから、浴室に移動して体を洗っていたが、そこでも三田村に求められる。湯を溜めた広いバスタブの中で和彦は、三田村の腰に跨って繋がることで、男の欲望に応えていた。
 繋がっている部分を指でなぞられ、和彦は腰をくねらせて三田村のものをきつく締め付ける。心地よさそうに三田村が目を細めたのを見て、胸が疼いた。
 三田村のあごにうっすらと残る細い傷跡を舌先でなぞり、招き入れられるまま口腔に舌を差し込み、まさぐる。
「ずっとこのままでいたい……」
 舌を解いてから和彦が囁くと、三田村も吐息を洩らすように応じてくれる。
「……ああ」
「すごく、体の相性がいいみたいだ」
「ああ、よく、わかる。厄介なぐらい、先生の体は具合がいい」
 この言い方がなんとも三田村らしくて、思わず和彦は声を洩らして笑っていた。そしてまた三田村と唇を啄ばみ合い、舌先を触れ合わせてから、胸に三田村の頭を抱き締める。

しおりを挟む
感想 92

あなたにおすすめの小説

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

奇跡に祝福を

善奈美
BL
 家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。 ※不定期更新になります。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。

オム・ファタールと無いものねだり

狗空堂
BL
この世の全てが手に入る者たちが、永遠に手に入れられないたった一つのものの話。 前野の血を引く人間は、人を良くも悪くもぐちゃぐちゃにする。その血の呪いのせいで、後田宗介の主人兼親友である前野篤志はトラブルに巻き込まれてばかり。 この度編入した金持ち全寮制の男子校では、学園を牽引する眉目秀麗で優秀な生徒ばかり惹きつけて学内風紀を乱す日々。どうやら篤志の一挙手一投足は『大衆に求められすぎる』天才たちの心に刺さって抜けないらしい。 天才たちは蟻の如く篤志に群がるし、それを快く思わない天才たちのファンからはやっかみを買うし、でも主人は毎日能天気だし。 そんな主人を全てのものから護る為、今日も宗介は全方向に噛み付きながら学生生活を奔走する。 これは、天才の影に隠れたとるに足らない凡人が、凡人なりに走り続けて少しずつ認められ愛されていく話。 2025.10.30 第13回BL大賞に参加しています。応援していただけると嬉しいです。 ※王道学園の脇役受け。 ※主人公は従者の方です。 ※序盤は主人の方が大勢に好かれています。 ※嫌われ(?)→愛されですが、全員が従者を愛すわけではありません。 ※呪いとかが平然と存在しているので若干ファンタジーです。 ※pixivでも掲載しています。 色々と初めてなので、至らぬ点がありましたらご指摘いただけますと幸いです。 いいねやコメントは頂けましたら嬉しくて踊ります。

帝は傾国の元帥を寵愛する

tii
BL
セレスティア帝国、帝国歴二九九年――建国三百年を翌年に控えた帝都は、祝祭と喧騒に包まれていた。 舞踏会と武道会、華やかな催しの主役として並び立つのは、冷徹なる公子ユリウスと、“傾国の美貌”と謳われる名誉元帥ヴァルター。 誰もが息を呑むその姿は、帝国の象徴そのものであった。 だが祝祭の熱狂の陰で、ユリウスには避けられぬ宿命――帝位と婚姻の話が迫っていた。 それは、五年前に己の采配で抜擢したヴァルターとの関係に、確実に影を落とすものでもある。 互いを見つめ合う二人の間には、忠誠と愛執が絡み合う。 誰よりも近く、しかし決して交わってはならぬ距離。 やがて帝国を揺るがす大きな波が訪れるとき、二人は“帝と元帥”としての立場を選ぶのか、それとも――。 華やかな祝祭に幕を下ろし、始まるのは試練の物語。 冷徹な帝と傾国の元帥、互いにすべてを欲する二人の運命は、帝国三百年の節目に大きく揺れ動いてゆく。 【第13回BL大賞にエントリー中】 投票いただけると嬉しいです((꜆꜄ ˙꒳˙)꜆꜄꜆ポチポチポチポチ

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

処理中です...