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第1章 劣等生の復讐 第1部 新たなる可能性

第18話 新たな可能性

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 降魔のマナ適合率を100%に変更しました。
 でないと色々と辻褄が合わないので。
 それに伴い章も変更しました。
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 双葉の目の前に降魔が座り、今か今かと目を輝かせて待っている。
 双葉はその目線に少し照れと誇らしさを感じながら、コホンッと1つ咳払いをして話し始めた。

「まず召喚魔術の基本は分かっているでしょう?」
「勿論だ。様々な文献を読んでいる」

 降魔は自信たっぷりに頷く。
 確かに3年間、既に学園にある召喚魔術の文献は勿論、ほとんど全ての文献を読み終えている降魔にとって、分からない物など【喪失魔術ロスト・マジック】以外存在しない。

「まぁそうよね。でも一応もう1度おさらいしておくわ。これは先程まで知らなかったと思うけど、まず——召喚魔術は空間魔術の超劣化版よ。しかしそれでも空間魔術の概念も入っているから複雑な魔術式になっているわ。そして術士の召喚適合率に関わらず発動自体は誰でもできるわ。だって魔導バングルにしっかり入っているし、魔力を流すだけで発動してくれる数少ない魔術だからね。召喚適合率が関わるのは召喚獣の強さだけ。これが常識よ」
「まぁ概ね文献に書いてある通りだな。それでこれからが俺の知らない事か?」
「ええ、そうよ」

 降魔の問いに対して断言した双葉に、期待が更に広がる。  
 
「これが1番大切なのだけど、召喚魔術だけにはある特性があるのよ」
「ある特性……?」
 
 降魔は首を傾げる。
 それを見た双葉は丁寧に説明を始めた。

「まず結論から言うと、適合率が高いほど——召喚魔術の難易度が上がるわ」
「———…………は? どう言う事だ? マナを多く流さないといけないから制御が難しいと言う話か?」

 降魔は自分なりに考察してみるが、双葉は首を横に振って否定した。

「それはどの魔術でも一緒だから違うわ」
「ならどうして難易度が上がるんだ?」
「八条は適合率って一体なんだと思う?」

 質問を質問で返された降魔は眉を寄せながら考える。

(適合率とは何か……。今まで深くは考えた事がなかったが、確かによく考えればそれが1番の謎だな。マナは既に新しい元素として登録されていて、大分研究も進んでいる。しかし——適合率は体がマナにどれくらい拒否反応を示すかで決まるという事しか聞かされていない。まぁマナ適合率はこれできちんと測れるだろうが、召喚適合率はどうやって測っているんだ? それに召喚魔術は召喚獣を呼ぶ時に一体何処と何処を繋げているんだ? と言うか———)

「———ぃ。ぉ——い、八条——八条!」
「んはっ!? な、何だ龍川……」
「何だ、じゃないわよ! さっきからボーッとして全然私の言葉に反応しないし……」
「あ、ああ悪かった、少し考え事をしていたんだ……。本当にごめんな」

 降魔はプンプン怒っている双葉に謝ると、双葉は『別に本気で謝られるほどの事ではないわよ……』と不服そうに漏らしながらも、直ぐに機嫌は元通りになった。

「そ、それじゃあ続きを話していくわよ。適合率―――召喚適合率はね――マナとは全く関係ないの」
「…………そうだったのか……」

 双葉の衝撃的な発言に納得する降魔。 
 降魔の今まで1番悩んでいたことが解決した瞬間だった。

(マナ適合率と関係ない、か……。だから俺の召喚適合率があんなに低かったのか……。と言うことは、俺の適合率は間違いなく10%と言うことか……?)

「龍川の言っている事から考えると、一般人でも召喚適合率が高い事があるのか……?」
「……ええそうよ。基本はないのだけど、偶にマナ適合率が10%未満でも召喚適合率が50%を超える人も現れるわ」
「だがそんなこと聞いたことが……」
「当たり前じゃない。当然マナ適合率が低かったらその事は伝えないわ。もし危険なことをして死んでしまったらいけないもの」

 降魔は双葉の言い分に『なるほどな……』と頷く。

(確かにもし召喚適合率が高かったら、危険と分かっていても魔術を使う奴が現れるかもしれないもんな)

 降魔がそう考えていると、双葉が降魔を指さして言う。

「それで今の八条――貴方がそれに当てはまるわね」
「まぁそうだな。俺は召喚魔術以外は使えるが、召喚魔術はからっきしだからな」
「そもそも召喚適合率は、謂わば―――マナと同じく体質なのよ。でもマナとは全くの別物だから、マナ適合率が高くても決して召喚適合率が高いわけじゃない」
「だから人それぞれ違いがあると」
「その通りよ。私は偶々どちらも適合率が高かっただけ。貴方はマナの適合率は高かったけれど、召喚適合率は低かったという事ね」

 双葉は『もしくは――』と話を続ける。

「―――貴方の召喚適合率が高すぎると言う場合」
「―――ッッ!!」

 降魔はその言葉を聞いて全身の細胞が歓喜しているのを感じた。
 そして降魔の思考は新たな視点を取り入れた事によって召喚魔術の新たな可能性に気づく。

「―――同化……」

 降魔は自身の頭脳が導き出した答えを漏らす。
 そこで双葉は『そう!』と言い、

「私は貴方が召喚魔術を使っている所を見て違和感を感じていたの。どうしてってね。そこで私は1つの可能性に気付いたのよ」
「……召喚獣が体に定着されすぎていて体外に顕現させれないと言うことか……」
「そう考えれば辻褄が合うのよね。だから私は八条降魔、貴方の召喚適合率は100%を遥かに超えていると考えているわ」

 『だから――』と双葉は降魔の手を取って弾む声色で言う。

「私達で作ってみない? 召喚魔術を超える新たな魔術を―――」

 降魔はその言葉を聞いた途端、一切の躊躇なく――

「ああ、是非ともやらしてくれ」

 双葉の手を握り返していた。


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 やっとタイトルの特殊の部分に触れることが出来ました。
 という事でこの章はこれにて完結です。
 次回からは魔術の開発に入ります。


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