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第1章 天然勇者の依頼事
あんた…バカじゃないの?
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◇◇
「あんた!バカじゃないの!?」
えんじ色を基調とした丈の短いワンピースに黒のローブをはおった八頭身の美女が、目の前の少年を周囲も驚くほどの大きな怒声でしかりつけている。
長いストレートでつややかな烏羽色の髪、それに切れ長目で薄い唇の綺麗な顔立ちの持ち主だ。彼女の炎のような激しい怒りに、彼女がいる酒場の空気が凍りついていた。
「こ…こんなにお金払ったの!!?しかも全額前金で!?バッカじゃないの!!この天然勇者!あんたなんか魔物に食われちまえばいいんだわ!」
どうやらその怒りの矛先は勇者クリフらしい。
彼はその美女に怒られている意味がよく分からずに、ポケっとした顔をしている。
「ちょ、ちょっとマリセラ、言い過ぎだと思うのだけど…」
そう言って、マリセラと呼ばれた美女とクリフの間に入ったのは、少したれ目の目じりには泣きほくろ、ぷるっとした唇の、幼さの残る可愛い顔立ちをした少女であった。
「ミレーヌは黙ってて!このバカ勇者!どうするのよ!?今回依頼した仕事のせいで、私たちは一文無しになったのよ!!今日の宿代だってないじゃない!」
ミレーヌの制止などお構いなしに、マリセラがクリフに詰め寄る。
するとどこまでも前向きで天然な勇者は、満面の笑顔で答えた。
「金がないなら野宿をすればいいさ!僕たちは勇者一行だ。世界平和のためなら、一文無しでも構わない!なぜならお金では買えない栄光が僕らを待っているからだ!さぁ、行こう!みんな!」
と、突然立ち上がって、大股で、意気揚々と酒場をあとにした。
「ちょっと!待ちなさいよ!!まだ話は終わってないんだから!ベルナルド!ここの会計はあんた持ちだからね!」
マリセラが、近くにいたベルナルドをキリッと睨みつけてそう命じると、ベルナルドは即座に反論した。
「おい!なんで俺が!?」
「あんたが勇者についていながら、金を巻き上げられたのよ!半分はあんたの責任なんだから!」
「ちょっと待てよ!俺は『バカ勇者が何しでかすか分からないから、あんたがついていけ』ってお前が命じたから、ついていっただけだぞ!なんで俺のせいになるんだよ!?」
「ついていけってことは、こんな事態にならないように見張ってくれって事でしょ!まったく筋肉バカはこれだから…」
マリセラは「やれやれ」と言わんばかりに、首を振ると、ぐうの音もでないベルナルドは
「く…」
と、唇を噛んで悔しがるしか出来なかった。
「マリセラ、クリフがどっか行っちゃうよ?追わなくていいの?あ!これ美味しい」
のんびり屋のミレーヌが、目の前のつまみを幸せそうに頬張りながら、マリセラに尋ねた。
「はぁ…どいつもこいつも…こんな人たちと魔王を倒しにいかなきゃならないなんて…お先真っ暗だわ…」
マリセラは今までとこれからの苦労を肩の重荷に感じて、背中を曲げるように大きなため息をついた。
そして、この理不尽な状況の原因となった相手に、憎悪の黒い炎を心の中でたぎらせていた。
「コウガ・サユリ…いつか八つ裂きにしてくれるわ!その首洗って待っておけ!」
◇◇
少しだけ時間を戻す。
威勢よく自己紹介をしながらギルドに入ってきた勇者を、
「まぁ!あなたが、かの有名な勇者さまですか!?
私はコウガ・サユリと申します!どうぞお見知り置きを」
と、いかにも営業スマイルで、出迎える姉ちゃん。
さっきから鼻腔が開きっぱなしなんだが、勇者とやらはそんな事に気付きもしていない。もちろん気付いていたところで、それが何を意味しているかなど、俺にしか分からないのだろうが…
「やあ!君はこのギルドの人かい?僕は一つ頼みたい仕事があってここに来たのだが…」
姉ちゃんの目がキラリと光る。幸か不幸か、今の問いかけを『本当の』ギルドの受付である、クララは気付いていないようだ。脇目も振らずに、俺の仕事を探し続けている。なんて健気なんだ、クララ。
すると姉ちゃんがその問いに対して、慇懃に答えた。
「いえいえ、私はこのギルドの者ではございません。しかし、私の所属している商会では、様々な人の仕事の依頼と、それをこなすのに最適な人物の斡旋をしておりまして…勇者さまのお役に立てると思いますよ」
「おお!これは渡りに舟というやつだ!今日の僕は運がいい!」
いや、絶対に不運だと思うぞ。
姉ちゃんに目をつけられた時点で…
「あらあら、喜んでいただけて私も嬉しいですわ。
ところで早速どんなお仕事を依頼したいのか、お聞きしても?」
「ああ!もちろん!実は…」
そうもったいつけると、勇者クリフはぐるりとギルドを一周した。その行動に何の意味があるかは不明だ。
そして、鞘に収めたままの剣を「ドン!」と床につきつけると、天にも届くかと思われるような大声で、仕事の内容を話した。
「魔王城の見取り図を作って欲しい!」
シーン…
あまりの端的かつ、とんでもない内容に、流石の姉ちゃんも、若干引き気味で黙りこくった。
もちろん俺も「こいつバカじゃねえの?」と口には出さないが、痛い子供を見るような哀れな視線を勇者に送っていた。
もちろん言い出しっぺの本人は、鼻の穴を膨らませて、「冗談のカケラもありません!」と言わんばかりに、ドヤ顔をこちらに向けている。
ここで一つ言っておかねばならぬ事がある。
それは、この「天然」勇者さまの依頼がどれだけ非現実的か、という事だ。
理由その一。魔王城に辿り着いた人間がそもそもいない。
場所そのものは判明しているが、そこに至るまで、いくつもの山を越え、迷宮のような森を抜けなくてはならないのだ。あのじいちゃんでさえも、何度も侵入を試みたが、その都度失敗に終わった。その為、見取り図を作る前に、辿り着くのが不可能と言えるのである。
そして理由その二。
魔王城が難攻不落の迷宮な上に、そこに詰めている魔物たちは、とんでもなく強い者ばかりである。
見つかれば最後、勇者とその仲間たちが力を合わせなくては、絶対に敵わないであろうと思われる。とてもじゃないが、こっそり忍び込んで仕事をこなせるような、甘い場所ではないのだ。
以上二点の理由から、こんな仕事を頼むヤツもバカなら、それを受けるヤツがいたら、もっと大バカと言えるだろう。
「姉ちゃん、ここは一つ…ガツンと言ってあげなよ」
と、俺は親切に姉ちゃんにこっそり耳打ちした。暗に、「お前はバカか?」と言ってやれって意味だ。
姉ちゃんは大きく頷いた。その瞳からは強い決意がうかがえる。
さあ、姉ちゃん!
勇気を持って、この天然勇者にかましてやれ!
「この仕事…受けさせていただきます!」
「うんうん…って…ええぇぇぇ!!?」
俺がつっこむ間もなく、姉ちゃんが続ける。
「報酬は前金で1万。もし魔王城に辿り着く事が出来なかったら、全額返金。
辿り着いた時点で、それまでの道のりの地図の完成ということで、半分は確定。
魔王城の全ての部屋の見取り図が完成したら、残り半分の報酬が確定。
命のリスクを伴う仕事だし、これが最低条件だわ」
今度は姉ちゃんが「どうだ!?」と言わんばかりに、勇者の顔を覗きこんでいる。
ベルナルドが勇者にこっそりと耳打ちしているが、その大きなダミ声は、周囲に丸聞こえだ。
「騙されちゃいかんぜクリフ…目の前のコウガ・サユリという女は、人を騙すのが上手なヤツだからな」
姉ちゃんは全く動じずに笑顔だったが、ピクリと青筋が立ったのが分かった。
あーあ、ベルナルドさん…ご愁傷さま…あとでひどい目に合うんだろうな…
しかしこのベルナルドの助言は、天然勇者の心に火をつけてしまった。
「ベルナルド!人を疑うなどもっての他だ!
よし!決めた!その提案を受けよう!
よろしく頼む!」
と、天然かつバカな勇者は、姉ちゃんのふっかけとも知らずに、仕事の請け負い人である、姉ちゃんに契約成立の握手を求めている。
「あら?勘違いさせちゃったならごめんなさい」
お…やはり単なる姉ちゃんの「ハッタリ」だったか…
騙されやすい勇者を相手に冗談を言って、からかっていただけだったんだな。
そりゃそうだよな~。
こんな仕事を受けるなんて自殺志願者としか言いようがないもんな。
「姉ちゃん!今度こそガツンと言ってやれ!」
と、俺は再び姉ちゃんに耳打ちする。
姉ちゃんは決意を込めた顔で頷く。
「こんな仕事…」
「うんうん」
「私じゃ無理だわ…だから…」
「うんうん」
俺は姉ちゃんの言葉を援護するように、相づちをうってあげた。
そして…
「だから『忍者』の資格を持つ、このコウガ・サイゾーが受けるわ!」
「うんうん…って、えええぇぇぇ!!?」
驚く俺を無視するように、勇者は強引に俺の手を取って、力強く握り締めた。
「サイゾーくん!よろしく頼んだよ!」
俺はあまりの驚きに言葉にならずに、口をパクパクさせている。
勇者はそんな俺の口の動きに合わせるように、握りしめた手を何度も上下に振っていた。
「これが前金の報酬だ。受け取ってくれ」
サッ!
俺が受け取ろうとすると、姉ちゃんが横からかっさらっていった。
そして「ひい、ふう、みい…」と札束を数えている。
そしてそれが終わると笑顔で、
「確かに全額受け取りました。毎度ありがとうございました!」
と、勇者に礼を言った。
それに対して勇者は、
「礼を言うのはこちらの方だ!サイゾー、良い報告を待っているからな!」
「あんた…バカじゃないの?」
と、とうとう自分で言うはめになったのだが、もはや誰にもその言葉は届かなかった…
◇◇
人物紹介③
名前:クリフ・グッド
性別:男
年齢:18
職業:勇者
能力:強いだが器用貧乏
腕力:B
素早さ:B
魔力:B
体力:B
器用さ:B
運:S
武器:伝説の剣
得意技:光の魔法
身長:170cm
体重:60kg
体型:中肉中背、筋肉質で締まった体
服装:マント、勇者特有の旅人の服
顔立ち:精悍、いかにも好青年、大きな瞳
髪型:針金のように固い髪質、ツンツン逆立っている髪型、金髪
「あんた!バカじゃないの!?」
えんじ色を基調とした丈の短いワンピースに黒のローブをはおった八頭身の美女が、目の前の少年を周囲も驚くほどの大きな怒声でしかりつけている。
長いストレートでつややかな烏羽色の髪、それに切れ長目で薄い唇の綺麗な顔立ちの持ち主だ。彼女の炎のような激しい怒りに、彼女がいる酒場の空気が凍りついていた。
「こ…こんなにお金払ったの!!?しかも全額前金で!?バッカじゃないの!!この天然勇者!あんたなんか魔物に食われちまえばいいんだわ!」
どうやらその怒りの矛先は勇者クリフらしい。
彼はその美女に怒られている意味がよく分からずに、ポケっとした顔をしている。
「ちょ、ちょっとマリセラ、言い過ぎだと思うのだけど…」
そう言って、マリセラと呼ばれた美女とクリフの間に入ったのは、少したれ目の目じりには泣きほくろ、ぷるっとした唇の、幼さの残る可愛い顔立ちをした少女であった。
「ミレーヌは黙ってて!このバカ勇者!どうするのよ!?今回依頼した仕事のせいで、私たちは一文無しになったのよ!!今日の宿代だってないじゃない!」
ミレーヌの制止などお構いなしに、マリセラがクリフに詰め寄る。
するとどこまでも前向きで天然な勇者は、満面の笑顔で答えた。
「金がないなら野宿をすればいいさ!僕たちは勇者一行だ。世界平和のためなら、一文無しでも構わない!なぜならお金では買えない栄光が僕らを待っているからだ!さぁ、行こう!みんな!」
と、突然立ち上がって、大股で、意気揚々と酒場をあとにした。
「ちょっと!待ちなさいよ!!まだ話は終わってないんだから!ベルナルド!ここの会計はあんた持ちだからね!」
マリセラが、近くにいたベルナルドをキリッと睨みつけてそう命じると、ベルナルドは即座に反論した。
「おい!なんで俺が!?」
「あんたが勇者についていながら、金を巻き上げられたのよ!半分はあんたの責任なんだから!」
「ちょっと待てよ!俺は『バカ勇者が何しでかすか分からないから、あんたがついていけ』ってお前が命じたから、ついていっただけだぞ!なんで俺のせいになるんだよ!?」
「ついていけってことは、こんな事態にならないように見張ってくれって事でしょ!まったく筋肉バカはこれだから…」
マリセラは「やれやれ」と言わんばかりに、首を振ると、ぐうの音もでないベルナルドは
「く…」
と、唇を噛んで悔しがるしか出来なかった。
「マリセラ、クリフがどっか行っちゃうよ?追わなくていいの?あ!これ美味しい」
のんびり屋のミレーヌが、目の前のつまみを幸せそうに頬張りながら、マリセラに尋ねた。
「はぁ…どいつもこいつも…こんな人たちと魔王を倒しにいかなきゃならないなんて…お先真っ暗だわ…」
マリセラは今までとこれからの苦労を肩の重荷に感じて、背中を曲げるように大きなため息をついた。
そして、この理不尽な状況の原因となった相手に、憎悪の黒い炎を心の中でたぎらせていた。
「コウガ・サユリ…いつか八つ裂きにしてくれるわ!その首洗って待っておけ!」
◇◇
少しだけ時間を戻す。
威勢よく自己紹介をしながらギルドに入ってきた勇者を、
「まぁ!あなたが、かの有名な勇者さまですか!?
私はコウガ・サユリと申します!どうぞお見知り置きを」
と、いかにも営業スマイルで、出迎える姉ちゃん。
さっきから鼻腔が開きっぱなしなんだが、勇者とやらはそんな事に気付きもしていない。もちろん気付いていたところで、それが何を意味しているかなど、俺にしか分からないのだろうが…
「やあ!君はこのギルドの人かい?僕は一つ頼みたい仕事があってここに来たのだが…」
姉ちゃんの目がキラリと光る。幸か不幸か、今の問いかけを『本当の』ギルドの受付である、クララは気付いていないようだ。脇目も振らずに、俺の仕事を探し続けている。なんて健気なんだ、クララ。
すると姉ちゃんがその問いに対して、慇懃に答えた。
「いえいえ、私はこのギルドの者ではございません。しかし、私の所属している商会では、様々な人の仕事の依頼と、それをこなすのに最適な人物の斡旋をしておりまして…勇者さまのお役に立てると思いますよ」
「おお!これは渡りに舟というやつだ!今日の僕は運がいい!」
いや、絶対に不運だと思うぞ。
姉ちゃんに目をつけられた時点で…
「あらあら、喜んでいただけて私も嬉しいですわ。
ところで早速どんなお仕事を依頼したいのか、お聞きしても?」
「ああ!もちろん!実は…」
そうもったいつけると、勇者クリフはぐるりとギルドを一周した。その行動に何の意味があるかは不明だ。
そして、鞘に収めたままの剣を「ドン!」と床につきつけると、天にも届くかと思われるような大声で、仕事の内容を話した。
「魔王城の見取り図を作って欲しい!」
シーン…
あまりの端的かつ、とんでもない内容に、流石の姉ちゃんも、若干引き気味で黙りこくった。
もちろん俺も「こいつバカじゃねえの?」と口には出さないが、痛い子供を見るような哀れな視線を勇者に送っていた。
もちろん言い出しっぺの本人は、鼻の穴を膨らませて、「冗談のカケラもありません!」と言わんばかりに、ドヤ顔をこちらに向けている。
ここで一つ言っておかねばならぬ事がある。
それは、この「天然」勇者さまの依頼がどれだけ非現実的か、という事だ。
理由その一。魔王城に辿り着いた人間がそもそもいない。
場所そのものは判明しているが、そこに至るまで、いくつもの山を越え、迷宮のような森を抜けなくてはならないのだ。あのじいちゃんでさえも、何度も侵入を試みたが、その都度失敗に終わった。その為、見取り図を作る前に、辿り着くのが不可能と言えるのである。
そして理由その二。
魔王城が難攻不落の迷宮な上に、そこに詰めている魔物たちは、とんでもなく強い者ばかりである。
見つかれば最後、勇者とその仲間たちが力を合わせなくては、絶対に敵わないであろうと思われる。とてもじゃないが、こっそり忍び込んで仕事をこなせるような、甘い場所ではないのだ。
以上二点の理由から、こんな仕事を頼むヤツもバカなら、それを受けるヤツがいたら、もっと大バカと言えるだろう。
「姉ちゃん、ここは一つ…ガツンと言ってあげなよ」
と、俺は親切に姉ちゃんにこっそり耳打ちした。暗に、「お前はバカか?」と言ってやれって意味だ。
姉ちゃんは大きく頷いた。その瞳からは強い決意がうかがえる。
さあ、姉ちゃん!
勇気を持って、この天然勇者にかましてやれ!
「この仕事…受けさせていただきます!」
「うんうん…って…ええぇぇぇ!!?」
俺がつっこむ間もなく、姉ちゃんが続ける。
「報酬は前金で1万。もし魔王城に辿り着く事が出来なかったら、全額返金。
辿り着いた時点で、それまでの道のりの地図の完成ということで、半分は確定。
魔王城の全ての部屋の見取り図が完成したら、残り半分の報酬が確定。
命のリスクを伴う仕事だし、これが最低条件だわ」
今度は姉ちゃんが「どうだ!?」と言わんばかりに、勇者の顔を覗きこんでいる。
ベルナルドが勇者にこっそりと耳打ちしているが、その大きなダミ声は、周囲に丸聞こえだ。
「騙されちゃいかんぜクリフ…目の前のコウガ・サユリという女は、人を騙すのが上手なヤツだからな」
姉ちゃんは全く動じずに笑顔だったが、ピクリと青筋が立ったのが分かった。
あーあ、ベルナルドさん…ご愁傷さま…あとでひどい目に合うんだろうな…
しかしこのベルナルドの助言は、天然勇者の心に火をつけてしまった。
「ベルナルド!人を疑うなどもっての他だ!
よし!決めた!その提案を受けよう!
よろしく頼む!」
と、天然かつバカな勇者は、姉ちゃんのふっかけとも知らずに、仕事の請け負い人である、姉ちゃんに契約成立の握手を求めている。
「あら?勘違いさせちゃったならごめんなさい」
お…やはり単なる姉ちゃんの「ハッタリ」だったか…
騙されやすい勇者を相手に冗談を言って、からかっていただけだったんだな。
そりゃそうだよな~。
こんな仕事を受けるなんて自殺志願者としか言いようがないもんな。
「姉ちゃん!今度こそガツンと言ってやれ!」
と、俺は再び姉ちゃんに耳打ちする。
姉ちゃんは決意を込めた顔で頷く。
「こんな仕事…」
「うんうん」
「私じゃ無理だわ…だから…」
「うんうん」
俺は姉ちゃんの言葉を援護するように、相づちをうってあげた。
そして…
「だから『忍者』の資格を持つ、このコウガ・サイゾーが受けるわ!」
「うんうん…って、えええぇぇぇ!!?」
驚く俺を無視するように、勇者は強引に俺の手を取って、力強く握り締めた。
「サイゾーくん!よろしく頼んだよ!」
俺はあまりの驚きに言葉にならずに、口をパクパクさせている。
勇者はそんな俺の口の動きに合わせるように、握りしめた手を何度も上下に振っていた。
「これが前金の報酬だ。受け取ってくれ」
サッ!
俺が受け取ろうとすると、姉ちゃんが横からかっさらっていった。
そして「ひい、ふう、みい…」と札束を数えている。
そしてそれが終わると笑顔で、
「確かに全額受け取りました。毎度ありがとうございました!」
と、勇者に礼を言った。
それに対して勇者は、
「礼を言うのはこちらの方だ!サイゾー、良い報告を待っているからな!」
「あんた…バカじゃないの?」
と、とうとう自分で言うはめになったのだが、もはや誰にもその言葉は届かなかった…
◇◇
人物紹介③
名前:クリフ・グッド
性別:男
年齢:18
職業:勇者
能力:強いだが器用貧乏
腕力:B
素早さ:B
魔力:B
体力:B
器用さ:B
運:S
武器:伝説の剣
得意技:光の魔法
身長:170cm
体重:60kg
体型:中肉中背、筋肉質で締まった体
服装:マント、勇者特有の旅人の服
顔立ち:精悍、いかにも好青年、大きな瞳
髪型:針金のように固い髪質、ツンツン逆立っている髪型、金髪
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