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第13話 ぬるい。ぬるすぎる! これがチートってやつかぁぁ!
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◇◇
生きていくのに絶対に必要なものは、『安全』『水』『食料』の3つ。
まず『安全』については、今いる草原に関して言えばまったく問題ない。
ただ『水』と『食料』については、確保のめどが立っていなかった。
そこで森を探索しに行ったというわけだ。
その成果は、まあ、想定通りと言えば想定通りだった。
まず最『水』については、森の奥で綺麗な小川が流れていることが分かった。口に含んでみたが変な味はしなかったし、腹を下すこともなかったから、飲み水としても使える。
次に『食料』については、残念ながら見つからなかった。
ウサギの一匹くらいいてもよさそうだが、動物はおろか昆虫すら見かけなかった。
かろうじて木の実が落ちていたが、食べられるかどうかは分からない。
ここでしばらく生活するとなると、当面の問題は食料だな。
ダンジョンで手っ取り早く食料を手に入れる方法は、モンスターの肉を採取することだ。
ちなみに昨日倒したグリーンドラゴンの肉なんかは高級食材として貴族たちに人気だったりする。Sランクの冒険者の中には『ドラゴンキラー』といって、ドラゴンを狩っては肉を売って財を成した者もいるくらいだ。
しかしモンスターハウスでは悠長に肉をはぎ取っている暇なんて与えてくれない。
どうしたものか……。
いや、答えは1つしかないんだよな。
後ろがダメなら前。
そう、第53層の先を進むしかない。
正確にはちょっと先までいって、モンスターの肉を手に入れてから戻ってくればいいだけだ。
無論、次のフロアもモンスターハウスだったら手詰まりだが……。
「ピートさん! おはようございます!」
この日もサンの爽やかな声で目が覚めた。
朝食を用意しながら、残りの食料を確かめる。
持ってあと5日だな。
どんなモンスターが待ち受けているか分からないから、俺自身がもっと強くなっておかないと先に進むのは危険すぎる。
「よし、今日も【やられたらやり返すシナリオ】でレベルを上げよう」
「はいっ!!」
レベルが50になってMPが600まで増えた。
単純計算で昨日の倍の時間はレベルアップにいそしむことができるに違いない。
ちょっともどかしい気もするが、あと3日ほどレベルアップに費やすことに決めていた。
◇◇
草原で暮らし始めてから10日がたった。
しかし第53層から先に進めていない。
ただし怖いわけじゃないよ。いや、本音を言えば、ちょっとビビってる。
だっていきなりとんでもなく強いモンスターが出てきて、サンたちでもかなわなかったら、たまったものじゃないから。
それに先を進まないのには、れっきとした理由がある。
ううん、違うな。
この場合「先を進む理由がなくなったから」とした方が正しいか。
『グリーンドラゴンを倒しました』
いつも通り、無機質な声が脳裏に響く。
同時に俺はモンスターハウスの中央に躍り出た。
「よしっ! 今日はドラゴンの肉でステーキだ!! サン! エアリス! あとは頼んだよ!」
「はいっ!!」
「まっかせてー!!」
サンとエアリスが倒したばかりのグリーンドラゴンのもとへ駆け寄る。
直後、再び無機質なアナウンスが流れてきた。
『狩ったらはぎ取るシナリオの発動条件を満たしました』
サンとエアリスの手に鋭いナイフがあらわれる。
そして彼女たちはドラゴンの肉をはぎ取りはじめた。
「ピートさん! 前から敵です!」
俺を守る2体のゴーレムがいなくなれば、防御に穴があくのは当然だ。
巨体を揺らしながら突進してきたのはヘルグリズリー。
凶悪な爪を俺の頭めがけて振り下ろしてきた。
「ぐへへ!! 人間め! 殺してやる!!」
「ピートさん!!」
高い声をあげたサン。
しかし彼女は離れたところにいる。
もっと言えば【ピンチシナリオ】すらセットしていないから、俺を守るゴーレムはいない。
……が、問題などまったくなかった。
――カンッ!
俺の頭はあっさりとクマの爪を弾き飛ばした。
「な……に……!?」
ヘルグリズリーがあぜんとして2歩後退する。
俺にはニタリと口角をあげた。
「どうした? 終わりか?」
「くっ! たまたまだろ! 今度こそ死ね!!」
――カン! カン! カン!
何度も爪で引っかいてきたが、そのたびに柔らかいはずの肌で跳ね返される。
挙句の果てには……。
――バキッ!
爪は根もとから折れてしまったのである。
「ウソだ……」
「いや、ウソじゃないんだな。これが」
今から5日前のことだ。
ちょうどレベル80に上がった時。
【ステータス同化】といって、使役しているモンスターとステータスを共有できるレアスキルを手に入れた。
――【物理耐性】が大幅にアップ!
――【一定ダメージ以下物理無効】を獲得!
――【精神魔法無効】を獲得!
――【魔法耐性】が大幅にアップ!
――【会心率】が大幅にアップ!
――【素手】での攻撃力が大幅にアップ!
――腕力が大幅にアップ!
――防御力が大幅にアップ
サンのステータスがそっくりそのまま俺のステータスになったわけで……。
ヘルグリズリーごときでは、俺にかすり傷一つつけることすらできないのは、むしろ当たり前。
サンはそのことを知っているはずなのに、俺がモンスターに襲われるといつも悲鳴をあげるんだよな。
「くっそぉぉ!! こうなったら絞め殺してやらぁ!!」
ヘルグリズリーが両手を上げて抱きついてくる。
だがモンスターとはいえ、おっさんに抱きしめられる趣味はない。
「よっ!」
地面すれすれに右の拳を滑らせる。
空気を切り裂きながらクマの大きな腹に吸い込まれていった。
――ドゴォォォォン!!
「ぐはぁぁぁ……」
よし! 手ごたえあり!
『ピートの攻撃! 会心の一撃! ヘルグリズリーを倒しました』
今日はドラゴンの肉でステーキだから、明日はクマ鍋にしよう。
『狩ったらはぎ取るシナリオの発動条件を満たしました』
俺がモンスターを倒し、サンたちが肉を回収する――。
こうして食料の問題はあっさりと解決した。
今くらい強ければトラビスやイライザに侮辱されずに済むかもな。
でもあんな奴らとパーティーを組むのは二度とごめんだ。
できればもう一生顔を合わせずに済ませたい。
それがかなうなら、俺はダンジョンを出れなくてもいいとまで思ってる。
さて……ドラゴンとヘルグリズリーの肉を【収納リュック】に入れたし、ルナとカーリーの様子を見にいくとするか。
生きていくのに絶対に必要なものは、『安全』『水』『食料』の3つ。
まず『安全』については、今いる草原に関して言えばまったく問題ない。
ただ『水』と『食料』については、確保のめどが立っていなかった。
そこで森を探索しに行ったというわけだ。
その成果は、まあ、想定通りと言えば想定通りだった。
まず最『水』については、森の奥で綺麗な小川が流れていることが分かった。口に含んでみたが変な味はしなかったし、腹を下すこともなかったから、飲み水としても使える。
次に『食料』については、残念ながら見つからなかった。
ウサギの一匹くらいいてもよさそうだが、動物はおろか昆虫すら見かけなかった。
かろうじて木の実が落ちていたが、食べられるかどうかは分からない。
ここでしばらく生活するとなると、当面の問題は食料だな。
ダンジョンで手っ取り早く食料を手に入れる方法は、モンスターの肉を採取することだ。
ちなみに昨日倒したグリーンドラゴンの肉なんかは高級食材として貴族たちに人気だったりする。Sランクの冒険者の中には『ドラゴンキラー』といって、ドラゴンを狩っては肉を売って財を成した者もいるくらいだ。
しかしモンスターハウスでは悠長に肉をはぎ取っている暇なんて与えてくれない。
どうしたものか……。
いや、答えは1つしかないんだよな。
後ろがダメなら前。
そう、第53層の先を進むしかない。
正確にはちょっと先までいって、モンスターの肉を手に入れてから戻ってくればいいだけだ。
無論、次のフロアもモンスターハウスだったら手詰まりだが……。
「ピートさん! おはようございます!」
この日もサンの爽やかな声で目が覚めた。
朝食を用意しながら、残りの食料を確かめる。
持ってあと5日だな。
どんなモンスターが待ち受けているか分からないから、俺自身がもっと強くなっておかないと先に進むのは危険すぎる。
「よし、今日も【やられたらやり返すシナリオ】でレベルを上げよう」
「はいっ!!」
レベルが50になってMPが600まで増えた。
単純計算で昨日の倍の時間はレベルアップにいそしむことができるに違いない。
ちょっともどかしい気もするが、あと3日ほどレベルアップに費やすことに決めていた。
◇◇
草原で暮らし始めてから10日がたった。
しかし第53層から先に進めていない。
ただし怖いわけじゃないよ。いや、本音を言えば、ちょっとビビってる。
だっていきなりとんでもなく強いモンスターが出てきて、サンたちでもかなわなかったら、たまったものじゃないから。
それに先を進まないのには、れっきとした理由がある。
ううん、違うな。
この場合「先を進む理由がなくなったから」とした方が正しいか。
『グリーンドラゴンを倒しました』
いつも通り、無機質な声が脳裏に響く。
同時に俺はモンスターハウスの中央に躍り出た。
「よしっ! 今日はドラゴンの肉でステーキだ!! サン! エアリス! あとは頼んだよ!」
「はいっ!!」
「まっかせてー!!」
サンとエアリスが倒したばかりのグリーンドラゴンのもとへ駆け寄る。
直後、再び無機質なアナウンスが流れてきた。
『狩ったらはぎ取るシナリオの発動条件を満たしました』
サンとエアリスの手に鋭いナイフがあらわれる。
そして彼女たちはドラゴンの肉をはぎ取りはじめた。
「ピートさん! 前から敵です!」
俺を守る2体のゴーレムがいなくなれば、防御に穴があくのは当然だ。
巨体を揺らしながら突進してきたのはヘルグリズリー。
凶悪な爪を俺の頭めがけて振り下ろしてきた。
「ぐへへ!! 人間め! 殺してやる!!」
「ピートさん!!」
高い声をあげたサン。
しかし彼女は離れたところにいる。
もっと言えば【ピンチシナリオ】すらセットしていないから、俺を守るゴーレムはいない。
……が、問題などまったくなかった。
――カンッ!
俺の頭はあっさりとクマの爪を弾き飛ばした。
「な……に……!?」
ヘルグリズリーがあぜんとして2歩後退する。
俺にはニタリと口角をあげた。
「どうした? 終わりか?」
「くっ! たまたまだろ! 今度こそ死ね!!」
――カン! カン! カン!
何度も爪で引っかいてきたが、そのたびに柔らかいはずの肌で跳ね返される。
挙句の果てには……。
――バキッ!
爪は根もとから折れてしまったのである。
「ウソだ……」
「いや、ウソじゃないんだな。これが」
今から5日前のことだ。
ちょうどレベル80に上がった時。
【ステータス同化】といって、使役しているモンスターとステータスを共有できるレアスキルを手に入れた。
――【物理耐性】が大幅にアップ!
――【一定ダメージ以下物理無効】を獲得!
――【精神魔法無効】を獲得!
――【魔法耐性】が大幅にアップ!
――【会心率】が大幅にアップ!
――【素手】での攻撃力が大幅にアップ!
――腕力が大幅にアップ!
――防御力が大幅にアップ
サンのステータスがそっくりそのまま俺のステータスになったわけで……。
ヘルグリズリーごときでは、俺にかすり傷一つつけることすらできないのは、むしろ当たり前。
サンはそのことを知っているはずなのに、俺がモンスターに襲われるといつも悲鳴をあげるんだよな。
「くっそぉぉ!! こうなったら絞め殺してやらぁ!!」
ヘルグリズリーが両手を上げて抱きついてくる。
だがモンスターとはいえ、おっさんに抱きしめられる趣味はない。
「よっ!」
地面すれすれに右の拳を滑らせる。
空気を切り裂きながらクマの大きな腹に吸い込まれていった。
――ドゴォォォォン!!
「ぐはぁぁぁ……」
よし! 手ごたえあり!
『ピートの攻撃! 会心の一撃! ヘルグリズリーを倒しました』
今日はドラゴンの肉でステーキだから、明日はクマ鍋にしよう。
『狩ったらはぎ取るシナリオの発動条件を満たしました』
俺がモンスターを倒し、サンたちが肉を回収する――。
こうして食料の問題はあっさりと解決した。
今くらい強ければトラビスやイライザに侮辱されずに済むかもな。
でもあんな奴らとパーティーを組むのは二度とごめんだ。
できればもう一生顔を合わせずに済ませたい。
それがかなうなら、俺はダンジョンを出れなくてもいいとまで思ってる。
さて……ドラゴンとヘルグリズリーの肉を【収納リュック】に入れたし、ルナとカーリーの様子を見にいくとするか。
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