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第40話 大金をぽーんと出すあたり、大物ですわ
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◇◇
かつて魔王アルゼオンを封印した勇者マリウスはテイマーだった――。
しかも異空間からモンスターを召喚する魔術師タイプではなく、ダンジョンに生息しているモンスターを仲間にして、彼らの力を借りて戦うタイプだったという。
勇者マリウスの仲間に加わったモンスターはみな人間に姿を変え、彼と共に穏やかに暮らしたとのこと。
うん。スキルだけで言えば俺そのものだな。
ピピの件もあったし、薄々はそうじゃないかとは思ってたよ。
でも畏れ多くも「俺ってば、伝説の勇者と同じスキル持ってるかもしれないんだよねー」なんて軽々しく言えないもんな。
そんなこと豪語しようものなら、単に痛いヤツになっちまう。
「けど、もし……もしですよ。俺が勇者マリウスと同じだとしたら、俺にも魔王を封印する力があるってことですか? そんなスキルなんて俺は身につけてませんけど」
「ふふ。いいところに気づいたね。でも残念ながら、マリウスに魔王を封印する能力があったのかは、今の時点では分かっていないんだ。もしかしたら彼の他に仲間がいたのかもしれないね」
魔王の封印ができる仲間、ね……。
さっとニックの顔が脳裏をよぎったが、慌てて消した。
「まあ、まだ焦る必要はありませんよ。『鎖の封印』さえ有効なら、アルゼオンに近づかなければいいだけですから」
「しかしその封印が狙われてるんです」
「ああ、ニック君のことだね。まったく……あの子には困ったもんだ。けど、嘆いていても仕方ない。君は第53層からスキルを使ってここまでやってきた、と言っていたね?」
「はい。用を済ませたらすぐに戻るつもりです」
「それはありがたい。今はいずれにしても君しか頼れる人はいなそうだ。アルゼオン討伐隊の編成には少し時間がかかる。本音を言えば、彼に抵抗できるだけの能力を持った人がなかなか見当たらないのだよ。もしかしたら派遣自体が見送られるかもしれない」
そりゃ、そうだよな。
下手に人数を送り込んでも犬死するのは目に見えてるし。
トラビスみたいにアンデッドにされて手先に加えられてしまうのが落ちだ。
「君が協力してくれると言うなら、これほど心強いことはない。我が国としては全力でバックアップするよ。もちろん魔王アルゼオンを討伐した折には、それなりの地位と名誉を用意しておくつもりだ」
地位と名誉ね……。
そんなもののために俺は仲間から見放されたんだよな。
「いえ、いりません。それにアルゼオンの件が片付いてもここに戻るつもりはありませんし」
「ほう? どういう意味だい?」
「ダンジョンの中にたくさん仲間たちがいますから。彼らを放置してダンジョンから出るつもりはない、ということです」
フレッドは再び目を見開いて俺を見つめる。
だがすぐに目を細くして、小さく笑みを浮かべた。
「ふふ。そうですか。うん、それもいいでしょう。勇者マリウスも晩年はダンジョンの中で過ごしたと言われていますから」
「ははっ。俺は晩年とは言わず、今のうちからダンジョンで過ごすつもりですけどね」
「それもいいでしょう。ダンジョンの中でも幸せに暮らせるパートナーもいるみたいですし」
フレッドがサンをちらりと見た。
サンはきゅっと口元を引き締めて背筋を伸ばす。
「ええ。サンは今までもこれからも大切なパートナーですよ」
「ピートさん……」
おいおい、当たり前のことを言っただけなのになんで泣きそうな顔するんだ?
「よろしい。では我が国の君に対する姿勢を示すために、これを君に差し出そう」
フレッドがパンと手を叩くと、エイミーさんが包みを持って部屋に入ってきた。
その包みの中に入っていたのは……。
「金貨……」
「ええ、10枚あります。足りないかな?」
金貨10枚で足りないか、だって……?
俺みたいな一般庶民にしてみれば、金貨1枚ですら一生に一回おがめればいい方なんだぞ!
かつて魔王アルゼオンを封印した勇者マリウスはテイマーだった――。
しかも異空間からモンスターを召喚する魔術師タイプではなく、ダンジョンに生息しているモンスターを仲間にして、彼らの力を借りて戦うタイプだったという。
勇者マリウスの仲間に加わったモンスターはみな人間に姿を変え、彼と共に穏やかに暮らしたとのこと。
うん。スキルだけで言えば俺そのものだな。
ピピの件もあったし、薄々はそうじゃないかとは思ってたよ。
でも畏れ多くも「俺ってば、伝説の勇者と同じスキル持ってるかもしれないんだよねー」なんて軽々しく言えないもんな。
そんなこと豪語しようものなら、単に痛いヤツになっちまう。
「けど、もし……もしですよ。俺が勇者マリウスと同じだとしたら、俺にも魔王を封印する力があるってことですか? そんなスキルなんて俺は身につけてませんけど」
「ふふ。いいところに気づいたね。でも残念ながら、マリウスに魔王を封印する能力があったのかは、今の時点では分かっていないんだ。もしかしたら彼の他に仲間がいたのかもしれないね」
魔王の封印ができる仲間、ね……。
さっとニックの顔が脳裏をよぎったが、慌てて消した。
「まあ、まだ焦る必要はありませんよ。『鎖の封印』さえ有効なら、アルゼオンに近づかなければいいだけですから」
「しかしその封印が狙われてるんです」
「ああ、ニック君のことだね。まったく……あの子には困ったもんだ。けど、嘆いていても仕方ない。君は第53層からスキルを使ってここまでやってきた、と言っていたね?」
「はい。用を済ませたらすぐに戻るつもりです」
「それはありがたい。今はいずれにしても君しか頼れる人はいなそうだ。アルゼオン討伐隊の編成には少し時間がかかる。本音を言えば、彼に抵抗できるだけの能力を持った人がなかなか見当たらないのだよ。もしかしたら派遣自体が見送られるかもしれない」
そりゃ、そうだよな。
下手に人数を送り込んでも犬死するのは目に見えてるし。
トラビスみたいにアンデッドにされて手先に加えられてしまうのが落ちだ。
「君が協力してくれると言うなら、これほど心強いことはない。我が国としては全力でバックアップするよ。もちろん魔王アルゼオンを討伐した折には、それなりの地位と名誉を用意しておくつもりだ」
地位と名誉ね……。
そんなもののために俺は仲間から見放されたんだよな。
「いえ、いりません。それにアルゼオンの件が片付いてもここに戻るつもりはありませんし」
「ほう? どういう意味だい?」
「ダンジョンの中にたくさん仲間たちがいますから。彼らを放置してダンジョンから出るつもりはない、ということです」
フレッドは再び目を見開いて俺を見つめる。
だがすぐに目を細くして、小さく笑みを浮かべた。
「ふふ。そうですか。うん、それもいいでしょう。勇者マリウスも晩年はダンジョンの中で過ごしたと言われていますから」
「ははっ。俺は晩年とは言わず、今のうちからダンジョンで過ごすつもりですけどね」
「それもいいでしょう。ダンジョンの中でも幸せに暮らせるパートナーもいるみたいですし」
フレッドがサンをちらりと見た。
サンはきゅっと口元を引き締めて背筋を伸ばす。
「ええ。サンは今までもこれからも大切なパートナーですよ」
「ピートさん……」
おいおい、当たり前のことを言っただけなのになんで泣きそうな顔するんだ?
「よろしい。では我が国の君に対する姿勢を示すために、これを君に差し出そう」
フレッドがパンと手を叩くと、エイミーさんが包みを持って部屋に入ってきた。
その包みの中に入っていたのは……。
「金貨……」
「ええ、10枚あります。足りないかな?」
金貨10枚で足りないか、だって……?
俺みたいな一般庶民にしてみれば、金貨1枚ですら一生に一回おがめればいい方なんだぞ!
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