英雄テイマーの後継者~無能と罵られて追放されたテイマー、伝説の勇者と同じスキルを覚醒させて巨悪に立ち向かっていく。本物のテイムを見せてやる~

友理潤

文字の大きさ
65 / 88

第65話 【閑話】ニックにざまぁするまで⑧

しおりを挟む
 真っ赤な絨毯がしきつめられたその部屋の中央に、豪華絢爛な玉座に腰をかけたご主人様。
 まさしく魔王の名にふさわしいいでたちだ。
 でも絨毯や玉座はどうやって手に入れたのだろうか。
 まあ、細かいことをあれやこれやと考えても仕方ない。
 ご主人様から直接呼ばれた幸福をかみしめようじゃないか。

「ニックよ。顔を上げよ」
「はい! 喜んでー!!」
「……うむ。その無駄に快活な掛け声はどこで覚えた?」
「さあ……。自分でも分かりません」
「そうか。まあよい。今日は貴様にプレゼントしたいものがある」

 そう告げたご主人様は僕の前にポンと石板を放り投げた。

「これは?」
「ステータスオープン、と声をかけてみよ」
「ステータスオープン?」

 と、直後に石板が光り出したかと思うと、文字が浮かび上がってきたのである。

「レベル123……。腕力、スピード、魔力、防御、全て920……」
「ククク。どうだ? 懐かしいだろう」
「これは……。ギルドにあったステータス画面ですか」
「ああ。貴様のスキルポイントを開いてみよ」

 言われるがままにスキルポイントが確認できる画面を開いてみる。
 すると表示された数字を見て、思わず「あっ!」と叫んでしまったのだ。

「ククク。どうだ?」
「13789ポイントもあります!」
「余に尽くしたおかげだ。感謝せよ」

 なるほど。ひたすら雑用をこなしてきた成果ってことだね。
 となるとピートが突然強くなったのは、パーティーの雑用をずっとこなしてきたからってことか……。

 ふんっ。なーんだ。
 彼の今があるのも、すべて僕のおかげじゃないか。
 だったら大事なものを差し出すのが礼儀ってものだろう。
 ははっ。これでサンを僕のものにする口実が整ったってわけか。

「はい! ありがとうございます!!」
「うむ。それだけじゃないぞ。スキルの中に【ステータス同化】があるであろう」

 【ステータス同化】?
 確かにある。12000ポイントも使うみたいだ。

「それを身につけよ」
「え、でも……」

 正直言って、同じ12000ポイントなら隣にある【ダメージによる痛み倍加】の方に興味が……はぁはぁ。

「迷うな!!」
「むわっ!!」

 ご主人様の一喝にビックリして思わず【ステータス同化】をプチっと押してしまった。
 でもこれで本当によかったのだろうか……。
 そもそも【ステータス同化】ってどんな効果があるのかも僕は知らない。

「ククク。それでよい。試しに……。ほら、ちょうどよい『実験台』がきた」

 ご主人様が窓の外を見ると、城の前に冒険者の2人組が目に入った。
 二人とも頭から足先まで全身を鎧で固めている。

「魔王アルゼオン!! 貴様の首はここにいるイノッチとシラーズがもらい受ける!!」
「Sランク中のSランクとも言われた俺たちの力を思い知るがいい!!」
「貴様を倒して俺たちは億万長者になるのだ!! あははは!!」

 彼らが笑い終わらないうちに、ジェレミーとマットのゾンビが背後から後頭部を殴りつけた。
 無言で気絶する二人。

「片付けてこい」
「しかしヤツらはご主人様の『犬』になるはずなのでは……」
「よいのだ。【ステータス同化】の効果をその身で確かめてみるといい」

 僕は言われたとおりに外に出てイノッチとシラーズと名乗った冒険者の前に立った。
 二人とも気絶しているようで、剣を抜いても何の反応もない。
 立ち向かってこない相手の命を絶つのは騎士道精神に反しているよね。

 ――ズブリ。

 僕は何の躊躇もなく二人の喉に剣を突き刺した。

「ガア……」
「グエ……」

 ゾンビになったイノッチとシラーズが『犬』に加わる。
 と、その瞬間、力がぐっと湧いてきた気がしたのだ。
 気のせいか確かめるべく、ステータス画面を開いてみる。
 すると腕力に『(+20)』、防御に『(+100)』と表示されているではないか。

「これが【ステータス同化】か……」

 つまり『犬』のステータスがそのまま僕のステータスになるということ。
 だから『犬』が強ければ強いほど僕も強くなれる!

「ニックよ。これからはここを襲ってきた者どもの後片付けを貴様に頼むことにしよう。その意味、分かるな?」
「は、はい! あは……あは……あははは!!」

 笑いが止まらないよ。
 だってそうだろう?
 王国のクソどもはご主人様を倒そうと強いヤツを送り込んでこようとしているのは分かってるのだから。

 もし、もしだよ。
 エンシェント・ブラックドラゴンとかいう伝説のドラゴンをどこかのバカが召喚して、ご丁寧にご主人様に盾ついてくれたら……。

 僕は最強になれる――!
 
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~

名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」 「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」 「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」 「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」 「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」 「くっ……」  問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。  彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。  さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。 「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」 「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」 「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」  拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。  これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

追放されたので、心置きなく発酵ライフ始めます〜外れスキル【万能発酵】で荒野を極上の美食国家に作り変えてたら、いつの間にか独立してました〜

黒崎隼人
ファンタジー
実家の男爵家から「物を腐らせるだけの外れスキル」と蔑まれ、不毛の地『嘆きの荒野』へ追放された三男のカイ。 しかし、彼のスキル【万能発酵】は、あらゆる微生物を自在に操り、発酵プロセスを支配するチートスキルだった! 前世の知識とスキルを駆使して、一瞬で極上の堆肥を作り、荒野を豊かな農地に変え、味噌や醤油、パンにワインと、異世界にはない発酵食品を次々と開発していくカイ。 さらに、助けたエルフの少女・リシアや仲間たちと共に、荒野はいつしか世界一の美食が集まる『穣りの郷』へと発展する。 一方、カイを追放した実家と王国は、未曾有の食糧危機に瀕しており……? 「今さら戻ってこい? お断りです。僕はここで最高の仲間とスローライフを送りますので」 発酵スキルで成り上がる、大逆転の領地経営ファンタジー、開幕!

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。 時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま! 「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」 ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは―― 公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!? おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。 「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」 精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!

借金まみれの錬金術師、趣味で作ったポーションがダンジョンで飛ぶように売れる~探索者の間で【伝説のエリクサー】として話題に~

わんた
ファンタジー
「今日中に出ていけ! 半年も家賃を滞納してるんだぞ!」 現代日本にダンジョンとスキルが存在する世界。 渋谷で錬金術師として働いていた裕真は、研究に没頭しすぎて店舗の家賃を払えず、ついに追い出されるハメになった。 私物と素材だけが残された彼に残された選択肢は――“現地販売”の行商スタイル! 「マスター、売ればいいんですよ。死にかけの探索者に、定価よりちょっと高めで」 提案したのは、裕真が自作した人工精霊・ユミだ。 家事万能、事務仕事完璧、なのにちょっとだけ辛辣だが、裕真にとっては何物にも代えがたい家族でありパートナーでもある。 裕真はギルドの後ろ盾、そして常識すらないけれど、素材とスキルとユミがいればきっと大丈夫。 錬金術のスキルだけで社会の荒波を乗り切る。 主人公無双×のんびり錬金スローライフ!

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...