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女だった
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おにぎりを食べて、隣の部屋を見るとちゃんと布団が敷いてあった。これが自分の分かもしれない。しかし春の分の布団がこっちの部屋にも、あっちの部屋にもない。部屋は二部屋しかないので、彼はどこに寝るのだろうと彼は不思議に思っていた。
そこへ春がやってきた。
「おう。どうした。ぼんやり立って。」
「どこに寝ればいいのかって。」
「お前ここに寝ろよ。」
「あんたは?」
「俺はここのいす繋げて、座布団敷いて寝る。」
「俺がそっちでいい。」
「ばーか。お前の体格なら落ちるぞ。良いから寝ろよ。」
そういって春は冷蔵庫に向かい、ビールを手にしてそれを口に含んだ。
「あー。夏は揚げ物は地獄だわ。あちいの。」
「春さん。」
「うるせぇ。鳶のバイトってことは、朝早いんだろ?早く寝ろ。」
有無は言わせないらしい。秋は渋々隣の部屋に行き布団に横になった。
数時間たっただろうか。秋は目を覚まし、体を起こした。時計のある部屋で、時間は二時。彼は立ち上がると、隣の部屋にやってきた。そこにはいすをくっつけて、座布団を布団代わりにして寝ている春がいた。
「春。」
声をかけるが、彼は何もいわない。本当に眠り込んでいるらしい。
彼は春を抱き抱えて、布団に連れて行ってやろうと思った。布団はたぶん二人で寝てもそんなにきついことはないと思う。
そっと彼を抱き抱える。すると違和感を感じた。柔らかい。まるで女のようだ。ふと彼をみる。するとさっきまでみた彼の胸元が大きく膨らんでいた。
「……女だったのか。」
春は寝ぼけたように秋にすり寄ってくる。そして譫言のように言う。
「りょうちゃん……。」
りょうちゃん?誰だ。それは。
わからないまま、布団に横にさせた。そしてその横に寝っ転がる。女を横に寝かせて寝るのなど、彼の中ではあり得ないことだった。しかし彼は女を感じない。唯一感じるのは、彼の胸元だけだった。
ふと目を覚ました。なんだかいい夢を見た気がする。春は目を覚まして、伸びをした。ん?隣で寝息がする。そう思い隣を見ると、そこには秋が寝ていた。
「え?」
一瞬焦った。まさかこれを見たんじゃないのだろうかと。自分が寝ぼけて、いつものように布団にはいっていたらセーフ。この人がここまで運んできたなら、アウト。
まぁいいや。どっちでも、早く起きないと市に間に合わない。
そこへ春がやってきた。
「おう。どうした。ぼんやり立って。」
「どこに寝ればいいのかって。」
「お前ここに寝ろよ。」
「あんたは?」
「俺はここのいす繋げて、座布団敷いて寝る。」
「俺がそっちでいい。」
「ばーか。お前の体格なら落ちるぞ。良いから寝ろよ。」
そういって春は冷蔵庫に向かい、ビールを手にしてそれを口に含んだ。
「あー。夏は揚げ物は地獄だわ。あちいの。」
「春さん。」
「うるせぇ。鳶のバイトってことは、朝早いんだろ?早く寝ろ。」
有無は言わせないらしい。秋は渋々隣の部屋に行き布団に横になった。
数時間たっただろうか。秋は目を覚まし、体を起こした。時計のある部屋で、時間は二時。彼は立ち上がると、隣の部屋にやってきた。そこにはいすをくっつけて、座布団を布団代わりにして寝ている春がいた。
「春。」
声をかけるが、彼は何もいわない。本当に眠り込んでいるらしい。
彼は春を抱き抱えて、布団に連れて行ってやろうと思った。布団はたぶん二人で寝てもそんなにきついことはないと思う。
そっと彼を抱き抱える。すると違和感を感じた。柔らかい。まるで女のようだ。ふと彼をみる。するとさっきまでみた彼の胸元が大きく膨らんでいた。
「……女だったのか。」
春は寝ぼけたように秋にすり寄ってくる。そして譫言のように言う。
「りょうちゃん……。」
りょうちゃん?誰だ。それは。
わからないまま、布団に横にさせた。そしてその横に寝っ転がる。女を横に寝かせて寝るのなど、彼の中ではあり得ないことだった。しかし彼は女を感じない。唯一感じるのは、彼の胸元だけだった。
ふと目を覚ました。なんだかいい夢を見た気がする。春は目を覚まして、伸びをした。ん?隣で寝息がする。そう思い隣を見ると、そこには秋が寝ていた。
「え?」
一瞬焦った。まさかこれを見たんじゃないのだろうかと。自分が寝ぼけて、いつものように布団にはいっていたらセーフ。この人がここまで運んできたなら、アウト。
まぁいいや。どっちでも、早く起きないと市に間に合わない。
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