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終わりの後2
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「いえ、それは…私が書いたものではありません。きっとベルアンジュが、私たちを陥れようとしたのです」
「そうですわ!」
「そうよ!そうよ!」
ベントルは何も言わないが、ずっとニヤニヤとした顔を崩さない。
「そうか、だがな、すでに王家に渡っておる」
「は?王家…どうして」
「証拠だよ、ベルアンジュへの虐待に、マリクワン侯爵家への詐欺行為、名誉棄損。正当な罰が下されるだろう」
その言葉にさすがにベントルもニヤついた顔を、驚いた顔に変えた。
「ですから、ベルアンジュがやったことで」
「自分で自分を虐待するのか?」
「それは誤解です」
「ここへ来ての言動を見れば、どう見ても事実だろう」
「いや、それは動揺しておりまして、大事な娘が亡くなったのです。驚くではありませんか」
「ふざけるな!」
「落ち着いてください、ちょっとした行き違いではありませんか」
チェイスの矛盾だらけの言い訳に、その場しのぎでしかない発言に、ソファに座っていたラオルス公爵もいよいよ腰を上げた。
「私が証言しますから、心配いりません」
「ラ、ラオルス公爵っ!」
「っえ」
「ラオルス公爵…」
皆、周りを見ることが出来ないのか、ラオルス公爵がいることにすら気付いていなかった。
「いえ、ラオルス公爵様、これは誤解で」
「どこが誤解だ、亡くなった娘に対する態度ではないだろう!」
「いえ、連絡を寄こさないから、ちょっと怒ってしまっただけで」
「私は関係ないわ!」
ラオルス公爵の登場に、急に責任転嫁したのはキャリーヌだった。
「君の手紙もきちんと渡してある」
「っな!私は関係ないわ!姉妹なんだから、冗談よ、通じるはずでしょう?」
「そんなはずないだろう?ベルアンジュはマリクワン侯爵家の人間なんだから、絶対に許すことはない」
「はあ?私は、私は」
ラオルス公爵の存在と、イサードの迫力に、チェイスのように墓穴を掘りたくない、キャリーヌはどう答えればいいか分からず、言葉に詰まった。
「ルイフォードと結婚するという妄言も、名誉棄損として報告している。手紙にも書いてあったな、気色の悪い娘だ!吐き気がする!お前が侯爵家の嫁になどなれるわけがないだろう!」
「っな!私はオーバス侯爵家に嫁ぐんだから!」
キャリーヌはまだ家族にも友人だと言い、話していなかったが、馬鹿にされて、ついにアデュエルのことを初めて口に出した。
「私はオーバス侯爵とは知り合いだが?」
「え?アデュエルよ、私の恋人なんだから」
「アデュエル?」
イサードは調べさせていたので、知っていたが、知らない振りをすると、ラオルス公爵が答えた。
「ああ、前侯爵の縁切りしてある子どもだろう?」
「縁切りしても、関係ないわ」
「関係あるよ、彼は男爵家の人間だ。侯爵家に知られたら、そちらからも訴えられるぞ?そんなお金が、ソアリ伯爵家にあるのか?」
「っな!そんなはずないわ、縁が切れても侯爵家は、侯爵家なんだから!」
キャリーヌはきちんとアデュエルから境遇は聞いていたが、前侯爵の子どもなんだから、侯爵家の権利があると、縁を切っていると言っても、聞く耳を持たなかった。
両親と兄はルイフォードに、次はキャリーヌが嫁ぐと思っていたが、キャリーヌは次に結婚するのは、私などという発言を今日はしていなかった。
「訴えられてもいいなら、言い続ければいい。もしかしたら、あちらは準備をしているかもしれないな」
「キャリーヌ、あなた騙されたんじゃないの?そうでしょう?」
窮地に陥っている上に、さらに訴えられては堪らないとノーマが声を上げた。
「そんなはずないわ、彼は私を愛しているの!」
アデュエルに盲目的になっているキャリーヌには、騙されてはいないのだが、騙されたと認めることは出来なかった。
「そうですわ!」
「そうよ!そうよ!」
ベントルは何も言わないが、ずっとニヤニヤとした顔を崩さない。
「そうか、だがな、すでに王家に渡っておる」
「は?王家…どうして」
「証拠だよ、ベルアンジュへの虐待に、マリクワン侯爵家への詐欺行為、名誉棄損。正当な罰が下されるだろう」
その言葉にさすがにベントルもニヤついた顔を、驚いた顔に変えた。
「ですから、ベルアンジュがやったことで」
「自分で自分を虐待するのか?」
「それは誤解です」
「ここへ来ての言動を見れば、どう見ても事実だろう」
「いや、それは動揺しておりまして、大事な娘が亡くなったのです。驚くではありませんか」
「ふざけるな!」
「落ち着いてください、ちょっとした行き違いではありませんか」
チェイスの矛盾だらけの言い訳に、その場しのぎでしかない発言に、ソファに座っていたラオルス公爵もいよいよ腰を上げた。
「私が証言しますから、心配いりません」
「ラ、ラオルス公爵っ!」
「っえ」
「ラオルス公爵…」
皆、周りを見ることが出来ないのか、ラオルス公爵がいることにすら気付いていなかった。
「いえ、ラオルス公爵様、これは誤解で」
「どこが誤解だ、亡くなった娘に対する態度ではないだろう!」
「いえ、連絡を寄こさないから、ちょっと怒ってしまっただけで」
「私は関係ないわ!」
ラオルス公爵の登場に、急に責任転嫁したのはキャリーヌだった。
「君の手紙もきちんと渡してある」
「っな!私は関係ないわ!姉妹なんだから、冗談よ、通じるはずでしょう?」
「そんなはずないだろう?ベルアンジュはマリクワン侯爵家の人間なんだから、絶対に許すことはない」
「はあ?私は、私は」
ラオルス公爵の存在と、イサードの迫力に、チェイスのように墓穴を掘りたくない、キャリーヌはどう答えればいいか分からず、言葉に詰まった。
「ルイフォードと結婚するという妄言も、名誉棄損として報告している。手紙にも書いてあったな、気色の悪い娘だ!吐き気がする!お前が侯爵家の嫁になどなれるわけがないだろう!」
「っな!私はオーバス侯爵家に嫁ぐんだから!」
キャリーヌはまだ家族にも友人だと言い、話していなかったが、馬鹿にされて、ついにアデュエルのことを初めて口に出した。
「私はオーバス侯爵とは知り合いだが?」
「え?アデュエルよ、私の恋人なんだから」
「アデュエル?」
イサードは調べさせていたので、知っていたが、知らない振りをすると、ラオルス公爵が答えた。
「ああ、前侯爵の縁切りしてある子どもだろう?」
「縁切りしても、関係ないわ」
「関係あるよ、彼は男爵家の人間だ。侯爵家に知られたら、そちらからも訴えられるぞ?そんなお金が、ソアリ伯爵家にあるのか?」
「っな!そんなはずないわ、縁が切れても侯爵家は、侯爵家なんだから!」
キャリーヌはきちんとアデュエルから境遇は聞いていたが、前侯爵の子どもなんだから、侯爵家の権利があると、縁を切っていると言っても、聞く耳を持たなかった。
両親と兄はルイフォードに、次はキャリーヌが嫁ぐと思っていたが、キャリーヌは次に結婚するのは、私などという発言を今日はしていなかった。
「訴えられてもいいなら、言い続ければいい。もしかしたら、あちらは準備をしているかもしれないな」
「キャリーヌ、あなた騙されたんじゃないの?そうでしょう?」
窮地に陥っている上に、さらに訴えられては堪らないとノーマが声を上げた。
「そんなはずないわ、彼は私を愛しているの!」
アデュエルに盲目的になっているキャリーヌには、騙されてはいないのだが、騙されたと認めることは出来なかった。
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