【完結】会いたいあなたはどこにもいない

野村にれ

文字の大きさ
22 / 67

義姉のお茶会(裏1)

しおりを挟む
 リリンナの迎えの馬車が一番早く着き、リリンナは帰って行った。3人はリリンナが見えなくなると、邸に戻った。

 エミーはリリンナ以外の2人には茶会の後で、リリンナのことで少し時間が欲しいと書いて送っていた。トリーヌからリリンナが社交界で敬遠されていると相談されていたからだ。その上で、今日誘っていた。

「クレミア、夜会のこと言って、場を悪くしてごめんなさい」
「え、気にしてないよ。リリンナの話って何?」
「実はリリンナ、社交界で敬遠されているようなの。それでエミーに偶然会うことがあって、相談したの。それで茶会を開こうということになって」
「じゃあ、妊娠も知ってたんだ?」
「つい最近よ?おめでとうは何回言っても問題ないでしょう?」
「それは勿論よ」

 クレミアはうふふと笑って、親指と人差し指で丸を作って、トリーヌに向けた。

「それで、夜会も誘われていないんじゃないかと思ったの」
「えっ」
「婚約者からね、リリンナが下の妹、アイレット様を馬鹿にしていて、私たちも覚えがあるじゃない?今日は上の妹の方もだったけど」
「ああ、あまり気分のいい話じゃなかったら、あまり聞いていなかったけど、前からよく言ってたよね。確か暗くて、出来が悪いとか」
「それが、アイレット様、学園で1位を落としたことがないのよ」
「えええ!落としたことがない?えっ、エミーは知ってたの?」

 クレミアは小さな顔に、チャームポイントの大きな瞳を零れ落ちそうなくらい広げて、大きな声で驚いた。エミーを見るが、驚いていない様子であった。

「私はも他の人から聞いて驚いたの。鵜呑みにする気はなかったけど、ご主人が言っていたというから、そうなのかと思っていたの。でも暗いのも、出来が悪いのもリリンナに迷惑が掛かるわけじゃないのにって」
「うんうん、そうだよ。それで、ずっと1位なの?」

 今度はクレミアは興味津々のようで、トリーヌに向けて目を輝かせている。

「そうなの、学園に通っている従姉妹に聞いたら、有名というか、もう当たり前だよって言われたわ」
「すごーい!天才じゃん」
「でしょう?だからアイレット様が1位ってことは多くの人が知っているの。それなのに、馬鹿にし続けていることが、敬遠されている理由みたいなの」
「え?私たち以外にも言ってるの?」
「そうみたいなの、やっぱりずっと1位ともなれば、気になる存在でしょう?それでアイレット様の話題にもなってしまうらしいの。そこでリリンナは暗くて、出来が悪くて恥ずかしい義妹ですけどとか」
「酷い…」
「私が話し掛けてあげているのに、愛想笑いすらしないとか」
「上から目線…」

 実の妹でも言うべきではないのに、嫁いで来ただけの義姉に、なぜそこまで言われなければならないのか。クレミアは義妹の気持ちになっていた。

「そんなこと言っていたら、皆に避けられて当然というか」
「正直、いじめているように聞こえるわよね…」
「さすがにそんなことしてないよね?」
「そう思いたいけど、あの様子だとキツイ言い方をしていそうな気もするのよね」
「確かに…」

 リリンナの口振りから優しくしているとは到底思えない3人であった。

「でも、ご家族もいらっしゃるし、リリンナは確か別邸に住んでいるって言っていたでしょう?そこまで関りがないんじゃないかしら?」
「そう思いたい…」
「ご主人もそうだったみたいだから…」
「ああ、それは…何というか」

 家族ぐるみで、馬鹿にしているということなのか、不憫でならないが、クレミアはよく1位の子をそんな扱いが出来るなと思ってしまう。私の妹だったら、天才だと褒めちぎってあげるのに。

「それがね、どうもご主人の方は訂正してらっしゃるみたいなの」
「じゃあ、リリンナは知らないってこと?それとも知ってて、あれ?」
「ご主人が謝っているくらいだから、伝えてあるでしょう」
「今日は結婚できない義妹とまで言ってたものね」
「その上の妹のアデリーナ様もアイレット様を馬鹿にしていたようだから、敬遠されて、結婚も決まらないみたい。自業自得ではあるけど、リリンナが言うことではないわよね」

 いくらアデリーナが自業自得でもリリンナが言うことではない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない

柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。 目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。 「あなたは、どなたですか?」 その一言に、彼の瞳は壊れた。 けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。 セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。 優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。 ――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。 一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。 記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。 これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

あなただけが私を信じてくれたから

樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。 一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。 しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。 処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。

るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」  色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。  ……ほんとに屑だわ。 結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。 彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。 彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。

【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った

Mimi
恋愛
 声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。  わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。    今日まで身近だったふたりは。  今日から一番遠いふたりになった。    *****  伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。  徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。  シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。  お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……  * 無自覚の上から目線  * 幼馴染みという特別感  * 失くしてからの後悔   幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。 中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。 本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。 ご了承下さいませ。 他サイトにも公開中です

処理中です...