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姉の虚言
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フォリッチ公爵は、内容をまとめる者に、無意味なアデリーナのことを抜いて、まとめるように言い、登城していたマスタール侯爵に発言を伝えに向かった。
話し始めるとマスタール侯爵は、みるみる赤く染まり、奥歯を噛みしめていた。
「謝られても困るかと思いますが、申し訳ございませんでした」
「ローグレイン大公閣下も裁判官ですから、アデリーナ嬢を信用してはいませんでしたので、その場を乱した程度で済みましたが…ちょっといただけませんな」
さすがにふざけるなと思った、あれだけ馬鹿にしていた妹から相談などされるはずがない。理不尽なことを言っていると分かっていないのか。
「申し訳ございません!アイレットがアデリーナに相談など、絶対にあり得ません」
「ええ、我が娘もあり得ないと、あまりに思考が違い過ぎると言っておりましてね。アイレット嬢は手柄などと思っていないでしょうが、アデリーナ嬢は明らかに自身の手柄だと思わせたかったのだと思います」
「何と恥ずかしい真似を…私は悪を憎むことを教えたのは事実ですが、あの子は悪を犯した者を過剰に憎むようになっておりました」
悪を憎んで人を憎まずとまでは言わないが、アデリーナは悪を犯した者を糾弾することに喜びを感じている節がある。
兄二人も同じようなものだったが、最近は変わって来ている。変えたのは紛れもなく、アイレットの存在だ。
「アイレット嬢は自身で感じたことを行っている、きちんと判別出来るのですから、人のせいにするのは誤りだと分かるでしょう。アデリーナ嬢の処遇はそちらにお任せしますが、正直、アデリーナ嬢に修道院に行ってもらって、あの場にアイレット嬢がいればと皆が思ったと思いますよ」
「その通りでございます」
「グランダール公爵夫人に話を通しましょうか」
「はい、よろしくお願いいたします」
マスタール侯爵は仕事を明日に回して、慌てて邸に帰ると、アデリーナは部屋に閉じ籠っているという。妻と息子たちにも事情を話すと、何てことをしてくれたんだと怒り、誰も行くことを知らなかったそうだ。
「行くことを分かっていれば付いてきました」
「もしかしたら、ローグレイン大公閣下に会いたかったのかもしれません」
フィーストは以前、ローグレイン大公閣下の話をした時のことを思い出していた。
「どういうことだ?」
「前にローグレイン大公閣下がいらっしゃるそうだってことを話したら、にやにやしていたので。勿論、身の程を弁えろと言ってあったのですが」
「やはりそうだったのか」
大勢の前で虚偽の発言をし、アイレットは功績などと思っていないが、妹の手柄を横取りしようとしたことは許すわけにはいかない。
「アデリーナ、どうして呼び出されたか分かるな?」
「私は悪くないわ、事実を話しただけなのに追い出されたのよ!」
「愚か者がっ!!アイレットのしたことを、自分がアドバイスをした?なぜそのような嘘を皆の前で言った?」
「嘘じゃないわ!」
「アイレットがお前に相談するはずないだろう」
理不尽に睨み付ける姉に相談するはずないと思わないのか。アデリーナが一方的に話すことはあっても、まともに話していることを見たことすらない。
正直、アイレットにとってアデリーナから、得るものはないだろう。
「されたのよ!」
「いつだ?されたのなら答えられるだろう?」
「だから3年前よ!」
「それは3年前と説明されたからだろう?」
「事実なんだから仕方ないでしょう」
「はあ…嘘だとは認めないんだな?」
後に引けない性格なのは分かるが、悪いと認めることも出来ない、反省も出来ない。我が家に相応しくないのは、アデリーナの方じゃないか。
話し始めるとマスタール侯爵は、みるみる赤く染まり、奥歯を噛みしめていた。
「謝られても困るかと思いますが、申し訳ございませんでした」
「ローグレイン大公閣下も裁判官ですから、アデリーナ嬢を信用してはいませんでしたので、その場を乱した程度で済みましたが…ちょっといただけませんな」
さすがにふざけるなと思った、あれだけ馬鹿にしていた妹から相談などされるはずがない。理不尽なことを言っていると分かっていないのか。
「申し訳ございません!アイレットがアデリーナに相談など、絶対にあり得ません」
「ええ、我が娘もあり得ないと、あまりに思考が違い過ぎると言っておりましてね。アイレット嬢は手柄などと思っていないでしょうが、アデリーナ嬢は明らかに自身の手柄だと思わせたかったのだと思います」
「何と恥ずかしい真似を…私は悪を憎むことを教えたのは事実ですが、あの子は悪を犯した者を過剰に憎むようになっておりました」
悪を憎んで人を憎まずとまでは言わないが、アデリーナは悪を犯した者を糾弾することに喜びを感じている節がある。
兄二人も同じようなものだったが、最近は変わって来ている。変えたのは紛れもなく、アイレットの存在だ。
「アイレット嬢は自身で感じたことを行っている、きちんと判別出来るのですから、人のせいにするのは誤りだと分かるでしょう。アデリーナ嬢の処遇はそちらにお任せしますが、正直、アデリーナ嬢に修道院に行ってもらって、あの場にアイレット嬢がいればと皆が思ったと思いますよ」
「その通りでございます」
「グランダール公爵夫人に話を通しましょうか」
「はい、よろしくお願いいたします」
マスタール侯爵は仕事を明日に回して、慌てて邸に帰ると、アデリーナは部屋に閉じ籠っているという。妻と息子たちにも事情を話すと、何てことをしてくれたんだと怒り、誰も行くことを知らなかったそうだ。
「行くことを分かっていれば付いてきました」
「もしかしたら、ローグレイン大公閣下に会いたかったのかもしれません」
フィーストは以前、ローグレイン大公閣下の話をした時のことを思い出していた。
「どういうことだ?」
「前にローグレイン大公閣下がいらっしゃるそうだってことを話したら、にやにやしていたので。勿論、身の程を弁えろと言ってあったのですが」
「やはりそうだったのか」
大勢の前で虚偽の発言をし、アイレットは功績などと思っていないが、妹の手柄を横取りしようとしたことは許すわけにはいかない。
「アデリーナ、どうして呼び出されたか分かるな?」
「私は悪くないわ、事実を話しただけなのに追い出されたのよ!」
「愚か者がっ!!アイレットのしたことを、自分がアドバイスをした?なぜそのような嘘を皆の前で言った?」
「嘘じゃないわ!」
「アイレットがお前に相談するはずないだろう」
理不尽に睨み付ける姉に相談するはずないと思わないのか。アデリーナが一方的に話すことはあっても、まともに話していることを見たことすらない。
正直、アイレットにとってアデリーナから、得るものはないだろう。
「されたのよ!」
「いつだ?されたのなら答えられるだろう?」
「だから3年前よ!」
「それは3年前と説明されたからだろう?」
「事実なんだから仕方ないでしょう」
「はあ…嘘だとは認めないんだな?」
後に引けない性格なのは分かるが、悪いと認めることも出来ない、反省も出来ない。我が家に相応しくないのは、アデリーナの方じゃないか。
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