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姉の進路1
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「嘘じゃないのだから、当たり前じゃない」
「もういい、誰もお前がアドバイスをしたなんて思っていないさ。妹の手柄を奪おうとしていると認識されたはずだ」
「どうしてよ!私がアドバイスしてあげたのに」
していないけど、していないということを証明出来るはずがない。
「役に立てたからいいと言ったんだろう?」
「それは建前じゃない!私が評価を受けるべきじゃない?そうでしょう?」
良きことをすれば褒められて、相応の対価を受け取るべきだ。修道女なんかになったアイレットではなく、私が受け取ればいい、姉なのだから、受け取ってもいいじゃないか。有効活用するのに何が悪いのか。
「誰もお前が言ったなんて信じないよ。愚鈍の意味を分かっているのか?」
「愚かで鈍いって意味でしょう?」
「はあ…無知でまぬけなこと、理解や判断をする力が劣る様でもある。アイレットに使う言葉ではない。分からないのか?」
「でも愚鈍には違いないじゃない。間違ってないわ」
妹に負けたくないと思うのではなく、姉だから優れていると思い込んでいるのか。
「アイレットは知っての通り、3年間1位だった。学園長が創立以来、初めてのことだから表彰したいとまで言ったんだ」
「…は?」
「辞退したがな」
「辞退?やっぱりおかしいのよ、あの子は」
狂っている、辞退するなんてあり得ない、意味が分からない。誇らしいと受け取ればいいじゃない。
実際受け取って、自慢でもしたら、運が良かっただけだと言い、認めることはない。アデリーナは理不尽でも、押し切ってしまうのだ。
「いい加減にしろ!どこがおかしい?あの子は1位を取るために勉強していたのではありません、勉強したことがたまたま1位を取っていただけなので、私には相応しくないと言ったんだ。むしろ学園長はそこが相応しいと言ったそうだよ。責められるようなところがどこにある?」
「喜んで貰うことが正しいことじゃない」
父はやはり何を言っても駄目だと判断した。迷惑を掛けることになるかもしれないが、自身を見なくては結婚もさせられない。
「アデリーナ、働きに出なさい。女官は試験が必要だが、受けるか?これは提案ではない、決定だ。お前は世間を知るべきだ」
「っえ、私は…」
正義を掲げるのは好きだけど、働きに出ることなど考えたことはない。だから裁判官の妻が似合っていると思ったのに。
「結婚などと言うなよ、お前を望む相手もいなければ、お前が望むような高位貴族の結婚相手はもういない。子爵男爵なら持参金を増やせば、娶ってくれる者がいるかもしれないが、プライドだけは高いお前は嫌だろう?」
「はあ?子爵男爵なんてあり得ないわ」
「じゃあ、働きに出なさい」
色んな立場の人がいる場で、働きに出ることで、自身がどのような立場で、どのように思われているか、知るべきだ。
「女官試験を受けるか?」
「いえ」
やはり受ける気もなかったのかと落胆した。勉強している様子もないことから、適当にその場しのぎの発言なのではないかと疑っていた。
「ならば、グランダール公爵家でメイドとして働きなさい」
「グレンダール公爵家!?メ、メイド!?そんな」
グランダール公爵家は王女殿下が降嫁しており、嫡男は既に結婚して子どもがおり、アデリーナとは世代が違う。
「これは決定だ。お前は愚鈍ではないのだろう?」
「あ、当たり前です」
「じゃあ、自分がどう見られているか、感じなさい」
王宮で働かせて、寮に入れることも考えたが、身分を掲げて文句を言い、問題を起こす可能性が高い。
フォリッチ公爵から、前にアデリーナのことを聞かれて、働かせようと思っているが、王宮は問題を起こしかねないと相談すると、グランダ―ル公爵家を紹介しますと言われていた。
グランダール公爵夫人は王女だったことから、非常に厳しく、人を育てることに長けている。そして、アデリーナよりも年齢も、立場も上の人である。
「もういい、誰もお前がアドバイスをしたなんて思っていないさ。妹の手柄を奪おうとしていると認識されたはずだ」
「どうしてよ!私がアドバイスしてあげたのに」
していないけど、していないということを証明出来るはずがない。
「役に立てたからいいと言ったんだろう?」
「それは建前じゃない!私が評価を受けるべきじゃない?そうでしょう?」
良きことをすれば褒められて、相応の対価を受け取るべきだ。修道女なんかになったアイレットではなく、私が受け取ればいい、姉なのだから、受け取ってもいいじゃないか。有効活用するのに何が悪いのか。
「誰もお前が言ったなんて信じないよ。愚鈍の意味を分かっているのか?」
「愚かで鈍いって意味でしょう?」
「はあ…無知でまぬけなこと、理解や判断をする力が劣る様でもある。アイレットに使う言葉ではない。分からないのか?」
「でも愚鈍には違いないじゃない。間違ってないわ」
妹に負けたくないと思うのではなく、姉だから優れていると思い込んでいるのか。
「アイレットは知っての通り、3年間1位だった。学園長が創立以来、初めてのことだから表彰したいとまで言ったんだ」
「…は?」
「辞退したがな」
「辞退?やっぱりおかしいのよ、あの子は」
狂っている、辞退するなんてあり得ない、意味が分からない。誇らしいと受け取ればいいじゃない。
実際受け取って、自慢でもしたら、運が良かっただけだと言い、認めることはない。アデリーナは理不尽でも、押し切ってしまうのだ。
「いい加減にしろ!どこがおかしい?あの子は1位を取るために勉強していたのではありません、勉強したことがたまたま1位を取っていただけなので、私には相応しくないと言ったんだ。むしろ学園長はそこが相応しいと言ったそうだよ。責められるようなところがどこにある?」
「喜んで貰うことが正しいことじゃない」
父はやはり何を言っても駄目だと判断した。迷惑を掛けることになるかもしれないが、自身を見なくては結婚もさせられない。
「アデリーナ、働きに出なさい。女官は試験が必要だが、受けるか?これは提案ではない、決定だ。お前は世間を知るべきだ」
「っえ、私は…」
正義を掲げるのは好きだけど、働きに出ることなど考えたことはない。だから裁判官の妻が似合っていると思ったのに。
「結婚などと言うなよ、お前を望む相手もいなければ、お前が望むような高位貴族の結婚相手はもういない。子爵男爵なら持参金を増やせば、娶ってくれる者がいるかもしれないが、プライドだけは高いお前は嫌だろう?」
「はあ?子爵男爵なんてあり得ないわ」
「じゃあ、働きに出なさい」
色んな立場の人がいる場で、働きに出ることで、自身がどのような立場で、どのように思われているか、知るべきだ。
「女官試験を受けるか?」
「いえ」
やはり受ける気もなかったのかと落胆した。勉強している様子もないことから、適当にその場しのぎの発言なのではないかと疑っていた。
「ならば、グランダール公爵家でメイドとして働きなさい」
「グレンダール公爵家!?メ、メイド!?そんな」
グランダール公爵家は王女殿下が降嫁しており、嫡男は既に結婚して子どもがおり、アデリーナとは世代が違う。
「これは決定だ。お前は愚鈍ではないのだろう?」
「あ、当たり前です」
「じゃあ、自分がどう見られているか、感じなさい」
王宮で働かせて、寮に入れることも考えたが、身分を掲げて文句を言い、問題を起こす可能性が高い。
フォリッチ公爵から、前にアデリーナのことを聞かれて、働かせようと思っているが、王宮は問題を起こしかねないと相談すると、グランダ―ル公爵家を紹介しますと言われていた。
グランダール公爵夫人は王女だったことから、非常に厳しく、人を育てることに長けている。そして、アデリーナよりも年齢も、立場も上の人である。
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