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第1部 ブルー王国編
第9話
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足取りはそれほど重くない。表情も明るく、鼻息が荒いものも多い。
僕はいま、平民隊3番隊隊長という肩書きで平民100人を率いて、戦場予定地となるアザレア平原にむかっている。
最近、隣国との街道が通れるようになり、往来がはげしくなったことがこの戦争の原因だときいているが、その街道からすこし脇にそれたところにアザレア平原があるらしい。
合計500人の平民を徴兵したそうだが、無理やりではなくむしろ希望者が多かったと聞いている。
当座の金に困っていたのものや、腕に覚えがありこの戦争で出世できるのではと野心にあふれたものなど理由はさまざまだが、すくなくとも後ろ向きではない。
むしろやる気を感じないのは同僚にあたる他の100人隊長たちだ。逆に、
「なんでおまえはそんなにやる気があるんだ???」
と呆られた。
僕は、警備隊から一人出すように言われて代表として選ばれたのでむしろ誇らしい気持ちでいっぱいだ。
そして平民100人のみんなは一番年の若い僕を隊長として立ててくれる。
ほんといいやつらにあたって幸せだよ。僕ってやつは。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
おはようございます。いまは朝ですね。太陽がまぶしいです。
麗しきご主人様に、わたくしの持ちうるすべて、知識、経験、身体、なにもかもをささげることに幸せを感じるメイドのシェラでございます。
いまは、麗しきご主人様が平民100人を統率する将として行軍中でございます。
このたびわたくしめがその御付きとして従者に選ばれました。光栄の極みでございますわね。
この戦争も両軍あわせて高々2000名足らず。なんならわたくし一人でも殲滅できる数です。
ですが、ですが、ですが。
従者として麗しきご主人様に功績を立てていただくことが我が使命。
なんなら相手方の将軍首をあげ手柄をお譲りすれば麗しきご主人様も喜んでくださいますかしら。
あとですね、わたしどうも目立つ外見をしているようなので、従者として動くにあたり、認識阻害魔法でわたくしの存在感を著しく低下させ、さらに黒いフードをかぶって目立たないようにして動くことにしています。
従者が主人より目立つのは御法度でございますからね。
こうしておけば必要な助言をこっそり麗しきご主人様にすることができるのですわ。
わたくしの助言があればこの程度の戦いに勝利することは容易いことといえるでしょう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私は栄光のブルー王国軍史上最高(と言い張っている)将軍アクア・セルリアンブルーである。
出身はセルリアンブルー侯爵という名門中の名門であるし、婚約者も名門のヒヤシンス侯爵の令嬢である。
この令嬢、見目麗しい上にオッパイがでかいんだぜ。
羨ましいだろう。ひゃっはーーーーー。
コホン。
そもそも戦争は貴族同士が行う決闘と同一視される大事な儀式なのだ。このような神聖な場に平民風情がのさばりくること自体まちがっている。
せいぜい怪我をしないように体を小さくしていることだな。
平民の500などあてにしておらん。
私が鍛えに鍛えし勇猛果敢なるブルー王国軍であれば、500であっても、倍の1000のコーラル軍を撃破できるであろう。
グゥハッハッハッハーーーーー。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アクア将軍が一人でほくそ笑んでいるところ、伝令が将軍に報告した。
「アザレア平原が見えてまいりました。あと10分ほどで到着する予定です」
それを聞いたアクア将軍は目をつむり思考に入った。
そして考えがまとまったのであろう。すぐさま、指示をとばし、
「各隊長たちに伝えよ。アザレア平原に到着し次第、私のテントに集まれと。軍議を行い、コーラル軍を蹴散らしてくれるわ」
そう言ってまた、グハハハーと笑っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
グハハハーと大声で笑うアクア将軍を遠目に僕は、平民隊のみんなに声をかけた。
この100人は僕の率いる平民隊3番隊の面々だ。
「もうすぐ到着みたいだよ。みんな体調の悪いものはいないかい?大丈夫なら、そのまま指定した場所で列をならんで待機しておいてね」
と指示を出しておいた。
みんなからは尊敬と憧れの目で見られている。
これもすべて、シェラのおかげだ。
シェラから、
「いいですか私の言うことをよく聞いてくださいましね麗しきご主人様。将たるに必要なことその1!!」
ピシィという音がきこえそうなぐらい指をたててくる。
「強さでは絶対に勝てないと部下に思わせるのです!!」
まるで動物の論理だなと思ったが冒険者時代でも、結局、実力のある人に従うことが普通にあったのでなるほどとうなずいておいた。
シェラの教えを実戦するべく、僕が強いということをみんなに植え付けるために寄り道して瘴気の濃い森に入り、適当な魔物を狩っていたのだ。
僕も単独だとCランク位の実力はあるし、側にシェラもいるから多少強い魔物がでてもシェラが目視できないほどの速さで魔物を狩り、それを僕が倒したように見せかけていた。
これを繰り返し行っていたので、僕の隊では僕がめちゃくちゃ強いと思わせることに成功しているのだ。
その効果はてきめんだ。士気もたかく、戦争に対する恐怖心も無く、僕の指示を全員が聞く姿勢になっている。
戦争を行う前提として兵士との信頼関係をこれぐらいにしておかないと作戦もなにもあったものじゃ無いらしい。
そうシェラが言ってた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「みんな、よく集まってくれた」
アクア将軍のテントから将軍の重々しい声が聞こえてきた。
僕があわてて将軍のテントに入ると、まだ平民隊の隊長たちは全員あつまっておらず王国軍の隊長だけがいた。
なのに、アクア将軍は軍議をはじめていたのだ。つまり、平民隊のことは無視するつもりなんだろう。
僕がテントに入り、軍議に加わるそぶりをみせたが、アクア将軍は何も反応せずに話をつづけた。
「諸君。よろこんでくれ。相手はコーラル軍でも屈指の「猛将」クロッカス将軍が大将らしい。これをわが軍が討ちとり、ブルー王国軍の強さを内外に示すチャンスが到来したのだ」
あいからわずグハハハと笑っているが、クロッカス将軍という言葉にほかの王国軍の隊長たちは顔が青ざめている。
「しかし、将軍。クロッカス将軍といえば、諸国に名をとどろかせる戦上手でございます。どのような作戦で立ち向かうのか説明をしてください」
年かさの隊長がアクア将軍に進言した。
それに対しアクア将軍は得意気に、
「あわてるな、策は講じている。相手は近年戦争をしていないわが軍を侮っている。その証拠に「固まり」の陣を組んでおる。これは我が軍に対し長期戦を目論み、街道に圧力をかけようという作戦とみた」
続けて、
「だが、わが軍はそれを逆手にとり、「広がり」の陣で相手軍を包囲し、殲滅する」
この作戦を聞き隊長らが、
「おお!!」
と声をあげるが将軍は部下たちに静かにするようにと手で制し、
「だが、戦場では何が起こるかわからない。みなも私の策を最善とせず、意見があれば具申してかまわない」
と余裕の表情で言った。
しかし口ではそういうもの自分より良い意見などあり得ないという目をしている。
他の隊長もそれがわかっているのか何も言わなかった。
その様子を満足げな表情でみたアクア将軍は、
「ほかに意見はないようなので、私の作戦でいくことにする。みな、持ち場にもどり、私の号令を待って欲しい」
その言葉を合図に軍議は終了し解散した。
僕はいま、平民隊3番隊隊長という肩書きで平民100人を率いて、戦場予定地となるアザレア平原にむかっている。
最近、隣国との街道が通れるようになり、往来がはげしくなったことがこの戦争の原因だときいているが、その街道からすこし脇にそれたところにアザレア平原があるらしい。
合計500人の平民を徴兵したそうだが、無理やりではなくむしろ希望者が多かったと聞いている。
当座の金に困っていたのものや、腕に覚えがありこの戦争で出世できるのではと野心にあふれたものなど理由はさまざまだが、すくなくとも後ろ向きではない。
むしろやる気を感じないのは同僚にあたる他の100人隊長たちだ。逆に、
「なんでおまえはそんなにやる気があるんだ???」
と呆られた。
僕は、警備隊から一人出すように言われて代表として選ばれたのでむしろ誇らしい気持ちでいっぱいだ。
そして平民100人のみんなは一番年の若い僕を隊長として立ててくれる。
ほんといいやつらにあたって幸せだよ。僕ってやつは。
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おはようございます。いまは朝ですね。太陽がまぶしいです。
麗しきご主人様に、わたくしの持ちうるすべて、知識、経験、身体、なにもかもをささげることに幸せを感じるメイドのシェラでございます。
いまは、麗しきご主人様が平民100人を統率する将として行軍中でございます。
このたびわたくしめがその御付きとして従者に選ばれました。光栄の極みでございますわね。
この戦争も両軍あわせて高々2000名足らず。なんならわたくし一人でも殲滅できる数です。
ですが、ですが、ですが。
従者として麗しきご主人様に功績を立てていただくことが我が使命。
なんなら相手方の将軍首をあげ手柄をお譲りすれば麗しきご主人様も喜んでくださいますかしら。
あとですね、わたしどうも目立つ外見をしているようなので、従者として動くにあたり、認識阻害魔法でわたくしの存在感を著しく低下させ、さらに黒いフードをかぶって目立たないようにして動くことにしています。
従者が主人より目立つのは御法度でございますからね。
こうしておけば必要な助言をこっそり麗しきご主人様にすることができるのですわ。
わたくしの助言があればこの程度の戦いに勝利することは容易いことといえるでしょう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私は栄光のブルー王国軍史上最高(と言い張っている)将軍アクア・セルリアンブルーである。
出身はセルリアンブルー侯爵という名門中の名門であるし、婚約者も名門のヒヤシンス侯爵の令嬢である。
この令嬢、見目麗しい上にオッパイがでかいんだぜ。
羨ましいだろう。ひゃっはーーーーー。
コホン。
そもそも戦争は貴族同士が行う決闘と同一視される大事な儀式なのだ。このような神聖な場に平民風情がのさばりくること自体まちがっている。
せいぜい怪我をしないように体を小さくしていることだな。
平民の500などあてにしておらん。
私が鍛えに鍛えし勇猛果敢なるブルー王国軍であれば、500であっても、倍の1000のコーラル軍を撃破できるであろう。
グゥハッハッハッハーーーーー。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アクア将軍が一人でほくそ笑んでいるところ、伝令が将軍に報告した。
「アザレア平原が見えてまいりました。あと10分ほどで到着する予定です」
それを聞いたアクア将軍は目をつむり思考に入った。
そして考えがまとまったのであろう。すぐさま、指示をとばし、
「各隊長たちに伝えよ。アザレア平原に到着し次第、私のテントに集まれと。軍議を行い、コーラル軍を蹴散らしてくれるわ」
そう言ってまた、グハハハーと笑っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
グハハハーと大声で笑うアクア将軍を遠目に僕は、平民隊のみんなに声をかけた。
この100人は僕の率いる平民隊3番隊の面々だ。
「もうすぐ到着みたいだよ。みんな体調の悪いものはいないかい?大丈夫なら、そのまま指定した場所で列をならんで待機しておいてね」
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みんなからは尊敬と憧れの目で見られている。
これもすべて、シェラのおかげだ。
シェラから、
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ピシィという音がきこえそうなぐらい指をたててくる。
「強さでは絶対に勝てないと部下に思わせるのです!!」
まるで動物の論理だなと思ったが冒険者時代でも、結局、実力のある人に従うことが普通にあったのでなるほどとうなずいておいた。
シェラの教えを実戦するべく、僕が強いということをみんなに植え付けるために寄り道して瘴気の濃い森に入り、適当な魔物を狩っていたのだ。
僕も単独だとCランク位の実力はあるし、側にシェラもいるから多少強い魔物がでてもシェラが目視できないほどの速さで魔物を狩り、それを僕が倒したように見せかけていた。
これを繰り返し行っていたので、僕の隊では僕がめちゃくちゃ強いと思わせることに成功しているのだ。
その効果はてきめんだ。士気もたかく、戦争に対する恐怖心も無く、僕の指示を全員が聞く姿勢になっている。
戦争を行う前提として兵士との信頼関係をこれぐらいにしておかないと作戦もなにもあったものじゃ無いらしい。
そうシェラが言ってた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「みんな、よく集まってくれた」
アクア将軍のテントから将軍の重々しい声が聞こえてきた。
僕があわてて将軍のテントに入ると、まだ平民隊の隊長たちは全員あつまっておらず王国軍の隊長だけがいた。
なのに、アクア将軍は軍議をはじめていたのだ。つまり、平民隊のことは無視するつもりなんだろう。
僕がテントに入り、軍議に加わるそぶりをみせたが、アクア将軍は何も反応せずに話をつづけた。
「諸君。よろこんでくれ。相手はコーラル軍でも屈指の「猛将」クロッカス将軍が大将らしい。これをわが軍が討ちとり、ブルー王国軍の強さを内外に示すチャンスが到来したのだ」
あいからわずグハハハと笑っているが、クロッカス将軍という言葉にほかの王国軍の隊長たちは顔が青ざめている。
「しかし、将軍。クロッカス将軍といえば、諸国に名をとどろかせる戦上手でございます。どのような作戦で立ち向かうのか説明をしてください」
年かさの隊長がアクア将軍に進言した。
それに対しアクア将軍は得意気に、
「あわてるな、策は講じている。相手は近年戦争をしていないわが軍を侮っている。その証拠に「固まり」の陣を組んでおる。これは我が軍に対し長期戦を目論み、街道に圧力をかけようという作戦とみた」
続けて、
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この作戦を聞き隊長らが、
「おお!!」
と声をあげるが将軍は部下たちに静かにするようにと手で制し、
「だが、戦場では何が起こるかわからない。みなも私の策を最善とせず、意見があれば具申してかまわない」
と余裕の表情で言った。
しかし口ではそういうもの自分より良い意見などあり得ないという目をしている。
他の隊長もそれがわかっているのか何も言わなかった。
その様子を満足げな表情でみたアクア将軍は、
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