44 / 61
第3部 プラチナ帝国魔法学園編
第17話
しおりを挟むここからはメアリーから聞いた内容だ。
8年前のエメラルド子爵家には性格の荒々しいゴドー・エメラルド子爵(当時27歳)と派手な服装と性格の悪い事で有名な奥方マリエッタ・エメラルド(当時25歳)がいた。
そのマリエッタは旦那の目を盗みしょっちゅう浮気をしていた。屋敷に引っ張り込むので使用人全員が知っていたが誰も何も言わなかった。
2人のあいだには子供がいた。双子の兄弟だ。どちらも母親に似てか顔がきれいであったが兄のほうがより奥方に可愛がられていた。
そして当時7歳になったときに、2人とも早々に婚約者を決めることになった。
貴族の子供としては決して早くはない年齢だ。そして兄のほうの婚約者がローリア・アクアマリン伯爵令嬢である。
しかし、兄のほうはなぜか自分の婚約者をいじめ、弟の婚約者と仲良くした。
3年後、ともに10歳になったときに、弟は弟の婚約者から婚約を破棄してほしいと言われ、兄が代わりに婚約を結んだ。
兄の婚約者ローリア・アクアマリン伯爵令嬢は婚約破棄をされていた。
ローリア・アクアマリン伯爵令嬢は当然ショックを受けたが弟のほうも同様である。しかしまだ10歳で母親から疎まれており、耐えるしかなかったという。
かわいそうにおもったのだろうか。
ゴドー・エメラルド子爵は非道なふるまいをした兄を後継ぎから外し弟を子爵家の正式な後継ぎにした。
そして双子の10歳の誕生日のパーティのとき、エメラルド子爵家に、
「かつてシルバー王国に仕えていたがエメラルド子爵家の次期後継者に仕えるためにこの家へ参りました」
といって訪れた人がいたそうだ。
メアリーたち使用人には名前を伏せられていたが、当主や奥方は目を丸くして非常におどろき、喜んでいたそうだ。
なんでもシルバー王国の超大物だそうだ。
その大物一人がいればこのプラチナ帝国すら揺り動かすほどで大魔導士イオニーア様にも匹敵するほどの人物だと旦那様は言っていたが、それほどの大物がなぜか双子の弟のほうに忠誠を誓うと言ってきたらしい。
それを知った元弟の婚約者はそれなら兄を捨てて弟のほうがいいと言い出した。弟はその婚約者の様子を知ってものすごくショックを受けた。
兄は兄で自分のほうが本来なら後継者になるはずだと考え、弟の地位と婚約者を再度奪ってやろうと企んだ。
母親のマリエッタは兄のほうを好いており弟のほうは好きではなかったので兄のたくらみに協力したらしい。
これは性格や相性の問題だろう。
母親のマリエッタはこっそり毒薬を弟に飲ませ、弟を病気にさせた。
「このままでは子爵家は途絶えるので兄を後継ぎにしましょう」
そう言って夫のゴドー・エメラルド子爵に頼んだそうだ。
毒を飲まされたことを知らないゴドーはそれを承諾したが、シルバー王国の大物という人物は毒を飲まされ病気で死にそうになっている弟を連れて屋敷から出たそうだ。
ゴドー・エメラルド子爵は事の次第を知り、マリエッタに激怒した。
毒を飲ませたことではなく、シルバー王国の大物を逃したきっかけをつくったことに対してだ。
(ここからはメアリー視点)
私たち屋敷の使用人は1階におりましたが、旦那様たちは屋敷の2階に住んでおり、いつも大きな声で喧嘩をしていましたが、その日はとくに違いました。
旦那様が魔法を使った音がしたのです。
さらに奥さまの悲鳴と金切り声がいつもより大きくて、これはただ事ではないと気づいた私たちは、使用人総出で2階の旦那様の部屋へ行きました。
部屋の中は、大きな火災で燃えた跡があり旦那様も奥さまも大(おお)坊ちゃまもいなくなっていたのでございます。
関係者全員がいなくなったエメラルド子爵家に対して帝国の皇族が調査を入れ、のちに正式に取り潰しとなりました。
その家にいた使用人はすべて散り散りになったのでございます。
これでメアリーの話は終わった。
メアリーはふぅとおおきくため息をつき、憑き物がとれたように表情が晴れ晴れとしている。
壮絶な話だが少しホッとした。
なぜなら全員が死んでいるからだ。弟も毒を飲まされ病気になっている。生きてはいないだろう。
メアリーが、
「しかし、見れば見るほどあなたは小(ちい)坊ちゃまによく似てます」
「私たちは小さいころから知っているので他の人には見わけがつかなくても兄の大(おお)坊ちゃまと弟の小(ちい)坊ちゃまの見分けはつきます」
「でも、これでいいのかもしれません・・・・・」
と寂しそうに言う。最後に
「もちろんあなたが小(ちい)坊ちゃまとは思いませんが、何かの縁です。こちらの方からも話を聞いてもらえませんか。エメラルド子爵家の最後を看取るつもりで」
とお願いされた。
手にはメモがある。そこには住所と名前があった。住所は平民区の娼館である。
男の人と女の人が会うところだ。僕はまだそこへはいったことがない。
だけど、メアリーさんの妙な気迫にまけて、行ってみようと思った。
乗り掛かった舟だ。聞いてほしいと言うのだから聞いてみよう。
昼のど真ん中の時間帯に娼館の並ぶ地区へ向かった。
うう、こんなところにいることがほかのみんなにばれないようにしたい。
そう考えながらメモにある住所の店へ向かった。
そこの娼館に入り、僕はメモにかいてある名前の人がいるか聞いた。店のボーイは胡散臭い目をむけ、
「坊や、まだ営業時間じゃないんだ。それにその娼婦はだいぶくたびれていてお前みたいな坊ちゃんの手には負えない。やめておいたほうがいいぜ」
と言ってくる。
そうじゃなくて話を聞きに来ただけなんですと必死で説明して呼んできてもらった。
「私に用があるっていう坊やはどこだい」
といいながら出てきた女の人は30代ぐらいでずいぶんだらしない服装をしている。
化粧はしていない。
匂いがきつい。香水かな。僕には苦手な匂いだ。
その娼婦は僕の顔を見るなりハッとして、
「エメラルド子爵家のことを聞きに来たのかい?」
とニヤリと笑って言ってきた。
僕の顔をみて何か思うところがあったのだろう。
僕はその娼婦からさらに衝撃的な話を聞かされた。
0
あなたにおすすめの小説
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる