54 / 61
第4部 勇者と2人の王子編
第7話
しおりを挟むいま、僕は場違いなメンバーに囲まれている。
あの伝説の勇者様とその仲間が目の前にいるのだ。
それだけでなくシルバー王国の第二将のアカエール様、神聖ゴールド聖教国の聖教六武威の一人であるマホガニー様、とそうそうたるメンバーが集まって話をしているのだ。
勇者様の仲間とは、一人目はあのパンジー・マリーゴールド。プラチナ帝国トップクラスの魔法使いだ。
なんでも勇者様の運命の仲間なんだとか。聞いた時はとてもびっくりした。
二人目はとても綺麗なエルフの弓騎士。強力な弓術と上級の土属性魔法を使いこなす。
なぜ、僕が勇者様たちと会っているかというと、あのあとアカエール様がパンジー・マリーゴールドと合流しようと提案したからだ。
彼女に連絡すると、勇者様が一緒についてきたと言うわけ。
いつの間にか彼女が勇者様の仲間になっていたのだ。
まああれだけ強力な魔法を使うんだから勇者様の仲間であっても不思議ではないよね。
そしてさすが勇者様だ。
僕たちが欲しい情報を持っていた。その情報を教えてくれたのはシルバー王国の託宣の巫女様だとか。
もちろんアカエール様も託宣の巫女様のことは知っている。
なぜならアカエール様も探し人の情報が欲しくて託宣をきき、託宣に従って僕の手助けをしているからね。
その託宣の巫女様が言うには、
「プラチナ帝国で仲間を見つけたら、今度はブラウン王国にいる大賢者にあい、勇者の真の力をさずけてもらいなさい」
というものだった。
大賢者という存在も半ば伝説になっている。
大賢者さまに知らないことは無いと言われており、龍族と並んで創造神様に近い存在だと言える。
アカエール様とマホガニー様はこの大賢者様にあえばブラウン王国の魔石の件について首謀者が誰か詳しく聞けるのではないかと話をしていた。
なので勇者様と一緒に大賢者様に会いに行こうと言うことになったのだ。もちろん僕は賛成だ。
マホガニー様が勇者様に、
「それがし、神聖ゴールド聖教国の龍族でマホガニーというもの。ぜひお見知りおきを。実態は龍だがいまは人間化してこのような姿でいる」
「して、勇者どのにお聞きしたいのだが、その大賢者どのという方はこちらの質問に答えてくれる方であろうか?」
アカエール様も割り込んできて、
「実は、我々はブラウン王国の魔石について調査をしている。いまはその調査が行き詰っており手掛かりがほしいところなのだ。そこへ大賢者様の存在を聞いたので、お力をお借りしたいと考えているのだが」
しかし、さらにそれをさえぎるように、マホガニー様は別の話を始めた。
「実はもう一つ聞きたいことがある。それはある人の居場所なのだ。もうかれこれ5年になるだろうか。それがしはずっと探している」
僕はこれを聞いて少し違和感を感じた。
「聖教六武威」のマホガニー様も人探し?それも5年。この年はアカエール様も同じだった。
そのとき、スススッと前に出てパンジー・マリーゴールドも言った。
「それを言うなら私だって人を探しているわ。もうプラチナ帝国から消えて5年になるわ。いまごろあの方はどうしているのかしら」
3人が3人とも人を探していると言う。
しかしお互いにそれ以上口を閉ざし、しばし静寂が訪れたのだ。
その暗くなった雰囲気をかき消すように勇者様は、
「人探しが見つかるかどうかはわかりません。ただ、大賢者様から色々話が聞けると思いますよ。託宣の巫女様の話ぶりでは大賢者様はそれほど気難しい方ではないようです」
と明るい笑顔で答えた。
さすが、勇者様。場の雰囲気が明るくなったような気がする。
3人とも話を聞いて少しは元気になればいいなあ。
こうして、ブラウン王国の辺境にあるという大賢者様の住処へ僕たちは行くことになった。
地図を見るとブラウン王国はプラチナ帝国と神聖ゴールド聖教国に挟まれている。
だから神聖ゴールド聖教国に侵入してこっそり魔族をさらうという悪事ができたのかもしれない。
大賢者の住処と思われる場所はブラウン王国の領土内と言っても限りなく神聖ゴールド聖教国に近い場所にある。
そして通常の手段ではいけない場所にあった。
勇者の魔力に反応し霧が晴れ、いままでなかったはずの場所から道が現れたのだ。
おそらく勇者様に同行していなければたどり着けなかったのではないか。
道を歩いていくと遠くのほうから小さい庵が見えてきた。
庵の前には一人の人物が立っていた。
だがその人物は帽子を深くかぶっており顔は見えない。
しかし聞こえてくる声はは女性のようだった。
「これはこれは珍しい。何百年ぶりのお客様だろうかねぇ。こんなところまでようこそぉ。勇者どの」
「ここへ来るには特殊な魔力を持っていなけば来れないようになっているでな。それこそ伝説の勇者様だとかねぇ」
声は若く聞こえるが、言い方は老婆のようだがわざとらしくも聞こえる。
その老婆らしき人物をみて真っ先に声をあげたのはアカエール様だった。
「あなたが大賢者様ですか。私は勇者ではないのですが、どうか質問に答えていただきたい」
その老婆らしき人物はゆっくりとアカエール様のほうをみてうなづいた。
「私には5年間探し続けている方がいる。その方がどこにいるか教えていただきたいのです」
すこし、アカエール様は声を詰まらせた。泣いているのかもしれない。
「その方の名は。名は、大将軍シェーラ様。大将軍シェーラ様がいまどこにいるのか。可能ならばお会いしたいのだ。どうか教えてほしい」
それに勢いづいたのか、パンジー・マリーゴールドも泣くような声で叫んだ。
「それを言うなら私もよ。私も大魔導士イオニーア様にお会いしたいわ」
と手で顔を覆って泣き出してしまった。
しかし、だれも声をかけなかった。そしてさらにはマホガニー様まで、
「それがしも同様だ。我が国の大英雄であるホーネント様を探している。大賢者どのならばホーネント様の居所を教えてくれるやもと思い訪ねて参った。可能ならば一目だけでも大宰相ホーネント様にお目にかかりたいのだ・・・・・」
僕はそれを聞いて、思わずつぶやいた。
「シェラにイオニアにホーネット?」
0
あなたにおすすめの小説
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる