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自己紹介①
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男は一定の距離をとりながら後をついてくる。メイジーは不思議に思い、後ろを振り返って訊ねた。
「なぜ、そんなに離れている?」
「長く風呂に入ってねぇから匂うんだ。不快だろうから離れてる」
「私は鼻が利くけど、貴方の匂いは悪くない」
「お嬢ちゃん変わってんなぁ」
「言っておくけど、私はそんな子供ではない。背丈は低いけれど」
「へぇ? そうなのか」
男は興味なさげに答えると掠れた口笛を吹く。メイジーは少し苛立った。
「今年十七になる」
「ふーん。確かにそれにしては小せぇな。ちゃんと飯食ってんのか? まあ、こんな森の奥に住んでちゃ、ろくなもんが食えねぇか」
男の声に混ざる同情を嗅ぎ取り、メイジーは俯いた。自分の置かれた環境が特殊であるのは十分知っていたが、他人から憐れまれるというのは想像以上に傷つく。
「肉も野菜もちゃんと食べている」
「あ、そう」
男はまたスース―と空気を鳴らすだけの口笛を吹き始めた。メイジーはなぜかがっかりして項垂れた。奇異な目で見られて逃げられたり、舐めるような視線を向け猫撫で声で名を呼ぶ人間よりずっとマシだが、男のメイジーに対する無関心さは悲しくなるほどだ。いつか誰かと心を通わす夢を捨てきれずにいたメイジーにとって、男の態度は胸に抱いた微かな希望を縮ませるものだった。
「なぜ、そんなに離れている?」
「長く風呂に入ってねぇから匂うんだ。不快だろうから離れてる」
「私は鼻が利くけど、貴方の匂いは悪くない」
「お嬢ちゃん変わってんなぁ」
「言っておくけど、私はそんな子供ではない。背丈は低いけれど」
「へぇ? そうなのか」
男は興味なさげに答えると掠れた口笛を吹く。メイジーは少し苛立った。
「今年十七になる」
「ふーん。確かにそれにしては小せぇな。ちゃんと飯食ってんのか? まあ、こんな森の奥に住んでちゃ、ろくなもんが食えねぇか」
男の声に混ざる同情を嗅ぎ取り、メイジーは俯いた。自分の置かれた環境が特殊であるのは十分知っていたが、他人から憐れまれるというのは想像以上に傷つく。
「肉も野菜もちゃんと食べている」
「あ、そう」
男はまたスース―と空気を鳴らすだけの口笛を吹き始めた。メイジーはなぜかがっかりして項垂れた。奇異な目で見られて逃げられたり、舐めるような視線を向け猫撫で声で名を呼ぶ人間よりずっとマシだが、男のメイジーに対する無関心さは悲しくなるほどだ。いつか誰かと心を通わす夢を捨てきれずにいたメイジーにとって、男の態度は胸に抱いた微かな希望を縮ませるものだった。
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