星の誓い〜異国の姫はアイスブルーの騎士に溺愛される〜

すなぎ もりこ

文字の大きさ
19 / 95

7.背後を取られるな-2

しおりを挟む

はあ? 

振り返ろうとしたとたん、背中に何かがのし掛かった。
一瞬、何が起きたかわからなかったが、誰かに背後から抱き締められていることに気付く。
みぞおちに腕ががっちりまわされていた。
 
「あ、アルフレッド?どうし…」

カリーナは発した声を途中で止めた。
うなじに当たる温かい感触、息遣いを感じたからだ。
 
(こ、これは…この感じは覚えがある)

うなじの匂いを嗅がれている! 

カリーナは混乱した。 
ガルシアの王家の血なんだろうか。
うなじの匂いを嗅ぐ性癖は遺伝なのか? 
いや、そもそも妙齢の男女がこの体勢ってやばいんじゃないだろうか。
いや、誰かに見られることはないけれど…
いや、それは同時に誰にも咎められないということで、益々まずい… 
頭がぐるぐるしてきたところで、アルフレッドがそっと離れた。
カリーナは恐る恐る後ろを振り返った。

「ごめん。我慢できなかった」 

カリーナはその言葉を聞いて、顔が一気に紅潮するのがわかった。
 
「君が首筋を見せるから…」
 
同じく頬を染める超絶美形。

いや、私悪くないよね!? 
一言も発せずただ赤面して立ちつくすカリーナに、アルフレッドは目元を赤く染めたまま、今までになく艶やかな笑みを浮かべて歩み寄った。
そして、思わず後退るカリーナの手を取って、口付けた。
カリーナの身体が小さく跳ねた。 
アルフレッドは、カリーナの手を握ったまま、上目遣いで囁いた。

「やっぱり僕は君しかいらない。逃がさないよ、カリーナ」 

ネイビーブルーの瞳の奥にちらちら燃える炎が見えた気がして、カリーナは息を飲んだ。

扉が閉まる音でやっと我に返り、カリーナは頭を抱えてしゃがみこんだ。
 
「なに、なに、なに、なんなのあれ~?!」

無邪気な子犬だと思ってたのに…! 
超絶美形の口説き半端ない。
心臓が疼きすぎて壊れる。
それに、逃がさないって…どういうことだろう。
カリーナはアルフレッドがどういう行動にでるのか全く予想がつかなかった。
しかし、なんといっても彼は副騎士団長であり、王族でもある。
権力を行使できる立場にあるのだ。
国を盾に脅迫するような男には見えないが、冗談で口説くような男でもなさそうだ。 
カリーナはとりあえず明日から警戒を怠らないよう心に決めるのであった。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

王妃は涙を流さない〜ただあなたを守りたかっただけでした〜

矢野りと
恋愛
理不尽な理由を掲げて大国に攻め入った母国は、数カ月後には敗戦国となった。 王政を廃するか、それとも王妃を人質として差し出すかと大国は選択を迫ってくる。 『…本当にすまない、ジュンリヤ』 『謝らないで、覚悟はできています』 敗戦後、王位を継いだばかりの夫には私を守るだけの力はなかった。 ――たった三年間の別れ…。 三年後に帰国した私を待っていたのは国王である夫の変わらない眼差し。……とその隣で微笑む側妃だった。 『王妃様、シャンナアンナと申します』 もう私の居場所はなくなっていた…。 ※設定はゆるいです。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~

二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。 彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。 そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。 幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。 そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない

ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。 既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。 未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。 後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。 欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。 * 作り話です * そんなに長くしない予定です

隻眼の騎士王の歪な溺愛に亡国の王女は囚われる

玉響
恋愛
平和だったカヴァニス王国が、隣国イザイアの突然の侵攻により一夜にして滅亡した。 カヴァニスの王女アリーチェは、逃げ遅れたところを何者かに助けられるが、意識を失ってしまう。 目覚めたアリーチェの前に現れたのは、祖国を滅ぼしたイザイアの『隻眼の騎士王』ルドヴィクだった。 憎しみと侮蔑を感情のままにルドヴィクを罵倒するが、ルドヴィクは何も言わずにアリーチェに治療を施し、傷が癒えた後も城に留まらせる。 ルドヴィクに対して憎しみを募らせるアリーチェだが、時折彼の見せる悲しげな表情に別の感情が芽生え始めるのに気がついたアリーチェの心は揺れるが………。 ※内容の一部に残酷描写が含まれます。

愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください

無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――

処理中です...