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7.背後を取られるな-2
しおりを挟むはあ?
振り返ろうとしたとたん、背中に何かがのし掛かった。
一瞬、何が起きたかわからなかったが、誰かに背後から抱き締められていることに気付く。
みぞおちに腕ががっちりまわされていた。
「あ、アルフレッド?どうし…」
カリーナは発した声を途中で止めた。
うなじに当たる温かい感触、息遣いを感じたからだ。
(こ、これは…この感じは覚えがある)
うなじの匂いを嗅がれている!
カリーナは混乱した。
ガルシアの王家の血なんだろうか。
うなじの匂いを嗅ぐ性癖は遺伝なのか?
いや、そもそも妙齢の男女がこの体勢ってやばいんじゃないだろうか。
いや、誰かに見られることはないけれど…
いや、それは同時に誰にも咎められないということで、益々まずい…
頭がぐるぐるしてきたところで、アルフレッドがそっと離れた。
カリーナは恐る恐る後ろを振り返った。
「ごめん。我慢できなかった」
カリーナはその言葉を聞いて、顔が一気に紅潮するのがわかった。
「君が首筋を見せるから…」
同じく頬を染める超絶美形。
いや、私悪くないよね!?
一言も発せずただ赤面して立ちつくすカリーナに、アルフレッドは目元を赤く染めたまま、今までになく艶やかな笑みを浮かべて歩み寄った。
そして、思わず後退るカリーナの手を取って、口付けた。
カリーナの身体が小さく跳ねた。
アルフレッドは、カリーナの手を握ったまま、上目遣いで囁いた。
「やっぱり僕は君しかいらない。逃がさないよ、カリーナ」
ネイビーブルーの瞳の奥にちらちら燃える炎が見えた気がして、カリーナは息を飲んだ。
扉が閉まる音でやっと我に返り、カリーナは頭を抱えてしゃがみこんだ。
「なに、なに、なに、なんなのあれ~?!」
無邪気な子犬だと思ってたのに…!
超絶美形の口説き半端ない。
心臓が疼きすぎて壊れる。
それに、逃がさないって…どういうことだろう。
カリーナはアルフレッドがどういう行動にでるのか全く予想がつかなかった。
しかし、なんといっても彼は副騎士団長であり、王族でもある。
権力を行使できる立場にあるのだ。
国を盾に脅迫するような男には見えないが、冗談で口説くような男でもなさそうだ。
カリーナはとりあえず明日から警戒を怠らないよう心に決めるのであった。
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