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18.知りたい-2

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カリーナは僅かに違和感を感じた。
遠縁の部下に対する心配としては、いささか過剰な気がする。
やはり、国王にとってアルフレッドはかなり近しい存在なのだと確信する。

「まあ、多少過保護なところはありますが、バイオレット殿はたいへんお優しい方ですわ。あれだけ素敵な方が何故今までお一人だったのか不思議です」
「まあ…少し拗らせているからね。正直、私も、あいつは一生独身を貫くと思っていたくらいで…しかし…」

国王はカリーナをじっと見つめた。
懐かしい色の瞳だ。
ああ、やはり、似ている。

「貴女に対しては違う。実は、あいつが私に頼みごとをする事自体珍しいので、どうしても力になってやりたくてね。強引な手を使ってしまい申し訳なかった」

詫びる国王にカリーナは慌てた。

「謝罪など結構です。本国では行き遅れの姫扱いの私にとっては、一時の気紛れだとしても、光栄なことですから」

国王は暫し黙った後、目を伏せた。

「あいつの貴女に対する想いは、決して気紛れなどではないでしょう。…あいつには幼き頃から苦労をかけた。私が国王に即位するために多くの犠牲を強いてしまった」

国王は再び顔を上げた。

「私はアルフレッドの幸せを心より願っています。長く感情を押し込めてきた奴だからこそ、出来るだけ気持ちに添ってやりたい。勿論、貴女に無理を強いる気はないが…」

カリーナは、胸を打たれた。
似たような言葉を、つい先日カリーナも兄から告げられたからだ。
そう、私とアルフレッドは似ているのだ。
きっと、その生い立ちが。

「バイオレット殿は辺境のご出身だとお聞きしておりますが、陛下とは幼き頃から親しくされていらっしゃったのですか?」

カリーナの質問に、国王はため息をつくとソファーに背をもたれた。

「色々お話ししたいのは山々だが、私はアルフレッドから口止めされている」

カリーナは唇を噛んだ。
しかし、簡単に諦められないカリーナは食い下がった。

「想いを寄せていただいていることはたいへん光栄です。だからこそ、私もバイオレット殿の事がもっと知りたいと思いました。けど、ここ数日はお忙しいようでお会い出来ないのです。私もいつまでもこちらにお世話になる訳にはいきませんし」

そう、義姉が産気付いたのがあの場の嘘だったのだとしても、臨月であることには違いない。
近いうちに王太子か王女が誕生するだろう。
国を上げての誕生式典には、王女として参加せざるを得ない。
国王は、眉間を摘まんでしばらく考え込んでいたが、意を決したように口を開いた。

「私以上にアルフレッドを良く知る者がもう1人いる。会ってみるかい?」

カリーナは勢い良く頷いた。

「但し、簡単には会えない。私ですら門前払いをくらうこともある」
「気難しい方なのですか?」

国王は苦笑した。

「まあ、変わり者だね。まず、部屋に入るまでがたいへんなんだよ。……でも、カリーナ姫は大丈夫じゃないかな?」
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