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20.真実-1

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20年前、ガルシア国の側室が産んだのは男の双子だった。
兄はプラチナブロンドと紫の瞳の王色を纏い、弟は大きな魔力を身体から迸らせていた。
忌み子とされ処分される最悪の未来を案じた母親は、幼なじみのレイモンドに双子の弟を託した。
その頃のレイモンドは、規格外の魔力を持ちながらも王宮を毛嫌いし、国内を点々としていた。
レイモンドは、妹の嫁ぎ先であった辺境にある伯爵の元に赤ん坊を預けることにした。
子供のいなかった妹夫婦は喜び、愛情を注いだ。
そして、レイモンド自らも付き添い、魔力の指導を行った。
それから9年後、伯爵夫妻とレイモンドの保護の下、すくすくと育った赤子は、少々引っ込み思案ではあるが、利発な少年に成長していた。
しかし、王宮で勃発した連続暗殺事件により、彼の生活は一変する。
命を狙われた第三王子である兄の身代わりを命じられたのだ。
髪色と瞳の色を魔術で王色に変え、侍従に扮したレイモンドと用意された馬車に乗り込んだ。
途中、身を隠すためにプール帝国に向かう兄と入れ替わり、現れた追っ手から逃げながら山岳地帯の厳しい山道を進んだ。
切り立つ崖の上に走る道に差し掛かった時、後ろを走る馬車より矢が放たれた。
矢は馬車のタイヤに命中し、矢を巻き込んだタイヤは軋み、馬車はバランスを崩した。
果たして、少年と魔道士の乗せた馬車は、下も見えない崖下へと落下していった。

カリーナはその場面を想像して呼吸が苦しくなり、思わず胸を押さえた。

「上空から見えなくなる所まで落ちてから浮遊魔術を使ったんですよ。あの子は馬担当だった。中々旨くやった」

飄々と語るレイモンドを少し恨めしそうに見ながら、カリーナは呼吸を整えた。

「そのまま、隠れ里に向かったのですね」
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