星の誓い〜異国の姫はアイスブルーの騎士に溺愛される〜

すなぎ もりこ

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20.真実-2

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レイモンドは頷いて、お茶のお代わりを勧めた。
後ろの机の上にあった木箱が開いてクッキーが飛び出し、隣の部屋から漂ってきたプレートの上に乗った。
カリーナの目の前で湯気を立てるカップの隣に、クッキーを乗せたプレートが着地した。
カリーナはもう驚かなかった。
お礼を言いながらクッキーを摘まんだ。

「正直、あの出来事であの子は相当傷ついていると思っていたし、育ての親とも離された生活には、私も不安が大きかったんですが…」

予想に反して、慣れない家事も意欲的にこなし、生き生きと過ごす様子を見て、内心驚いていたという。

「貴女の存在が大きかったと思います」

カリーナは過去に思いを馳せた。
私にとってもそうだ。
彼は、あの日々は、私の支えだった。そして、帰国した後もその思い出はずっとカリーナの心の拠り所だったのだ。

「貴女と離れてからのあの子は、余り笑わなくなってしまった。本心をずっと隠しているように見える。私に対しても同様です。それどころか避けられている」

レイモンドは寂しそうに笑う。

「その代わりと言うべきなのか、学問と鍛練に没頭し、いつの間にか隣に並ぶべき者がないほどの騎士となりましたが」

カリーナは唇を噛んで俯いた。

「お別れの時、私は笑うことも泣くこともできなかった。そうしなければならないと思っていたの」

あの時のことを思い出すと自然と涙が込み上げる。

「それで良いのです。貴女はあの子より少しばかり大人だったのでしょう」

レイモンドは優しく微笑んだ。

「私はね、今でも良く思い出すのです。手を繋いで笑いあっている貴方達の姿を。とても純粋で美しい光景だ。それと同時に強く胸が痛む。それを、大人の事情で引き裂いてしまったことを深く悔やむのです」

カリーナは涙を拭いながら言葉を絞り出す。

「だって、それは、仕方がないことだわ。貴方が気に病むことではないのに」

レイモンドはテーブルの向こうから手を伸ばし、カリーナの頭を撫でた。

「私もジュード様も、あの子の兄も、きっと貴女の兄上も、同じように悔やんでいるでしょう。そして、貴方達の幸せを心から願っている」

レイモンドは、カリーナの手を取って握りしめた。

「私達はもう何も強制しない。ですから、カリーナ様、貴女の望む幸せを掴むことに躊躇しないで下さい」
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