星の誓い〜異国の姫はアイスブルーの騎士に溺愛される〜

すなぎ もりこ

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スピンオフ:【マルコの初恋】柔らかな感触と劣情(18R)

本当の姿が見たい

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外に出ると、秋半ばの街に涼しい風が吹いていた。火照った身体に心地よい。

隣を歩くリズデをそっと窺う。
出来ればその腰を抱き寄せて、寄り添いながら歩きたい。
そんな柄にもない甘ったるい感情が沸き上がり、マルコはそっと苦笑した。


「そういえば、学園では文芸を専攻していたのに、途中で外交科に編入したらしいな、なんでだ?」


リズデは、少し逡巡した後に、うつむき加減で答えた。


「国外文化に興味を持ったのも理由のひとつですが、きっかけは、ボスの論文です。国内外の服飾文化と女性の地位向上をテーマにしたものでした」


マルコは、思いがけず自分の名前が出て虚を突かれた。


「あー、あれを読んだのかぁ」


実は、女性との付き合いの中で得た副産物なのだが…。
論文の期限が迫って無理やり仕上げたアレがなぁ。


「繊細な視点と、鋭い考察が印象的でした。読んだ当初は、この人は真のフェミニストだと感銘を受けたのですが…いまなら、わかります。あれはただのナンパ手引き書だったと」


バレたか…。


「それで、ボスに興味を持って調べたんです。その生い立ちと功績を知って、この人の下で働きたいと思うようになりました。まさか本当に外交部署に配属されるとは思っていませんでしたが…」


外交部署は難関だ。新人が配属されることは滅多にない。
たまたま職員が1人退職したところに成績優秀だったリズデがはまった、というところだろう。

「実際、俺に会ってどうだった?思ってたのと違ってがっかりしたろう?」

「正直、これほど女性関係にだらしないとは思ってもみませんでしたが、上司としては尊敬しています。ご安心下さい」

リズデの少し低めの声が耳に心地好い。
このままずっと聞いていたい。
わざとゆっくり歩きながら幾度となくリズデの横顔を堪能する。
思い返せば、これまでも飲みに行った帰りはこうしてとりとめのない話をしながら歩いていた。
実に長い付き合いだ。
恋人とは全くもって長続きしないマルコにとって、リズデが如何に得難い存在なのかを思い知る。
しかし、無情にも目前にリズデのアパートが見えてきた。
マルコは引き留めたい衝動を押さえ込んで見送る。
しかし、リズデがアパートの階段に足を掛けた瞬間、その手を思わず掴んでいた。
リズデが驚いて振り向く。

「ボス、どうされました?」

マルコはその滑らかな肌の感触を掌に感じて胸が高鳴る。
そっとピンク色の爪と指先を親指で撫でると、口元に引き寄せた。

リズデは唖然としてその様子を見つめている。

見せつけるように長く口付けて、上目遣いにリズデに目を合わせた。

リズデが小さく息を飲んだ。



「週末を楽しみにしている。逃げるなよ、リズデ」
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