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スピンオフ:【マルコの初恋】柔らかな感触と劣情(18R)
可愛い俺の部下
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「ボス、ガルシアから封書が届いております」
分厚いレンズの眼鏡をかけた相変わらず無愛想な部下が、白い封書をマルコに差し出した。
「ああ、リズデ、ありがとう」
マルコは受け取る振りをしてリズデの手を封書ごと掴み、指の腹でその滑らかな手の甲を愛撫した。
とっさに引き抜こうとしたリズデの手首を掴み、長めの袖の内側に人差し指を差し入れてゆっくり撫でる。
マルコの机上で行われている不埒な行為は、うず高く積まれた書類のおかげで外側からは全く見えない。
口を引き結んで懸命に平常心を保とうとするリズデを見て、ぞくぞくしている自分は、相当イカれている。
腕の柔らかい部分をつつ…と、なぞった後、ようやく手を解放すると、リズデは踵を返して早足で去った。
その後ろ姿を見送った後、マルコは手元の封書に視線を移した。
封書には銀色の封蝋がされており、見たことのある紋章が刻印されていた。
開封すると中から二つ折のカードが出てきた。
それに目を通して少し思案してから、マルコはポールを呼んだ。
***
「…ガルシアに同行?私がですか?」
「ああ、ガルシアの騎士副団長とジスペイン国の姫君の結婚式典に招待されたんでね、来月になるが同行してくれ」
「前回は、侍従を同伴されたと記憶していますが…」
「今回の機会にガルシアとジスペイン、ミネシアとも外交的にもっと関わりを深めたいと考えているんだ。補佐役が欲しい」
リズデは黙りこんだ。
「それに合わせて揃えて欲しいデータや諸々の打ち合わせをしたいので、悪いが、残ってくれ」
リズデはすごすごと席に戻る。
周りの職員が慰めるように声を掛けている。
これまで人付き合いが苦手だから、着飾るのが不得手だから、と周りから配慮され、リズデが視察や式典に携わることは滅多になかった。
そもそも担当物件がない。
しかし、データ収集や分析力に於いては並外れて優秀だったので、他の職員のブレーンとしての役割を確立していたのだ。
***
いつぞやと同じように職場に誰も居なくなると、マルコはリズデを応接室へと促した。
「何だって私なんです?」
開口一番リズデが訊ねた。
マルコは背後から抱きつくと、リズデの頭頂部にキスをしてから顔を覗き込んだ。
「何でだと思う?」
リズデは真っ赤になって俯いた。
「なあ、ドーランを塗るのを止めたんだな。こんなに可愛い頬を晒して俺は気が気じゃない」
囁いてその頬にキスをした。
そう、最近リズデは顔色を青白く見せていたドーランを塗っていない。
分厚いレンズの眼鏡と無造作髪はそのままだが、血色の良い薔薇色の頬はそれだけで人目を引く。
少し違った目でリズデを見始めた者がいることに、マルコは気付いていた。
「青みを出す原料が不作でドーランの入手が困難なんです。…この機会にやめようかと…」
「ふぅん?」
マルコはそのままリズデを抱え上げてソファーに寝かせ、上にのしかかった。
ダミーの眼鏡は外してテーブルの上に置く。
「ボス!仕事の話をするんじゃ無かったんですか?!」
リズデは両手でマルコの胸を押す。
マルコはいとも簡単にその両手を片手で纏めると、頭上で押さえ付けた。
エメラルドグリーンの大きな瞳に咎めるように見つめられ、マルコの胸が高鳴る。
「もちろん。でも後からな。週末に無理をさせたから自重してたけど、もう、5日もまともにリズデに触れてないから俺が限界なの。少し補充させて」
リズデは、頬を染めて目を伏せた。
「あれからボスが全く元通りだったので…あれは一回限りの気の迷いだったのかと思ってました」
「はあ、そんな訳ないだろ?リズデこそ、あからさまに俺を避けてただろ。恥ずかしいんだろうなとは思ってたけど、少なからず傷付いたぞ、俺は」
リズデはマルコを見上げて目を潤ませた。
「すみません…」
マルコはリズデにキスを降り注いだ。
「いいんだ。俺も不安にさせて悪かった」
リズデの身体を起こすと顎をそっと掴んで深く口付けた。
お互いの舌を絡め合い、角度を変えて何度も繰り返す。
舌先を合わせ舐め合った。
マルコは可愛い薄ピンクに染まる耳元で囁いた。
「なあ、身体は大丈夫?出来るなら今夜俺の家に連れ帰っても良い?」
リズデは小さく頷く。
マルコはぎゅっと華奢な身体を抱き締めると、高揚する気持ちを落ち着けた。
分厚いレンズの眼鏡をかけた相変わらず無愛想な部下が、白い封書をマルコに差し出した。
「ああ、リズデ、ありがとう」
マルコは受け取る振りをしてリズデの手を封書ごと掴み、指の腹でその滑らかな手の甲を愛撫した。
とっさに引き抜こうとしたリズデの手首を掴み、長めの袖の内側に人差し指を差し入れてゆっくり撫でる。
マルコの机上で行われている不埒な行為は、うず高く積まれた書類のおかげで外側からは全く見えない。
口を引き結んで懸命に平常心を保とうとするリズデを見て、ぞくぞくしている自分は、相当イカれている。
腕の柔らかい部分をつつ…と、なぞった後、ようやく手を解放すると、リズデは踵を返して早足で去った。
その後ろ姿を見送った後、マルコは手元の封書に視線を移した。
封書には銀色の封蝋がされており、見たことのある紋章が刻印されていた。
開封すると中から二つ折のカードが出てきた。
それに目を通して少し思案してから、マルコはポールを呼んだ。
***
「…ガルシアに同行?私がですか?」
「ああ、ガルシアの騎士副団長とジスペイン国の姫君の結婚式典に招待されたんでね、来月になるが同行してくれ」
「前回は、侍従を同伴されたと記憶していますが…」
「今回の機会にガルシアとジスペイン、ミネシアとも外交的にもっと関わりを深めたいと考えているんだ。補佐役が欲しい」
リズデは黙りこんだ。
「それに合わせて揃えて欲しいデータや諸々の打ち合わせをしたいので、悪いが、残ってくれ」
リズデはすごすごと席に戻る。
周りの職員が慰めるように声を掛けている。
これまで人付き合いが苦手だから、着飾るのが不得手だから、と周りから配慮され、リズデが視察や式典に携わることは滅多になかった。
そもそも担当物件がない。
しかし、データ収集や分析力に於いては並外れて優秀だったので、他の職員のブレーンとしての役割を確立していたのだ。
***
いつぞやと同じように職場に誰も居なくなると、マルコはリズデを応接室へと促した。
「何だって私なんです?」
開口一番リズデが訊ねた。
マルコは背後から抱きつくと、リズデの頭頂部にキスをしてから顔を覗き込んだ。
「何でだと思う?」
リズデは真っ赤になって俯いた。
「なあ、ドーランを塗るのを止めたんだな。こんなに可愛い頬を晒して俺は気が気じゃない」
囁いてその頬にキスをした。
そう、最近リズデは顔色を青白く見せていたドーランを塗っていない。
分厚いレンズの眼鏡と無造作髪はそのままだが、血色の良い薔薇色の頬はそれだけで人目を引く。
少し違った目でリズデを見始めた者がいることに、マルコは気付いていた。
「青みを出す原料が不作でドーランの入手が困難なんです。…この機会にやめようかと…」
「ふぅん?」
マルコはそのままリズデを抱え上げてソファーに寝かせ、上にのしかかった。
ダミーの眼鏡は外してテーブルの上に置く。
「ボス!仕事の話をするんじゃ無かったんですか?!」
リズデは両手でマルコの胸を押す。
マルコはいとも簡単にその両手を片手で纏めると、頭上で押さえ付けた。
エメラルドグリーンの大きな瞳に咎めるように見つめられ、マルコの胸が高鳴る。
「もちろん。でも後からな。週末に無理をさせたから自重してたけど、もう、5日もまともにリズデに触れてないから俺が限界なの。少し補充させて」
リズデは、頬を染めて目を伏せた。
「あれからボスが全く元通りだったので…あれは一回限りの気の迷いだったのかと思ってました」
「はあ、そんな訳ないだろ?リズデこそ、あからさまに俺を避けてただろ。恥ずかしいんだろうなとは思ってたけど、少なからず傷付いたぞ、俺は」
リズデはマルコを見上げて目を潤ませた。
「すみません…」
マルコはリズデにキスを降り注いだ。
「いいんだ。俺も不安にさせて悪かった」
リズデの身体を起こすと顎をそっと掴んで深く口付けた。
お互いの舌を絡め合い、角度を変えて何度も繰り返す。
舌先を合わせ舐め合った。
マルコは可愛い薄ピンクに染まる耳元で囁いた。
「なあ、身体は大丈夫?出来るなら今夜俺の家に連れ帰っても良い?」
リズデは小さく頷く。
マルコはぎゅっと華奢な身体を抱き締めると、高揚する気持ちを落ち着けた。
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