39 / 41
【番外編☆側近達の番物語☆フォルクス編】子ぎつねはお団子を食べて恋を知る
それから~エピローグ①
しおりを挟む
それから毎晩ねっとりと睦み合った結果、夫婦は待望の第二子を授かった。
春に誕生したその男の子はトトと名付けられ、お姉さんになる事を待ち望んでいたモモは大喜びだった。
サリエの両親は孫の誕生を祝い、通常1本の串に三つの団子を刺すところをひとつ増やし、四つの串刺し団子として店頭で振舞った。
しかし、誰よりもそれを多く腹に収めたのは、王都一番の団子好きを誇る娘婿だったそうな。
その後、他の側近達にも次々と子供が誕生した。
アナベル王妃の望みを叶えるべくシメオン王が王宮内に試験的に開設した保育所には、今日も小さな獣人の子供達が集まって甲高い声を上げている。
執務室の窓から飛び込んでくるその可愛らしい音楽に、シメオンは目を細める。
「中々良いものだな…子供の声は心を癒す」
「ええ。当初は保育士が王妃様とヴァニラの二人だけという事で心配していましたが、公務の合間に皆が世話をしてくれているようですね」
「モモも手伝ってくれるとアナベルが言っていた。しっかりした良い子だとベタ褒めだったぞ」
「あの中では一番年長ですからね。未だに私のしっぽを抱かないと寝付けない甘えん坊ですけれど」
フォルクスは少し照れくさそうに微笑む。
そして、保育所に関しての報告書を手に取ると、改めて目を通した。
「子供の入所を希望する声が増えてますね」
「夏にはベアルとマリムルの第一子が誕生するし、ミュカは妊活に専念するために休職願いを提出したとバットから聞いている」
「やはり、本格的な運用の前に保育士を補充する必要がありますね」
執務室の扉が開き、それぞれの任務から側近達が戻ってきた。
「やはり北の森付近に人が集まっていますね。どうやら隣国から逃れてきた難民のようです」
ドルマンがシメオンに報告する。
その後ろでチャドがどっかとソファーに腰を下ろす。
「内乱が長引いているようだな、確か現王政派から協力の要請がきてたよな」
シメオンが神妙な面持ちで頷く。
「現時点ではどちらか一方に加担する事は避けたい。返事は保留中だ」
「まあ、妥当だよな」
「北の森には水場が無いし、岩場も多い。食糧調達は難しいな」
ベアルはチャドと向い合わせのチェアに座り、腕を組む。
「難民の保護は干渉には当たらないでしょう。支援されては?」
「飢餓に苦しむ人間を見て見ぬふりするっていうのは気が引けるよなぁ」
「ところが、向こうが怯えてるんだよ。未だに獣人は野蛮で人を食うと思ってるんだ」
レッサードがフォルクスのデスクに寄りかかり、肩を竦めた。
春に誕生したその男の子はトトと名付けられ、お姉さんになる事を待ち望んでいたモモは大喜びだった。
サリエの両親は孫の誕生を祝い、通常1本の串に三つの団子を刺すところをひとつ増やし、四つの串刺し団子として店頭で振舞った。
しかし、誰よりもそれを多く腹に収めたのは、王都一番の団子好きを誇る娘婿だったそうな。
その後、他の側近達にも次々と子供が誕生した。
アナベル王妃の望みを叶えるべくシメオン王が王宮内に試験的に開設した保育所には、今日も小さな獣人の子供達が集まって甲高い声を上げている。
執務室の窓から飛び込んでくるその可愛らしい音楽に、シメオンは目を細める。
「中々良いものだな…子供の声は心を癒す」
「ええ。当初は保育士が王妃様とヴァニラの二人だけという事で心配していましたが、公務の合間に皆が世話をしてくれているようですね」
「モモも手伝ってくれるとアナベルが言っていた。しっかりした良い子だとベタ褒めだったぞ」
「あの中では一番年長ですからね。未だに私のしっぽを抱かないと寝付けない甘えん坊ですけれど」
フォルクスは少し照れくさそうに微笑む。
そして、保育所に関しての報告書を手に取ると、改めて目を通した。
「子供の入所を希望する声が増えてますね」
「夏にはベアルとマリムルの第一子が誕生するし、ミュカは妊活に専念するために休職願いを提出したとバットから聞いている」
「やはり、本格的な運用の前に保育士を補充する必要がありますね」
執務室の扉が開き、それぞれの任務から側近達が戻ってきた。
「やはり北の森付近に人が集まっていますね。どうやら隣国から逃れてきた難民のようです」
ドルマンがシメオンに報告する。
その後ろでチャドがどっかとソファーに腰を下ろす。
「内乱が長引いているようだな、確か現王政派から協力の要請がきてたよな」
シメオンが神妙な面持ちで頷く。
「現時点ではどちらか一方に加担する事は避けたい。返事は保留中だ」
「まあ、妥当だよな」
「北の森には水場が無いし、岩場も多い。食糧調達は難しいな」
ベアルはチャドと向い合わせのチェアに座り、腕を組む。
「難民の保護は干渉には当たらないでしょう。支援されては?」
「飢餓に苦しむ人間を見て見ぬふりするっていうのは気が引けるよなぁ」
「ところが、向こうが怯えてるんだよ。未だに獣人は野蛮で人を食うと思ってるんだ」
レッサードがフォルクスのデスクに寄りかかり、肩を竦めた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
どうぞお好きになさってください
みおな
恋愛
学園に入学して一ヶ月。
婚約者の第一王子殿下は言った。
「学園にいる間くらい自由にさせてくれないか。君が王太子妃になることは決定事項だ。だから、せめて学園に通う二年間は、僕は恋がしたい」
公爵令嬢はその綺麗な顔に冷酷な笑みを浮かべる。
「好きになさればよろしいわ」
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。