17 / 26
17
しおりを挟む
引き寄せられ、唇を合わせた。
ギヴのもう一方の手が、オレの顎を優しく固定する。その骨張った硬い指先に何故か体が震えた。
もう一度、と言ったのに、ギヴのキスはさっきまでのキスとは全然違う。
口の中にギヴの舌が入り込んで舐め上げていく。
「・・・んぅっ」
上顎を舐められて、思わず声を漏らした。
「ん、んっ、・・っ、ギヴ、っ・・!」
顔を振ってなんとかはずれた唇は、すぐにまた塞がれる。息が苦しい。ギヴの舌がオレの舌を絡め取り、すする。
力が抜けた手はギヴを押し返すことができなかった。
「もっと教えてください、ラド。──コレは?どうしたらいいですか?」
手を取られ、ギヴの股間に当てられた。──そこは、芯をもち、膨らんでいた。
「な!」
布越しとはいえ熱い、生々しい感覚に、とっさに逃げようと体を浮かせると、そのまま三人掛けのソファの上に押し倒された。
「・・・あ、・・らないっ。・・・知、らない・・っ」
「知らないんですか?いつもはどんなふうにしてるんです?」
「──ば、ばかっ!離せ、よ、・・離せ、ってば」
オレに覆い被さりながら、ギヴが荒い息を吐く。いつもの紳士然としたギヴじゃなかった。
──怖い。
「おーい。夕食の時間だべ~」
ドアの外からノックの音とテムの声。
そうだった。もうすぐ夕食だと言われていたのだった。
「・・・くっ」
ギヴがドアを睨みつけた。
どうやらギヴも忘れていたらしい。
「・・・あ、あの、すぐに行くよ。先に行ってて」
「おけ。でもなんか困ったことがあるなら大声で教えろよ。俺達は耳がいいからな」
今度はトールの声だ。
「──わざとか・・?」
ドアを睨みつけながら、不敵にギヴが嗤う。綺麗な顔が歪み、魔王のように凄みがある。見たことないけど。
「・・・ギヴ、・・夕食だって」
「──ええ。・・・すいませんでした。少し、箍が外れてしまいました。怖がらせてしまいましたね、すいません」
「だ、大丈夫。オレも男だし」
──男だから何だというのか。よくわからない返答をしてしまった。本当はギヴが怖くてたまらなかった。体格の差も、思ったよりずっとあった。
抱き起こされ、そっと頭を撫でられる。
家に帰ったらエンに男同士の閨ごとを聞こう。ギヴの様子からするとキス以上のことがあるみたいだ。そして、リベンジだ。なんといってもオレのほうが三つも歳上なんだから。
「では、行きましょうか」
ふう、と一つ息を吐き、ギヴが立ち上がった。右手を取られ、エスコートされながらオレもソファから立ち上がる。
このギヴのエスコート癖はどうにかならないものか。
すっかり慣れてしまった自分が、さっきとはまた違う意味で怖いんだけど。
夕食はテーブルに大皿料理がいくつも並び、各自で取り分けて食べるスタイルだった。
給仕は付かず、飲み物も自分たちで注ぎ合う。
ラベルの貼られていない赤ワインの瓶を見て、もしかして、と思った。
「気の利いた手土産をありがとう。今宵はボジョレーを楽しませてもらうよ」
村長の言葉に、ギヴがそっと目配せをくれる。そうか、手土産の一つにうちの領のワインを選んでくれていたのか。
「今年はぶどうの出来が良かったものですから。お口に合うと嬉しいのですが」
5人で乾杯をし、食事にうつる。料理はどれも素晴らしく美味しかった。ボジョレーも、さっぱりした風味がどの料理にもよく合っている。
食事の途中で焼き立てのステーキやチーズフォンデュが出てきた。
「ご馳走ですね!ギヴから聞いていましたが、どれもとても美味しいです」
「ほっほっ、その言葉がなによりですじゃ」
「ラブラドライト、食事が終わったら俺たちと露天風呂はどうだい?」
「ちいっと登ったところに温泉が湧いているんだべ。今日は天気がいいから、満天の星を見ながら入れるべ」
トールとテムが誘ってくれた。
「露天風呂だね!ギヴから聞いてるよ。ぜひ行ってみたい!」
「それで、そこの山小屋でみんなで雑魚寝するってのはどうだい?藁にシーツを掛けてベッドにしてさ」
「楽しそうだね!ぜひ・・・」
──カチャン。
カトラリーとお皿が立てる音にギヴの方を見る。
「失礼しました」
「気にしないでおくれ」
謝るギヴに村長が鷹揚に応えた。
食事中に立てる音はマナー違反だけども、そもそもこれだけわいわい話しているのだ、カトラリーが立てる音などどれほどでもない。ただ、今まで一度もギヴが粗相をしたところを見たことがなかったから、少し違和感を感じた。
「──いだだ」
「すまない、足が当たってしまったようだ」
ギヴがテムに謝るが、相当痛かったようで、テムが涙目でテーブルに隠れた足をさすっている。テーブルの下で何があった?
「おい、ギベオン。テムに八つ当たりはよせ。俺たちはいつだって宝石の下僕なのさ」
「・・・やはり、わざとか」
──魔王再び。
不敵に微笑むギヴが怖かった。
「ギ、ギヴ?露天風呂、イヤだった?楽しそうだよ?・・ね?」
「・・・ええ。貴方は意外にもアウトドア好きでしたね」
はぁ、と大きく息を吐かれた。
ギヴのもう一方の手が、オレの顎を優しく固定する。その骨張った硬い指先に何故か体が震えた。
もう一度、と言ったのに、ギヴのキスはさっきまでのキスとは全然違う。
口の中にギヴの舌が入り込んで舐め上げていく。
「・・・んぅっ」
上顎を舐められて、思わず声を漏らした。
「ん、んっ、・・っ、ギヴ、っ・・!」
顔を振ってなんとかはずれた唇は、すぐにまた塞がれる。息が苦しい。ギヴの舌がオレの舌を絡め取り、すする。
力が抜けた手はギヴを押し返すことができなかった。
「もっと教えてください、ラド。──コレは?どうしたらいいですか?」
手を取られ、ギヴの股間に当てられた。──そこは、芯をもち、膨らんでいた。
「な!」
布越しとはいえ熱い、生々しい感覚に、とっさに逃げようと体を浮かせると、そのまま三人掛けのソファの上に押し倒された。
「・・・あ、・・らないっ。・・・知、らない・・っ」
「知らないんですか?いつもはどんなふうにしてるんです?」
「──ば、ばかっ!離せ、よ、・・離せ、ってば」
オレに覆い被さりながら、ギヴが荒い息を吐く。いつもの紳士然としたギヴじゃなかった。
──怖い。
「おーい。夕食の時間だべ~」
ドアの外からノックの音とテムの声。
そうだった。もうすぐ夕食だと言われていたのだった。
「・・・くっ」
ギヴがドアを睨みつけた。
どうやらギヴも忘れていたらしい。
「・・・あ、あの、すぐに行くよ。先に行ってて」
「おけ。でもなんか困ったことがあるなら大声で教えろよ。俺達は耳がいいからな」
今度はトールの声だ。
「──わざとか・・?」
ドアを睨みつけながら、不敵にギヴが嗤う。綺麗な顔が歪み、魔王のように凄みがある。見たことないけど。
「・・・ギヴ、・・夕食だって」
「──ええ。・・・すいませんでした。少し、箍が外れてしまいました。怖がらせてしまいましたね、すいません」
「だ、大丈夫。オレも男だし」
──男だから何だというのか。よくわからない返答をしてしまった。本当はギヴが怖くてたまらなかった。体格の差も、思ったよりずっとあった。
抱き起こされ、そっと頭を撫でられる。
家に帰ったらエンに男同士の閨ごとを聞こう。ギヴの様子からするとキス以上のことがあるみたいだ。そして、リベンジだ。なんといってもオレのほうが三つも歳上なんだから。
「では、行きましょうか」
ふう、と一つ息を吐き、ギヴが立ち上がった。右手を取られ、エスコートされながらオレもソファから立ち上がる。
このギヴのエスコート癖はどうにかならないものか。
すっかり慣れてしまった自分が、さっきとはまた違う意味で怖いんだけど。
夕食はテーブルに大皿料理がいくつも並び、各自で取り分けて食べるスタイルだった。
給仕は付かず、飲み物も自分たちで注ぎ合う。
ラベルの貼られていない赤ワインの瓶を見て、もしかして、と思った。
「気の利いた手土産をありがとう。今宵はボジョレーを楽しませてもらうよ」
村長の言葉に、ギヴがそっと目配せをくれる。そうか、手土産の一つにうちの領のワインを選んでくれていたのか。
「今年はぶどうの出来が良かったものですから。お口に合うと嬉しいのですが」
5人で乾杯をし、食事にうつる。料理はどれも素晴らしく美味しかった。ボジョレーも、さっぱりした風味がどの料理にもよく合っている。
食事の途中で焼き立てのステーキやチーズフォンデュが出てきた。
「ご馳走ですね!ギヴから聞いていましたが、どれもとても美味しいです」
「ほっほっ、その言葉がなによりですじゃ」
「ラブラドライト、食事が終わったら俺たちと露天風呂はどうだい?」
「ちいっと登ったところに温泉が湧いているんだべ。今日は天気がいいから、満天の星を見ながら入れるべ」
トールとテムが誘ってくれた。
「露天風呂だね!ギヴから聞いてるよ。ぜひ行ってみたい!」
「それで、そこの山小屋でみんなで雑魚寝するってのはどうだい?藁にシーツを掛けてベッドにしてさ」
「楽しそうだね!ぜひ・・・」
──カチャン。
カトラリーとお皿が立てる音にギヴの方を見る。
「失礼しました」
「気にしないでおくれ」
謝るギヴに村長が鷹揚に応えた。
食事中に立てる音はマナー違反だけども、そもそもこれだけわいわい話しているのだ、カトラリーが立てる音などどれほどでもない。ただ、今まで一度もギヴが粗相をしたところを見たことがなかったから、少し違和感を感じた。
「──いだだ」
「すまない、足が当たってしまったようだ」
ギヴがテムに謝るが、相当痛かったようで、テムが涙目でテーブルに隠れた足をさすっている。テーブルの下で何があった?
「おい、ギベオン。テムに八つ当たりはよせ。俺たちはいつだって宝石の下僕なのさ」
「・・・やはり、わざとか」
──魔王再び。
不敵に微笑むギヴが怖かった。
「ギ、ギヴ?露天風呂、イヤだった?楽しそうだよ?・・ね?」
「・・・ええ。貴方は意外にもアウトドア好きでしたね」
はぁ、と大きく息を吐かれた。
83
あなたにおすすめの小説
【完結】運命じゃない香りの、恋
麻田夏与/Kayo Asada
BL
オメガ性のリュカ・レバノンは、王国の第一王子ダイセルが見初めた、彼の運命の番だ。だが、ダイセル王子に無体な真似を働かれ、リュカは婚約の王命を断ろうとする。当然、王宮からの追っ手が来たところで──「そなた、何やら素晴らしい香りをしているな」。その声は、国一番の魔術師兼調香師のマシレ・グラースのものだった。調香師アルファ×不幸めオメガのラブストーリー。
この運命を、あなたに。
皆中透
BL
オメガが治める国、オルサラータ。この国は、王がアルファを側室に迎える形式で子孫を残し、繁栄して来た。
イセイは現王ジュオの運命のつがいとの間の息子で、ジュオの二番目の子供にあたる。彼には兄が一人と弟が二人いるのだが、その弟の父であるイファに長年恋心を寄せていた。
しかし、実父の側室であり、弟たちの父親である人を奪ってまで幸せになる事など出来ないと思い、一度もその想いを告げたことはなかった。そして、成人後には遠くの領地をもらい、イファから離れる道を選ぶと決めている。そうして想いに蓋をしたまま、彼は成人の日を迎えた。
祝宴の日の朝、正装をした四兄弟は杯を交わし、これからも変わらずにいることを誓い合おうとしていた。すると、その杯を飲み干したイセイは、そのままその場に倒れ込んでしまう。
暗殺かと思われたその出来事は、イセイが翌日目を覚ましたことで杞憂に終わったのだが、目覚めたイセイはなぜかオメガになっていて……。
秘めた想いが絡まり合い、真っ直ぐに繋がれない恋。
不器用な二人が番うまでの日々を綴る、訳ありオメガバース。
メランコリック・ハートビート
おしゃべりマドレーヌ
BL
【幼い頃から一途に受けを好きな騎士団団長】×【頭が良すぎて周りに嫌われてる第二王子】
------------------------------------------------------
『王様、それでは、褒章として、我が伴侶にエレノア様をください!』
あの男が、アベルが、そんな事を言わなければ、エレノアは生涯ひとりで過ごすつもりだったのだ。誰にも迷惑をかけずに、ちゃんとわきまえて暮らすつもりだったのに。
-------------------------------------------------------
第二王子のエレノアは、アベルという騎士団団長と結婚する。そもそもアベルが戦で武功をあげた褒賞として、エレノアが欲しいと言ったせいなのだが、結婚してから一年。二人の間に身体の関係は無い。
幼いころからお互いを知っている二人がゆっくりと、両想いになる話。
【完結】偽装結婚の代償〜リュシアン視点〜
伽羅
BL
リュシアンは従姉妹であるヴァネッサにプロポーズをした。
だが、それはお互いに恋愛感情からくるものではなく、利害が一致しただけの関係だった。
リュシアンの真の狙いとは…。
「偽装結婚の代償〜他に好きな人がいるのに結婚した私達〜」のリュシアン視点です。
ルピナスの花束
キザキ ケイ
BL
王宮の片隅に立つ図書塔。そこに勤める司書のハロルドは、変わった能力を持っていることを隠して生活していた。
ある日、片想いをしていた騎士ルーファスから呼び出され、告白を受ける。本来なら嬉しいはずの出来事だが、ハロルドは能力によって「ルーファスが罰ゲームで自分に告白してきた」ということを知ってしまう。
想う相手に嘘の告白をされたことへの意趣返しとして、了承の返事をしたハロルドは、なぜかルーファスと本物の恋人同士になってしまい───。
次は絶対死なせない
真魚
BL
【皇太子x氷の宰相】
宰相のサディアスは、密かにずっと想っていたカイル皇子を流行病で失い、絶望のどん底に突き落とされた。しかし、目覚めると数ヶ月前にタイムリープしており、皇子はまだ生きていた。
次こそは絶対に皇子を死なせないようにと、サディアスは皇子と聖女との仲を取り持とうとするが、カイルは聖女にまったく目もくれない。それどころかカイルは、サディアスと聖女の関係にイラつき出して……
※ムーンライトノベルズにも掲載しています
【完結】《BL》溺愛しないで下さい!僕はあなたの弟殿下ではありません!
白雨 音
BL
早くに両親を亡くし、孤児院で育ったテオは、勉強が好きだった為、修道院に入った。
現在二十歳、修道士となり、修道院で静かに暮らしていたが、
ある時、強制的に、第三王子クリストフの影武者にされてしまう。
クリストフは、テオに全てを丸投げし、「世界を見て来る!」と旅に出てしまった。
正体がバレたら、処刑されるかもしれない…必死でクリストフを演じるテオ。
そんなテオに、何かと構って来る、兄殿下の王太子ランベール。
どうやら、兄殿下と弟殿下は、密な関係の様で…??
BL異世界恋愛:短編(全24話) ※魔法要素ありません。※一部18禁(☆印です)
《完結しました》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる