(完結)異世界から召喚したアンドロイドに婚約者を取られたけれど、言い寄ってくる魔導師が可愛い

コーヒーブレイク

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未来の国王

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 地下を脱出した天馬は、誰もいない王宮の片隅で、ジュリアたちと気絶している兵士たちを降ろした。
 シャルルの顔色は目に見えて悪かった。

「私は……今まで何も知らなかったんだな。兄上の本性も、自分のことも」

 少年王子はくやしさに顔を歪ませ、唇を噛んだ。

「いや、本当はうすうす分かっていたのに、分からないふりをしていただけなのかもしれない」

「シャルル殿下……。それは、わたくしも同じですわ。うわべのジルベール様を信じ、彼と結婚すれば幸せになれるとただ信じて、自分では何も考えていませんでした」

 ジュリアはシャルルと向き合い、正直な自分の気持ちを打ち明けた。女のくせに何を知ったようなことを、と言われるかも知れないと思ったが、シャルルはあどけない顔をジュリアに向けただけだった。

「シャルル殿下、これからどうするおつもりで?」

 ミゲルが聞いた。百匹のトカゲを目の前にしたために、まだ気分が悪そうだった。

「父上と、母上と、兄上……ジルベールと話し合おうと思う。父上もそうだが、ジルベールのあの様子じゃ話し合いは難しいだろうが、側近や、親交のある諸外国にも働きかけてみるよ。王子として、この国のためにできることをしなければ」

 シャルルは表情を引き締めた。覚悟を決めた顔だった。
 と、そのとき、シャルルの色素の薄い髪が、青く光り出した。

「な、なんだ? 体が妙に熱い……」シャルルは自身の体を抱いた。

「シャルル殿下、魔力が溢れています! これは、僕と同じ、一級魔導師並みですよ! シャルル殿下には素質がおありだったんですね!」

 ミゲルが叫んだ。

「わ、私にはもともと魔力は少ししかなかったはずだが。……すごい、体に力が溢れてくる」

『未来の国王にふさわしくなったので、力が目覚めたのだよ』

 水の天馬がそう言って、はははと愉快そうに笑った。

「未来の国王……」

 シャルルは天馬のその言葉を反芻した。

「シャルル殿下は十六歳ですよね、十四で魔力に目覚めた僕より遅咲きじゃないですか」

 ミゲルが茶化すように言う。シャルルはその言葉に気分を害した様子もなく、はにかんだように笑った。

「そうだな。本当に本当のレアケースだ。……ミゲル殿、トカゲを使った拷問をしたりして、すまなかった」

「いいですよ。実際シャルル殿下は僕に何もなさらなかったじゃないですか」

「君に拷問は無理だ。こっちが罪悪感を覚えてしまう」

 シャルルは今度こそ、声をたてて笑った。ジュリアと天馬も一緒に笑った。ミゲルだけが意味が分からない、というふうに首を傾げた。
 ひとしきり笑ったあと、ふいに、沈んでゆく夕日を見て、ジュリアははっとした。

「ミゲル、わたくし、家に戻らないと。お父様がカンカンだわ」

「そうだね。じゃあ、天馬で家まで送ろう」

 ミゲルの言葉に、天馬は翼を広げた。水でできた翼が、夕日で赤くきらめいた。 
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