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暴走アンドロイド、再び
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「ジィィィイイイイルベェルウゥゥゥウーー!!」
天馬が吹き飛ばした扉がもともとあった場所、つまりこの部屋の入り口に、黒いドレスを着た、一人の女が立っていた。艶やかな長い髪を逆立て、仁王立ちになり、ジルベールの名を連呼している。兵士たちが立ち向かうが、彼らは丸めた紙くずのごとく投げ捨てられ、とても彼女に太刀打ちできなかった。
壊れた23世紀のアンドロイドは無敵だった。
「ひいいっ」
彼女を見るなりジルベールが、情けない悲鳴を上げた。脱兎のごとく逃げようとするも、床に置かれたトカゲケースにつまづいて、べしゃりと派手に転んでしまう。倒れたケースの中からは大量のトカゲがぞろぞろと……。
「ぎゃーー!! ジュリア様! 百匹のトカゲです! に、逃げましょう早くここから!!」
それを見たミゲルがパニックを起こし、ジュリアに抱きついた。
「ミゲル、アンドロイドさんは一体どうしてしまったの? まるで別人のようよ」
ジュリアはミゲルを抱きとめながら、疑問を口にした。
今のアンドロイドには、ジュリアが初めて出会ったときに感じたたおやかさはかけらもなく、さながら獲物を逃がすまいとする猛獣のようだった。
ミゲルの居場所を突き止めるため必死で失念していたが、ジルベールの部屋に突っ込んだときも、アンドロイドはジルベールに馬乗りになり、彼を襲っていた。……痴話ゲンカにしては激しい。
「多分、何かの拍子に壊れてしまったのでしょう。彼女は機械ですから」
「キカイ?」
「彼女は人間じゃないんです。人間を私的な理由で異世界から連れ去ってくるわけにはいかないですから」
「まあ……」
ジュリアは驚いた。あんなに美しいのに、人間じゃないなんて。もっとも、今やその美しい顔は鬼のほうが幾分ましといえるほどのすごい形相になっているが。
『ジュリアよ、もうここにいる意味はない。兵士たちは皆伸びてしまったようだし、我々もさっさと出よう。おい、そこの少年王子、貴様も我の背に乗れ』
水の天馬がぼうっと突っ立ったままのシャルルに言った。天馬の言葉に、シャルルははじかれたように気を取り直した。
「い、いや、気を失っている兵士たちを見捨ててはいけない。私を守るためにアンドロイド殿に立ち向かってくれたのだから」
『では兵士たちも背に乗せて行こう。アンドロイドの目的はどうやらあの男、ジルベールのようだから、我々はさっさと退散するのみ』
ジュリアとミゲル、そしてシャルルが天馬の背に乗ると、天馬は扉の方に移動して、気絶している兵士を一人一人くわえては背中の方に放り投げるようにして、自分の体に乗せた。水でできた体は彼らをはじき返すことなく受け止めた。
「ま、待て! 俺はどうなる! 俺を見捨てる気か?」
ジルベールは今や哀れにも大量のトカゲにまみれながら、アンドロイドによって床に押さえつけられていた。
「ジィルベェル……オマエノ……チョンギッテヤル……」
「うわあああああああ、い、嫌だ、た、助けてくれ、ジュリア、シャルル、頼むから!」
『皆乗ったな。よし、行くぞ』
天馬はふわりと浮き、階段を昇り、地上を目指し駆けていった。
「ま、待ってくれーー!!」
「ジルベェル……ニガサナイ……」
バスローブがはぎとられ、宙を舞った。
天馬が吹き飛ばした扉がもともとあった場所、つまりこの部屋の入り口に、黒いドレスを着た、一人の女が立っていた。艶やかな長い髪を逆立て、仁王立ちになり、ジルベールの名を連呼している。兵士たちが立ち向かうが、彼らは丸めた紙くずのごとく投げ捨てられ、とても彼女に太刀打ちできなかった。
壊れた23世紀のアンドロイドは無敵だった。
「ひいいっ」
彼女を見るなりジルベールが、情けない悲鳴を上げた。脱兎のごとく逃げようとするも、床に置かれたトカゲケースにつまづいて、べしゃりと派手に転んでしまう。倒れたケースの中からは大量のトカゲがぞろぞろと……。
「ぎゃーー!! ジュリア様! 百匹のトカゲです! に、逃げましょう早くここから!!」
それを見たミゲルがパニックを起こし、ジュリアに抱きついた。
「ミゲル、アンドロイドさんは一体どうしてしまったの? まるで別人のようよ」
ジュリアはミゲルを抱きとめながら、疑問を口にした。
今のアンドロイドには、ジュリアが初めて出会ったときに感じたたおやかさはかけらもなく、さながら獲物を逃がすまいとする猛獣のようだった。
ミゲルの居場所を突き止めるため必死で失念していたが、ジルベールの部屋に突っ込んだときも、アンドロイドはジルベールに馬乗りになり、彼を襲っていた。……痴話ゲンカにしては激しい。
「多分、何かの拍子に壊れてしまったのでしょう。彼女は機械ですから」
「キカイ?」
「彼女は人間じゃないんです。人間を私的な理由で異世界から連れ去ってくるわけにはいかないですから」
「まあ……」
ジュリアは驚いた。あんなに美しいのに、人間じゃないなんて。もっとも、今やその美しい顔は鬼のほうが幾分ましといえるほどのすごい形相になっているが。
『ジュリアよ、もうここにいる意味はない。兵士たちは皆伸びてしまったようだし、我々もさっさと出よう。おい、そこの少年王子、貴様も我の背に乗れ』
水の天馬がぼうっと突っ立ったままのシャルルに言った。天馬の言葉に、シャルルははじかれたように気を取り直した。
「い、いや、気を失っている兵士たちを見捨ててはいけない。私を守るためにアンドロイド殿に立ち向かってくれたのだから」
『では兵士たちも背に乗せて行こう。アンドロイドの目的はどうやらあの男、ジルベールのようだから、我々はさっさと退散するのみ』
ジュリアとミゲル、そしてシャルルが天馬の背に乗ると、天馬は扉の方に移動して、気絶している兵士を一人一人くわえては背中の方に放り投げるようにして、自分の体に乗せた。水でできた体は彼らをはじき返すことなく受け止めた。
「ま、待て! 俺はどうなる! 俺を見捨てる気か?」
ジルベールは今や哀れにも大量のトカゲにまみれながら、アンドロイドによって床に押さえつけられていた。
「ジィルベェル……オマエノ……チョンギッテヤル……」
「うわあああああああ、い、嫌だ、た、助けてくれ、ジュリア、シャルル、頼むから!」
『皆乗ったな。よし、行くぞ』
天馬はふわりと浮き、階段を昇り、地上を目指し駆けていった。
「ま、待ってくれーー!!」
「ジルベェル……ニガサナイ……」
バスローブがはぎとられ、宙を舞った。
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