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第二章 大家族になりました
第一話 住み始めたのよ
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アビーにとっての二組の祖父母と一緒に暮らし始めて一週間が経った。
幸いアビーの家には予備室として使っていない部屋があったので、そこをそれぞれの祖父母に使ってもらい、家が建つまでの仮住まいとしていた。
日々の生活ではコーディとゴードンは暇を持て余しているのか、カーペンの手伝いとしてそれぞれの家の建設作業を手伝っている。
コーディは鍛冶屋、ゴードンは木工所を営んでいたので、なんとか作業の邪魔になることにはなっていないようだ。
では、祖母達は何をしているんかと言えば、家の中を分担して家事をしている。そんなに毎日することがあるのかと思われがちだが、普段はあまり手を掛けていない箇所の掃除や、着ている物のほつれなどを補修したり、アビーの洋服を作ったりと割と忙しく生活している。
それで、アビーはと言えば、いつもの様に山の中を掛け回っている。
「ねえ、アビーはいつも山の中を走り回っているの?」
「そうなの?」
「うん。ほぼ毎日だけど、山の中にある池の所まで行っているみたいよ」
「あら、そんな場所があるのなら一度は行ってみたいわね」
「そうね。どのくらいの距離なの?」
「あ、えっとね。マークの話だと十キロメートルはあるらしいわよ」
「「……」」
「行ってみます?」
「止めとくわ」
「そうね。とてもじゃないけど歩きでは無理ね」
やがて、昼になり戻って来たアビーは家の建設現場に興味を持ち近寄る。
「コー爺、ドン爺、ただいま!」
「おう、アビーお帰り」
「お帰り。で、今日はどうだった?」
「うん。いつも通りだよ」
祖父達に帰宅の挨拶をすると、祖父達の足下に転がる木っ端が目に入る。
「ねえドン爺、これってもらってもいいの?」
「そんな木っ端をどうするんじゃ?」
「あのね、こうやって積み重ねて遊ぶの」
そう言って、アビーは転がっている色んな種類の木っ端を重ねて高く積み上げてみたり、家の形を作って見せる。
「ほう。じゃが、このままじゃ棘が危ないな」
「大丈夫だよ」
アビーはそう言って、近くに転がっていた大きめの石で木っ端の表面を擦って見せる。
「ほら、ね?」
「どれ」
アビーが石で擦った木っ端をゴードンに渡すとゴードンはそれを眺め納得する。
「うむ。確かにな」
「どれ? ほう、確かに棘は見当たらないな」
「ねえ、ドン爺。この位の木箱に収まるように作って欲しいんだけど?」
「どら?」
アビーが地面に縦三十センチメートル、横五十センチメートルくらいの長方形を書くと、その中に三角や四角に円柱などの図形を書き込み、枠にびったり収まるような形で厚さは五センチメートルくらいにした積み木が欲しいとおねだりする。
「面白そうじゃないか。俺も手伝うから作ってやろうじゃないか」
「そうじゃな。アビーの初めてのおねだりじゃ。よし、爺ちゃん達に任せるのじゃ」
「楽しみにしてろよ」
「うん! 待ってる」
ゴードン達におねだりをしたアビーは家に入る。
「ただいま~」
「「「おかえり~」」」
「お婆ちゃん達、ただいま!」
アビーはジュディ、ジョディ、ソニアと順番に抱き着く。
「爺ちゃん達はまだ、帰って来ないのかい?」
「あ! 呼ぶの忘れてた。呼んで来る!」
慌てて家から飛び出すアビーを微笑ましく見ている。
「不思議な子ね」
「そうね。あの子が側にいるだけでなんだか体が楽になる気がするの」
「あら、ソニアもなの」
「やっぱり、私だけじゃなかったんだ」
「じゃ、ジュディは前から気付いていたの?」
「う~ん、気付いていたというか、単なる親馬鹿の類だと思っていたのよ。子供には癒されるものだと思っていたし」
「まあ、自分の子供相手ならそう思ってもしょうがないわよね。事実、私もそうだったしね」
「でも、それだけじゃないんでしょ。ジュディの場合は」
「うん。そうなの。今、思えばアビーのお陰かなって思えることもね」
「ふふふ、そうなのね。でも、本当に不思議な子よね」
「爺ちゃん達、呼んで来たよ~」
「は~い。ほら、お喋りはお終いよ。お昼にしましょう」
「そうね。ジュディ、ほら、お父さん達を待たせちゃ悪いわ」
「はい」
アビーがゴードン、コーディの二人の手を引いて玄関を開けると、ジョディにソニアもアビーに返事をすると、お昼の用意を始める。
「「「「「「頂きます!」」」」」」
お昼を食べながら、家の建設状況などをコーディ達が説明する。
「じゃあ、完成は一月後か。なら、引越はそのくらいだな」
「コー爺達は出て行くの?」
「アビー、出て行くんじゃないのよ。この家じゃなくって、今作っている家に移るだけなのよ」
「そうなんだね。よかったぁ」
「アビーは私達と離れるのが嫌なのね」
「ソニア婆ちゃん、何言ってんの! 当たり前でしょ!」
ソニアの言葉にアビーは膨れっ面になり、ソニアに対し怒った様子を見せる。
「アビー。よく聞いてね。私達はもう、あなたと離れる気はないのよ。例え、アビーがイヤだと言ってもね」
「言わないもん!」
「でも、アビーはいつかお嫁にいくでしょ?」
「行かないよ。お母さんはお婿に来てもらえばいいって言ってたし」
「あ、そうか。そうよね」
「その手があったわね」
「ジョディ、ダメよ。マークはあげないわよ」
「ふふふ、もういいわよ」
幸いアビーの家には予備室として使っていない部屋があったので、そこをそれぞれの祖父母に使ってもらい、家が建つまでの仮住まいとしていた。
日々の生活ではコーディとゴードンは暇を持て余しているのか、カーペンの手伝いとしてそれぞれの家の建設作業を手伝っている。
コーディは鍛冶屋、ゴードンは木工所を営んでいたので、なんとか作業の邪魔になることにはなっていないようだ。
では、祖母達は何をしているんかと言えば、家の中を分担して家事をしている。そんなに毎日することがあるのかと思われがちだが、普段はあまり手を掛けていない箇所の掃除や、着ている物のほつれなどを補修したり、アビーの洋服を作ったりと割と忙しく生活している。
それで、アビーはと言えば、いつもの様に山の中を掛け回っている。
「ねえ、アビーはいつも山の中を走り回っているの?」
「そうなの?」
「うん。ほぼ毎日だけど、山の中にある池の所まで行っているみたいよ」
「あら、そんな場所があるのなら一度は行ってみたいわね」
「そうね。どのくらいの距離なの?」
「あ、えっとね。マークの話だと十キロメートルはあるらしいわよ」
「「……」」
「行ってみます?」
「止めとくわ」
「そうね。とてもじゃないけど歩きでは無理ね」
やがて、昼になり戻って来たアビーは家の建設現場に興味を持ち近寄る。
「コー爺、ドン爺、ただいま!」
「おう、アビーお帰り」
「お帰り。で、今日はどうだった?」
「うん。いつも通りだよ」
祖父達に帰宅の挨拶をすると、祖父達の足下に転がる木っ端が目に入る。
「ねえドン爺、これってもらってもいいの?」
「そんな木っ端をどうするんじゃ?」
「あのね、こうやって積み重ねて遊ぶの」
そう言って、アビーは転がっている色んな種類の木っ端を重ねて高く積み上げてみたり、家の形を作って見せる。
「ほう。じゃが、このままじゃ棘が危ないな」
「大丈夫だよ」
アビーはそう言って、近くに転がっていた大きめの石で木っ端の表面を擦って見せる。
「ほら、ね?」
「どれ」
アビーが石で擦った木っ端をゴードンに渡すとゴードンはそれを眺め納得する。
「うむ。確かにな」
「どれ? ほう、確かに棘は見当たらないな」
「ねえ、ドン爺。この位の木箱に収まるように作って欲しいんだけど?」
「どら?」
アビーが地面に縦三十センチメートル、横五十センチメートルくらいの長方形を書くと、その中に三角や四角に円柱などの図形を書き込み、枠にびったり収まるような形で厚さは五センチメートルくらいにした積み木が欲しいとおねだりする。
「面白そうじゃないか。俺も手伝うから作ってやろうじゃないか」
「そうじゃな。アビーの初めてのおねだりじゃ。よし、爺ちゃん達に任せるのじゃ」
「楽しみにしてろよ」
「うん! 待ってる」
ゴードン達におねだりをしたアビーは家に入る。
「ただいま~」
「「「おかえり~」」」
「お婆ちゃん達、ただいま!」
アビーはジュディ、ジョディ、ソニアと順番に抱き着く。
「爺ちゃん達はまだ、帰って来ないのかい?」
「あ! 呼ぶの忘れてた。呼んで来る!」
慌てて家から飛び出すアビーを微笑ましく見ている。
「不思議な子ね」
「そうね。あの子が側にいるだけでなんだか体が楽になる気がするの」
「あら、ソニアもなの」
「やっぱり、私だけじゃなかったんだ」
「じゃ、ジュディは前から気付いていたの?」
「う~ん、気付いていたというか、単なる親馬鹿の類だと思っていたのよ。子供には癒されるものだと思っていたし」
「まあ、自分の子供相手ならそう思ってもしょうがないわよね。事実、私もそうだったしね」
「でも、それだけじゃないんでしょ。ジュディの場合は」
「うん。そうなの。今、思えばアビーのお陰かなって思えることもね」
「ふふふ、そうなのね。でも、本当に不思議な子よね」
「爺ちゃん達、呼んで来たよ~」
「は~い。ほら、お喋りはお終いよ。お昼にしましょう」
「そうね。ジュディ、ほら、お父さん達を待たせちゃ悪いわ」
「はい」
アビーがゴードン、コーディの二人の手を引いて玄関を開けると、ジョディにソニアもアビーに返事をすると、お昼の用意を始める。
「「「「「「頂きます!」」」」」」
お昼を食べながら、家の建設状況などをコーディ達が説明する。
「じゃあ、完成は一月後か。なら、引越はそのくらいだな」
「コー爺達は出て行くの?」
「アビー、出て行くんじゃないのよ。この家じゃなくって、今作っている家に移るだけなのよ」
「そうなんだね。よかったぁ」
「アビーは私達と離れるのが嫌なのね」
「ソニア婆ちゃん、何言ってんの! 当たり前でしょ!」
ソニアの言葉にアビーは膨れっ面になり、ソニアに対し怒った様子を見せる。
「アビー。よく聞いてね。私達はもう、あなたと離れる気はないのよ。例え、アビーがイヤだと言ってもね」
「言わないもん!」
「でも、アビーはいつかお嫁にいくでしょ?」
「行かないよ。お母さんはお婿に来てもらえばいいって言ってたし」
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