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第三章 運動会なんだよ
第七話 聞かれても困るのよ
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午前の部の競技が終わるとアビーを始めとする子供達もそれぞれの親の元へと駆け寄る。
子供達を応援していた親達はそれぞれに持参したお昼を広げて子供達を迎える。
「お腹減ったよ~」
「頑張ってたわねアビー」
「一番だったな」
「うん、見ててくれたんだね」
「当たり前だ」
「そうだな、でもアビーはもの足りなかったんじゃないのか」
「あれ、分かっちゃった?」
「ふふふ、普段から山の中を走り回っているアビーからしたら、歩いているのとそう変わらないだろうて」
「ドン爺、そうなの! でも、僕に合わせたら他の子がキツくなるからダメだって言われちゃって」
「ふはは! それもそうだな」
アビーが動き足りなかったことを不満そうにしていたのをドン爺が見抜きアビーの返事にコー爺も笑うしかない。
だが、女性陣と父親であるマークは違うことが気になってしょうがない。
「なあ、アビー。ちょっと聞きたいんだが……正直に答えてくれないか」
「え? お父さん、どうしたの?」
「いや、答えたくないなら、それでもいいんだが……あ~その、なんだ」
「もう、『俺に任せろ』なんていいながらだらしないわね」
「母親として情けないよ」
「それに女の子はいずれ誰かの元にいくのは分かっているでしょ。まあ、その辺はコーディと一緒ね」
「お義母さん……」
「マーク、どいて」
「え、でも……」
「いいから、どくの! お昼が終わっちゃうでしょ!」
「……はい」
アビーの前にいたマークはジュディ達女性陣にどくように言われれば、抵抗する訳にもいかずに素直にアビーの前を譲る。
「お母さん、顔が怖いよ?」
「あら、ごめんなさい。ちょっとマークにイラついたままだったわね」
「もう、ジュディまで」
「はいはい、そんなことはいいから。さっさと聞きましょう」
「そうだったわね」
ジュディ、ジョディ、ソニアはアビーの顔をジッと見ている。
「ねえ、お母さん達までどうしたの?」
「うふふ、どうもしないわよ」
「そうよ。ただ、ちょっと聞きたいことがあるの」
「アビーに文句を言っていた男の子は誰なの?」
「え?」
ジュディ達に聞かれたアビーは一瞬何を言われたのか分からなかったが、ジュディが「ほら、アビーに大声を出していた男の子がいたじゃない」と言われ「あぁ」と頭に浮かんだのは一人の男の子だが、アビーにしてみれば母親達が何を気にしているのかが分からない。
「えっと、ナダルのことを言ってるのかな?」
「そう、ナダルって言うのね」
「でも、それがどうしたの?」
「どうしたのって、その子はアビーのことが気になっているんでしょ?」
「え?」
ジュディの言葉にアビーは驚き声を上げればマークはホッと胸を撫で下ろす。まだ五歳なんだからと自分に言い聞かせるが、ふと思い出す。そう言えば、自分がジュディを意識しだしたのもアビーと同じくらいの頃だったと。
「アビーはその子のことをどう思っているの?」
「えっと、どうって……どういうことなの?」
「だから「ジュディ、どうも違うみたいね」……母さん」
「私もそう思うわ。どうも私達の勇み足みたいね」
アビーの反応にジュディが聞き返そうとしたが、それをジョディに遮られ、ソニアもそれを肯定する。
「ん?」
アビーはジュディ達がナダルのことを何故気にしているのか分からないが、自分としてはナダルはケビンやテッドと仲良くしている自分が気に入らないのだろうと思っていることを話せば、ジュディは笑いジョディやソニアは少し困った顔になる。
「これはマークのせいよね」
「ええ、そうね。あの子が誰もアビーに近付けさせないからよね。困ったわね」
「???」
アビーの前でジョディとソニアが話しているが、アビーにはその話の内容が全くといいほど分からない。今、気になっているのは広げたままになっているバスケットの中味だ。
「ねえ、食べていいの?」
「あら、そうだったわね。ええ、お腹いっぱい食べなさい」
「そうよ。お昼もまだあるんでしょ」
「応援してるわよ」
「うん!」
アビーはやっと食べられるとバスケットの中に手を伸ばしサンドウィッチを掴むと口に頬張る。
「おいしいね」
「ふふふ、喜んでくれてお母さんも嬉しいわ」
「へへへ」
ジュディ達もそれぞれにバスケットに手を伸ばしお昼を済ませるが、マークだけがまだ帰って来ない。
「ジュディ、マークはどうしたんだ?」
「ああ、多分だけど、私達のことを思い出したんだと思うの」
「ジュディ達?」
「そう、私とマークが『結婚する』と言ったのは確かアビーと一緒くらいの歳だったってことをね」
「ああ、あれか。あの時は俺も驚いたが、後でジョディに『女の子はいつかお嫁に行くのよ』って言われてな。早く決まってよかったとも言われたな」
「あ~言ってたわね。で、お父さんはどうだったの?」
「俺か、そうだな。確かに驚きはしたが、息子が出来たと思うことにしたよ」
「それもそうね。ふふふ」
子供達を応援していた親達はそれぞれに持参したお昼を広げて子供達を迎える。
「お腹減ったよ~」
「頑張ってたわねアビー」
「一番だったな」
「うん、見ててくれたんだね」
「当たり前だ」
「そうだな、でもアビーはもの足りなかったんじゃないのか」
「あれ、分かっちゃった?」
「ふふふ、普段から山の中を走り回っているアビーからしたら、歩いているのとそう変わらないだろうて」
「ドン爺、そうなの! でも、僕に合わせたら他の子がキツくなるからダメだって言われちゃって」
「ふはは! それもそうだな」
アビーが動き足りなかったことを不満そうにしていたのをドン爺が見抜きアビーの返事にコー爺も笑うしかない。
だが、女性陣と父親であるマークは違うことが気になってしょうがない。
「なあ、アビー。ちょっと聞きたいんだが……正直に答えてくれないか」
「え? お父さん、どうしたの?」
「いや、答えたくないなら、それでもいいんだが……あ~その、なんだ」
「もう、『俺に任せろ』なんていいながらだらしないわね」
「母親として情けないよ」
「それに女の子はいずれ誰かの元にいくのは分かっているでしょ。まあ、その辺はコーディと一緒ね」
「お義母さん……」
「マーク、どいて」
「え、でも……」
「いいから、どくの! お昼が終わっちゃうでしょ!」
「……はい」
アビーの前にいたマークはジュディ達女性陣にどくように言われれば、抵抗する訳にもいかずに素直にアビーの前を譲る。
「お母さん、顔が怖いよ?」
「あら、ごめんなさい。ちょっとマークにイラついたままだったわね」
「もう、ジュディまで」
「はいはい、そんなことはいいから。さっさと聞きましょう」
「そうだったわね」
ジュディ、ジョディ、ソニアはアビーの顔をジッと見ている。
「ねえ、お母さん達までどうしたの?」
「うふふ、どうもしないわよ」
「そうよ。ただ、ちょっと聞きたいことがあるの」
「アビーに文句を言っていた男の子は誰なの?」
「え?」
ジュディ達に聞かれたアビーは一瞬何を言われたのか分からなかったが、ジュディが「ほら、アビーに大声を出していた男の子がいたじゃない」と言われ「あぁ」と頭に浮かんだのは一人の男の子だが、アビーにしてみれば母親達が何を気にしているのかが分からない。
「えっと、ナダルのことを言ってるのかな?」
「そう、ナダルって言うのね」
「でも、それがどうしたの?」
「どうしたのって、その子はアビーのことが気になっているんでしょ?」
「え?」
ジュディの言葉にアビーは驚き声を上げればマークはホッと胸を撫で下ろす。まだ五歳なんだからと自分に言い聞かせるが、ふと思い出す。そう言えば、自分がジュディを意識しだしたのもアビーと同じくらいの頃だったと。
「アビーはその子のことをどう思っているの?」
「えっと、どうって……どういうことなの?」
「だから「ジュディ、どうも違うみたいね」……母さん」
「私もそう思うわ。どうも私達の勇み足みたいね」
アビーの反応にジュディが聞き返そうとしたが、それをジョディに遮られ、ソニアもそれを肯定する。
「ん?」
アビーはジュディ達がナダルのことを何故気にしているのか分からないが、自分としてはナダルはケビンやテッドと仲良くしている自分が気に入らないのだろうと思っていることを話せば、ジュディは笑いジョディやソニアは少し困った顔になる。
「これはマークのせいよね」
「ええ、そうね。あの子が誰もアビーに近付けさせないからよね。困ったわね」
「???」
アビーの前でジョディとソニアが話しているが、アビーにはその話の内容が全くといいほど分からない。今、気になっているのは広げたままになっているバスケットの中味だ。
「ねえ、食べていいの?」
「あら、そうだったわね。ええ、お腹いっぱい食べなさい」
「そうよ。お昼もまだあるんでしょ」
「応援してるわよ」
「うん!」
アビーはやっと食べられるとバスケットの中に手を伸ばしサンドウィッチを掴むと口に頬張る。
「おいしいね」
「ふふふ、喜んでくれてお母さんも嬉しいわ」
「へへへ」
ジュディ達もそれぞれにバスケットに手を伸ばしお昼を済ませるが、マークだけがまだ帰って来ない。
「ジュディ、マークはどうしたんだ?」
「ああ、多分だけど、私達のことを思い出したんだと思うの」
「ジュディ達?」
「そう、私とマークが『結婚する』と言ったのは確かアビーと一緒くらいの歳だったってことをね」
「ああ、あれか。あの時は俺も驚いたが、後でジョディに『女の子はいつかお嫁に行くのよ』って言われてな。早く決まってよかったとも言われたな」
「あ~言ってたわね。で、お父さんはどうだったの?」
「俺か、そうだな。確かに驚きはしたが、息子が出来たと思うことにしたよ」
「それもそうね。ふふふ」
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