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第二章 動き出す何か
第八話 聞きたいことが山ほどあり過ぎる
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人の話を聞かないのは姫さんの家系なんだろうか。だけど、今はそんなことよりも、そこに転がしている『夢魔』の男から情報を得ることが先だろう。
「じゃあ「ちょっと待て!」……もう、今度は何?」
「いや、情報を得るって、まさかこの場で拷問でもするつもりなのか?」
「え、するの?」
「いや、お前がするんじゃないのか?」
「え、どうして?」
「どうしてって情報を聞き出すと言ったじゃないか」
「うん、そうだよ」
「ん~どうも要領を得ないな」
「それは俺が言いたいよ。いいから分からないのなら黙って見ててよ。いい?」
「あ、ああ……」
俺がシュリから情報を得ようとしたところで爺さんから拷問でもするつもりかとあらぬ嫌疑を掛けられるが、そんなことはしないし、したいとも思わない。単純に記憶を読ませてもらうだけだから。そういう訳でシュリの頭に手の平を乗せて記憶を読み取る。
「さあてと、大人しくしててよ……『マズい! 今バレる訳にはいかない』……うんうん、それでそれで……『お腹空いた。ご飯だって言ったのに!』……ん?」
ちょっと待てよとシュリから手を離しタロを見る。あ~口から涎が出てるし、シュリにも掛かっているし。
「タロ、ごめん。足をどかして」
『え? ボク何か悪いことしたの?』
「いや、そうじゃないけどさ。もしかしなくてもお腹空いているの?」
『え? どうして分かったの!』
「まあ、そうだよね。ご飯だって言ったのにまだ食べさせてもらってないからね」
俺はそう言ってクリフさんを一瞥するとクリフさんは恭しく俺に一礼すると、近くにいたメイドさんに何かを頼んでいたので、これでタロのご飯は大丈夫だろうともう一度読取りを進める。
「さあてと、何がマズいのか教えてね。あと、言っておくけどお前が隠そう隠そうとするほど、読みやすくなるから。ありがとうね」
「フガッ……」
「はいはい、じゃあ読ませてもらうね。『記憶読取』……ふむふむ、ほうほう、いやいや、それは違うでしょ。なんとまあ、はいはい、そういうことね」
「おい、ソイツは何を企んでいたんだ?」
「気になっちゃう感じ?」
「そりゃ、気になるだろ」
「でも、放置していたんでしょ」
「ぐっ……それはそうだが、教えてくれてもいいだろう」
「いいですよ」
「よし、さあ聞かせろ!」
「で?」
「ん? 『で?』とはどういう意味だ?」
「だから、対価はなんですかって話だけど。え? まさか、只で済ませようとでも? 俺にあんなイタズラをけしかけて、しかもあわよくば動向を探らせようとまでしたんでしょ。ちょっと図々しいとか思わないのかな」
「ぐぬぬ……」
俺がシュリの記憶をあらかた読み終わると、それを待っていたかのように爺さんが聞かせろと、まるで俺が話すのが当然のように要求してくるのにイラッとするのをグッと堪えて貰う物を頂こうとするとイヤな顔をする。
俺に男の娘を紹介した上に情報まで盗むつもりなのかと強めに言っても何も出て来そうにない。タロは食事を出されてご機嫌だけどね。
「何もないの? ご飯だって言うから食堂まで来たのに。食事も出されないまま、男の娘の相手をさせられて、剰えその情報まで掠め取ろうとするのは高位貴族としてどうなのかと思うけどね」
「ぐぬぬ……くそっ……さっきからワシを爺さん呼ばわりするし、盗人呼ばわりまでするのか」
「何言ってんの! 最初に怒らせたのはそっちでしょ! ジジイと呼ばないだけマシでしょうが!」
「あっ! また言った! ソフィア、コイツはダメだ! 他のにしなさい!」
「やだっ!」
「だから、俺は要らないって言ってるよね」
「何! なんでだ!」
「もう、どうしろって言うんだよ!」
「父さんもソフィア様も少し落ち着いて下さい」
「「はい……」」
俺と爺さん、姫さんがガチャガチャしているのを息子であろう男性が爺さん達を大人しくさせる。
「それで、コータ君……で、いいんだよね」
「うん、おじさんは?」
「オジサン……あ、ああ。そうだったね。私はアルフォンス・フォン・クレイヴの嫡男、ドレイク・フォン・クレイヴだ。よろしく」
「あ、はい」
俺は嫡男のドレイクさんから差し出された右手をそっと握る。
「まずは父さんが悪いことをした。息子である私からも謝らせてもらう。この通りだ」
「いや、オジサンが謝ることじゃないですよ」
「オジサン……申し訳ないが、私のことはドレイクと呼んでくれ」
「はい、ドレイクさん」
俺に爺さんのことを詫びると頭を下げてきたオジサン……ドレイクさんに頭を上げてもらうように頼む。
「そうだね。まずは食事にしよう。私もお腹が空いているんだ。頼む」
「はい、少しお待ち下さい」
ぐだぐだだったけど、やっとご飯を食べさせて貰えることになり、改めてテーブルに着き食事が来るのを待っているんだが、何故だろうか周りからの視線を感じる。と言うか視線が痛い。
「食事の用意が出来るまでの間、少し話でもどうかな」
「いいですよ」
「コータ君から、何か聞きたいことはないのかな?」
「聞いてもいいんですか?」
「いいよ、答えられる範囲でだけどね」
「じゃあ、なんでワルダネ領は街道を通れないようにしたの?」
「「「え?」」」
「なんで、ヒュドラが現れたの?」
「「「え~?」」」
「なんでソフィア達は襲われたの?」
「「「ええ~?」」」
「じゃあ「ちょっと待て!」……もう、今度は何?」
「いや、情報を得るって、まさかこの場で拷問でもするつもりなのか?」
「え、するの?」
「いや、お前がするんじゃないのか?」
「え、どうして?」
「どうしてって情報を聞き出すと言ったじゃないか」
「うん、そうだよ」
「ん~どうも要領を得ないな」
「それは俺が言いたいよ。いいから分からないのなら黙って見ててよ。いい?」
「あ、ああ……」
俺がシュリから情報を得ようとしたところで爺さんから拷問でもするつもりかとあらぬ嫌疑を掛けられるが、そんなことはしないし、したいとも思わない。単純に記憶を読ませてもらうだけだから。そういう訳でシュリの頭に手の平を乗せて記憶を読み取る。
「さあてと、大人しくしててよ……『マズい! 今バレる訳にはいかない』……うんうん、それでそれで……『お腹空いた。ご飯だって言ったのに!』……ん?」
ちょっと待てよとシュリから手を離しタロを見る。あ~口から涎が出てるし、シュリにも掛かっているし。
「タロ、ごめん。足をどかして」
『え? ボク何か悪いことしたの?』
「いや、そうじゃないけどさ。もしかしなくてもお腹空いているの?」
『え? どうして分かったの!』
「まあ、そうだよね。ご飯だって言ったのにまだ食べさせてもらってないからね」
俺はそう言ってクリフさんを一瞥するとクリフさんは恭しく俺に一礼すると、近くにいたメイドさんに何かを頼んでいたので、これでタロのご飯は大丈夫だろうともう一度読取りを進める。
「さあてと、何がマズいのか教えてね。あと、言っておくけどお前が隠そう隠そうとするほど、読みやすくなるから。ありがとうね」
「フガッ……」
「はいはい、じゃあ読ませてもらうね。『記憶読取』……ふむふむ、ほうほう、いやいや、それは違うでしょ。なんとまあ、はいはい、そういうことね」
「おい、ソイツは何を企んでいたんだ?」
「気になっちゃう感じ?」
「そりゃ、気になるだろ」
「でも、放置していたんでしょ」
「ぐっ……それはそうだが、教えてくれてもいいだろう」
「いいですよ」
「よし、さあ聞かせろ!」
「で?」
「ん? 『で?』とはどういう意味だ?」
「だから、対価はなんですかって話だけど。え? まさか、只で済ませようとでも? 俺にあんなイタズラをけしかけて、しかもあわよくば動向を探らせようとまでしたんでしょ。ちょっと図々しいとか思わないのかな」
「ぐぬぬ……」
俺がシュリの記憶をあらかた読み終わると、それを待っていたかのように爺さんが聞かせろと、まるで俺が話すのが当然のように要求してくるのにイラッとするのをグッと堪えて貰う物を頂こうとするとイヤな顔をする。
俺に男の娘を紹介した上に情報まで盗むつもりなのかと強めに言っても何も出て来そうにない。タロは食事を出されてご機嫌だけどね。
「何もないの? ご飯だって言うから食堂まで来たのに。食事も出されないまま、男の娘の相手をさせられて、剰えその情報まで掠め取ろうとするのは高位貴族としてどうなのかと思うけどね」
「ぐぬぬ……くそっ……さっきからワシを爺さん呼ばわりするし、盗人呼ばわりまでするのか」
「何言ってんの! 最初に怒らせたのはそっちでしょ! ジジイと呼ばないだけマシでしょうが!」
「あっ! また言った! ソフィア、コイツはダメだ! 他のにしなさい!」
「やだっ!」
「だから、俺は要らないって言ってるよね」
「何! なんでだ!」
「もう、どうしろって言うんだよ!」
「父さんもソフィア様も少し落ち着いて下さい」
「「はい……」」
俺と爺さん、姫さんがガチャガチャしているのを息子であろう男性が爺さん達を大人しくさせる。
「それで、コータ君……で、いいんだよね」
「うん、おじさんは?」
「オジサン……あ、ああ。そうだったね。私はアルフォンス・フォン・クレイヴの嫡男、ドレイク・フォン・クレイヴだ。よろしく」
「あ、はい」
俺は嫡男のドレイクさんから差し出された右手をそっと握る。
「まずは父さんが悪いことをした。息子である私からも謝らせてもらう。この通りだ」
「いや、オジサンが謝ることじゃないですよ」
「オジサン……申し訳ないが、私のことはドレイクと呼んでくれ」
「はい、ドレイクさん」
俺に爺さんのことを詫びると頭を下げてきたオジサン……ドレイクさんに頭を上げてもらうように頼む。
「そうだね。まずは食事にしよう。私もお腹が空いているんだ。頼む」
「はい、少しお待ち下さい」
ぐだぐだだったけど、やっとご飯を食べさせて貰えることになり、改めてテーブルに着き食事が来るのを待っているんだが、何故だろうか周りからの視線を感じる。と言うか視線が痛い。
「食事の用意が出来るまでの間、少し話でもどうかな」
「いいですよ」
「コータ君から、何か聞きたいことはないのかな?」
「聞いてもいいんですか?」
「いいよ、答えられる範囲でだけどね」
「じゃあ、なんでワルダネ領は街道を通れないようにしたの?」
「「「え?」」」
「なんで、ヒュドラが現れたの?」
「「「え~?」」」
「なんでソフィア達は襲われたの?」
「「「ええ~?」」」
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