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第一章 突然の出来事
第八話 崩壊の始まり
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「ムカつく!」
口には出さないが今、自分の目の前で宰相の令嬢『グレイス』がウィリアム王子に婚約破棄を言い渡された。私はウィリアム様の後ろに回り、その様子を眺めていたのだが、ウィリアム様にワインまで浴びせられたのに泣くどころかウィリアム様を真っ直ぐに睨み付けている。
『なんでなの! 流れとしては泣いてウィリアム様に縋る場面じゃないの! どうしてこうなったのよ!』
口には出さないがカミラはウィリアム王子とグレイスのやり取りを見ていてそう思う。
だが、実際にはウィリアム王子が優勢だったのはここまでで、これからはウィリアム王子が言うこと全てがグレイスにより、冷静に撥ね除けられてしまう。
そして、そのいくらなんでも無理難題でどう考えても非があるのはウィリアム王子じゃないかとグレイスに対しては同情の様な視線が集中する。
そしてウィリアム王子は私がグレイス嬢に虐められたと反論する。だけど、それは私がでっち上げたモノなのでグレイス嬢の行動記録なんて参考にしていないものだから、案の定というか当たり前の様にグレイス嬢から「その日は登校していない」と言われる。
焦ったウィリアム王子に「本当に三日前なのか?」と聞かれるが、相手が違うと言うのならば、変えないと辻褄が合わなくなると思いウィリアム王子には「間違えました。二日前です」と答える。
ウィリアム王子は私からの返事を聞くと「どうも、間違えたようだ。二日前だ」と意気揚々と答えるが見ていて心苦しくなる。
そしてグレイス嬢はウィリアム王子の返答を聞くと「二日前ですね。では、何時頃かを教えて頂きますか?」と時間を確認してきたので、ウィリアム王子が私に「十四時だ。そうだな?」と確認して来たので私はそれに頷く。
だがグレイス嬢は可笑しそうに笑みを浮かべ「十四時……十四時ですか。おかしいですね」と言う。
だけど、ウィリアム王子は「なんだ。また、学園を休んでいたとでも言うのか。だが、貴様は確かにいたはずだ。私と会ったのだからな」と言いグレイス嬢の思い違いではないのかと責めるが、グレイス嬢は確かに居たが、午前中だけだと言う。
そして側仕えの女性から私の行動記録なるものを受け取り、内容を確認すると私の自作自演ではないが、私が勝手に階段から落ちたことが証明されてしまった。
そしてその行動記録をウィリアム王子がグレイス嬢から奪い取ったのを私が更に奪い、その場でビリビリに引き裂いたのだが、それは複製だと言われ愕然とする。
これで終わりにして欲しいと思ったが、ウィリアム王子は更に続ける。
「貴様はここにいるカミラ嬢を学友の女子に頼み集団で糾弾したと聞いている! どうだ、今度こそ、ぐうの音も出ないだろ! ははは……え?」
だが、そんなウィリアム王子をグレイス嬢はまるで可哀想な子供や小動物を見るような目で見詰める。
そしてグレイス嬢はウィリアム王子の背に隠れる私に向かい直接話した方がいいだろうと言うが私が正直に言えるはずもないので返答に困っているとウィリアム王子が「だから、カミラ嬢は関係ないだろう!」と答える。
だが、グレイス嬢はそんなウィリアム王子を相手にすることなく側仕えの女性からさっきと同じ様に何かの書類を受け取ると、それに目を通す。
「あ、ありましたね。え~と、確か糾弾された内容は『他人の婚約者に色目を使った』ことに対する複数の女性からの追求とありますね」
「嘘よ!」
「そうだ。そんなことがあるわけがない!」
私は反射的にグレイス嬢にそう叫び、ウィリアム王子も私に同意してくれた。
そんなウィリアム王子の態度を気にする様子もなくグレイス嬢は私のドレスについて言及するが私はやっと気付いてくれたとばかりに嬉しくなりその場でターンしてみせる。
「そうですか。誠に失礼ですが、そちらのお店で購入するとなれば男爵位の報償では少し苦しいのではと思いますが?」
「え?」
だが、グレイス嬢から言われたのは羨望でもなく「たかが男爵風情が買える訳がない」と暗に言われどうしようかと思っていたところでウィリアム王子が「自分が買い与えた物だ」と言ってしまう。
だが、それを聞いたグレイス嬢はウィリアム様に対し本来ならば婚約者であるグレイスに使われるべきである公金をちょろまかしたのではと問い詰められる。
ウィリアム王子はその追求に対し自分のお小遣いだから、問題ないはずだと答えるが、グレイス嬢はそのお小遣いの額を超えて有り余るモノだと更に追求する。
口には出さないが今、自分の目の前で宰相の令嬢『グレイス』がウィリアム王子に婚約破棄を言い渡された。私はウィリアム様の後ろに回り、その様子を眺めていたのだが、ウィリアム様にワインまで浴びせられたのに泣くどころかウィリアム様を真っ直ぐに睨み付けている。
『なんでなの! 流れとしては泣いてウィリアム様に縋る場面じゃないの! どうしてこうなったのよ!』
口には出さないがカミラはウィリアム王子とグレイスのやり取りを見ていてそう思う。
だが、実際にはウィリアム王子が優勢だったのはここまでで、これからはウィリアム王子が言うこと全てがグレイスにより、冷静に撥ね除けられてしまう。
そして、そのいくらなんでも無理難題でどう考えても非があるのはウィリアム王子じゃないかとグレイスに対しては同情の様な視線が集中する。
そしてウィリアム王子は私がグレイス嬢に虐められたと反論する。だけど、それは私がでっち上げたモノなのでグレイス嬢の行動記録なんて参考にしていないものだから、案の定というか当たり前の様にグレイス嬢から「その日は登校していない」と言われる。
焦ったウィリアム王子に「本当に三日前なのか?」と聞かれるが、相手が違うと言うのならば、変えないと辻褄が合わなくなると思いウィリアム王子には「間違えました。二日前です」と答える。
ウィリアム王子は私からの返事を聞くと「どうも、間違えたようだ。二日前だ」と意気揚々と答えるが見ていて心苦しくなる。
そしてグレイス嬢はウィリアム王子の返答を聞くと「二日前ですね。では、何時頃かを教えて頂きますか?」と時間を確認してきたので、ウィリアム王子が私に「十四時だ。そうだな?」と確認して来たので私はそれに頷く。
だがグレイス嬢は可笑しそうに笑みを浮かべ「十四時……十四時ですか。おかしいですね」と言う。
だけど、ウィリアム王子は「なんだ。また、学園を休んでいたとでも言うのか。だが、貴様は確かにいたはずだ。私と会ったのだからな」と言いグレイス嬢の思い違いではないのかと責めるが、グレイス嬢は確かに居たが、午前中だけだと言う。
そして側仕えの女性から私の行動記録なるものを受け取り、内容を確認すると私の自作自演ではないが、私が勝手に階段から落ちたことが証明されてしまった。
そしてその行動記録をウィリアム王子がグレイス嬢から奪い取ったのを私が更に奪い、その場でビリビリに引き裂いたのだが、それは複製だと言われ愕然とする。
これで終わりにして欲しいと思ったが、ウィリアム王子は更に続ける。
「貴様はここにいるカミラ嬢を学友の女子に頼み集団で糾弾したと聞いている! どうだ、今度こそ、ぐうの音も出ないだろ! ははは……え?」
だが、そんなウィリアム王子をグレイス嬢はまるで可哀想な子供や小動物を見るような目で見詰める。
そしてグレイス嬢はウィリアム王子の背に隠れる私に向かい直接話した方がいいだろうと言うが私が正直に言えるはずもないので返答に困っているとウィリアム王子が「だから、カミラ嬢は関係ないだろう!」と答える。
だが、グレイス嬢はそんなウィリアム王子を相手にすることなく側仕えの女性からさっきと同じ様に何かの書類を受け取ると、それに目を通す。
「あ、ありましたね。え~と、確か糾弾された内容は『他人の婚約者に色目を使った』ことに対する複数の女性からの追求とありますね」
「嘘よ!」
「そうだ。そんなことがあるわけがない!」
私は反射的にグレイス嬢にそう叫び、ウィリアム王子も私に同意してくれた。
そんなウィリアム王子の態度を気にする様子もなくグレイス嬢は私のドレスについて言及するが私はやっと気付いてくれたとばかりに嬉しくなりその場でターンしてみせる。
「そうですか。誠に失礼ですが、そちらのお店で購入するとなれば男爵位の報償では少し苦しいのではと思いますが?」
「え?」
だが、グレイス嬢から言われたのは羨望でもなく「たかが男爵風情が買える訳がない」と暗に言われどうしようかと思っていたところでウィリアム王子が「自分が買い与えた物だ」と言ってしまう。
だが、それを聞いたグレイス嬢はウィリアム様に対し本来ならば婚約者であるグレイスに使われるべきである公金をちょろまかしたのではと問い詰められる。
ウィリアム王子はその追求に対し自分のお小遣いだから、問題ないはずだと答えるが、グレイス嬢はそのお小遣いの額を超えて有り余るモノだと更に追求する。
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