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第1章
34 頑張る!
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「伝説、犠牲になった哀れな魂の物語。みたいな感じか…その本を読んで可哀想過ぎてガキの頃泣いた」
「………なんか、すみません」
幼い頃のライゼを泣かせて申し訳ない気持ちになると翠は謝った。
もっと人生うまく生きてたらよかった。
せめて今の人生は、可哀相なんて言われないものにしたい。
幼い子供が泣くような人生、って恐ろしい怪獣が現れて戦って仲間を助けて、いい笑顔で死んでいくやつ…だったらいい。まだ何か救いがある気がする。
「…俺の知り合いに、生きる英雄がいる。本も見せるけどそいつから話をきいてみるのも面白いだろうな。リュカをお前の魂に封じ込めた張本人だ」
「っ、ええ!!」
目を丸くして再び驚く翠を面白そうに見つめるライゼ。
彼の瞳は明るく太陽のようだ。男の子とこんなに親しく話したことは今までになかった。
何となく気恥ずかさを感じるが、距離が遠いと思っていた人が近くに感じると嬉しい。
「…それはやめた方がいいんじゃない?リュカが怯えるかもだし。まあ、アリベルは自由気ままにぶらついてるし街でばったり会っちゃう事もなきにしもあらずだけどさ」
マドカがすっと、普通の顔で話に加わってくる。
「アリベル…さん」
名前を聞くと翠は妙な感覚を感じた。
意識が一瞬、遠い昔へと飛ぶ。
辺りは真っ白な光が満ちた場所だった。静かでほんの少し肌寒さを感じた。
そこには大勢の気配があるがはっきりとした姿が定まらず、それは皆同様であった。
長い間、順番を待って並んでいた。
1つの人生を終えてその想い出に浸っていた。
列は長くて、まだまだまだ先だ。
思考は次の生へと意識が移り変わった。今度生まれ変わるなら、健康だけが取り柄のような大柄な男がいい。逞しい身体をした無口で、何事にも歯を食い縛り耐えれる男。モリで魚をとられて熊のような野性味溢れる山奥での生活を送りたい、つらつらと考えていた。
『ちょっと一緒に来てくれ』
男がいた。姿がはっきりと見える。
正直戸惑った。列から外れたらまた並ばないと行けない、と思うがその男の表情がとても困っているようだった。
また、並べばいいかと思い直す。
生まれ急いでも良いことが何一つないだろうし、終えたばかりの人生は最後まで忙しくて大変だった。ゆっくり並んでぼんやりするのもいいだろう。
はい、分かりました。私に何かお手伝い出来ることがあるんですね
改めて男の顔を見ると強い決意を秘めた瞳をしていると悟る。自分に声を掛けてきたのは意味があるのだ。
一緒についていったのだった。
「……っていうのを今、思い出しました。これは私が生まれる前の前の前の前……くらいかなぁ。伝説ってくらいなので、1000年前くらい昔?」
「ミドリの魂は短命なんだよね。あくせく馬車を引く馬のように働いて、しなくてもいい苦労をしょいこんで死んじゃう…人生寿命平均18才。伝説っていうと確かに1000年前軽く越えた方が重みがあるけど、せいぜい350年前かなぁ…」
「…意外と最近なんですね!」
翠は驚いた。
「…突っ込みはそれかよ。しなくてもいい苦労とか、人生寿命平均18才とか」
ライゼは呆れて翠の言葉に突っ込んだ。
「私、今の人生は100才くらいまで生きて人生寿命平均あげます!」
「女神だし、1000年は軽く越えようよ。僕も付き合うよ。めざせ、1000才!頑張るぞ、おー!」
「…は、はい!えいえいおー!!」
翠は長生き頑張ろうと思った。具体的に何を頑張ればいいか分からないけど、やってやるぜ!と巨大な敵に立ち向かう何かのアニメの主人公のような気持ちだ。
拳を握って高く掲げる。
「………なんか、すみません」
幼い頃のライゼを泣かせて申し訳ない気持ちになると翠は謝った。
もっと人生うまく生きてたらよかった。
せめて今の人生は、可哀相なんて言われないものにしたい。
幼い子供が泣くような人生、って恐ろしい怪獣が現れて戦って仲間を助けて、いい笑顔で死んでいくやつ…だったらいい。まだ何か救いがある気がする。
「…俺の知り合いに、生きる英雄がいる。本も見せるけどそいつから話をきいてみるのも面白いだろうな。リュカをお前の魂に封じ込めた張本人だ」
「っ、ええ!!」
目を丸くして再び驚く翠を面白そうに見つめるライゼ。
彼の瞳は明るく太陽のようだ。男の子とこんなに親しく話したことは今までになかった。
何となく気恥ずかさを感じるが、距離が遠いと思っていた人が近くに感じると嬉しい。
「…それはやめた方がいいんじゃない?リュカが怯えるかもだし。まあ、アリベルは自由気ままにぶらついてるし街でばったり会っちゃう事もなきにしもあらずだけどさ」
マドカがすっと、普通の顔で話に加わってくる。
「アリベル…さん」
名前を聞くと翠は妙な感覚を感じた。
意識が一瞬、遠い昔へと飛ぶ。
辺りは真っ白な光が満ちた場所だった。静かでほんの少し肌寒さを感じた。
そこには大勢の気配があるがはっきりとした姿が定まらず、それは皆同様であった。
長い間、順番を待って並んでいた。
1つの人生を終えてその想い出に浸っていた。
列は長くて、まだまだまだ先だ。
思考は次の生へと意識が移り変わった。今度生まれ変わるなら、健康だけが取り柄のような大柄な男がいい。逞しい身体をした無口で、何事にも歯を食い縛り耐えれる男。モリで魚をとられて熊のような野性味溢れる山奥での生活を送りたい、つらつらと考えていた。
『ちょっと一緒に来てくれ』
男がいた。姿がはっきりと見える。
正直戸惑った。列から外れたらまた並ばないと行けない、と思うがその男の表情がとても困っているようだった。
また、並べばいいかと思い直す。
生まれ急いでも良いことが何一つないだろうし、終えたばかりの人生は最後まで忙しくて大変だった。ゆっくり並んでぼんやりするのもいいだろう。
はい、分かりました。私に何かお手伝い出来ることがあるんですね
改めて男の顔を見ると強い決意を秘めた瞳をしていると悟る。自分に声を掛けてきたのは意味があるのだ。
一緒についていったのだった。
「……っていうのを今、思い出しました。これは私が生まれる前の前の前の前……くらいかなぁ。伝説ってくらいなので、1000年前くらい昔?」
「ミドリの魂は短命なんだよね。あくせく馬車を引く馬のように働いて、しなくてもいい苦労をしょいこんで死んじゃう…人生寿命平均18才。伝説っていうと確かに1000年前軽く越えた方が重みがあるけど、せいぜい350年前かなぁ…」
「…意外と最近なんですね!」
翠は驚いた。
「…突っ込みはそれかよ。しなくてもいい苦労とか、人生寿命平均18才とか」
ライゼは呆れて翠の言葉に突っ込んだ。
「私、今の人生は100才くらいまで生きて人生寿命平均あげます!」
「女神だし、1000年は軽く越えようよ。僕も付き合うよ。めざせ、1000才!頑張るぞ、おー!」
「…は、はい!えいえいおー!!」
翠は長生き頑張ろうと思った。具体的に何を頑張ればいいか分からないけど、やってやるぜ!と巨大な敵に立ち向かう何かのアニメの主人公のような気持ちだ。
拳を握って高く掲げる。
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