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「……ユイは俺達の顔は嫌いか?」
ジュランが真っ直ぐ私を見つめて問い掛けてきた。考え事をしていてやっと口を開いたという何処か重々しい口調だ。
「全く興味がないな。中身がクソガキだから、外見もクソガキの方が清々しいし、可愛いげがある」
「…俺達は可愛いだろうが甘えん坊でユイが抱っこをしくれないと夜泣きをするぞ」
抱っことは。よしよし、ねんね、と赤子を優しく抱き上げる若い女性のイメージが頭に一瞬過るがそんな穏やかな安らぎがあるものではない。
私はこの二人に抱き潰されている、という表現が正解だ。
散々双子に交互に身体を貪られて腰が鈍く痛み寝込みそうだったが、ランジュの魔法で痛みを消されて何故か肌艶もよくすごく調子が良い。
「もうお前らも子供じゃないんだから一人で寝ろ」
私は青筋を立てながらもジュランの調子に会わせてやる。年下の戯れ言に付き合ってやるのは年上の余裕というやつだ。
「そんな寂しいことを言わないでよ。何でも言うことを聞いてくれるんでしょう?この街で生き残った人達を城へ移動させて保護してあげるからさ」
ランジュは私の肩を抱いて耳元へと唇を寄せると甘ったるい声で囁いた。これは悪魔の囁き声という、自動的に魂を売られてしまうシステムのやつだ。
私はため息を吐き出した。
こいつらに目をつけらた時点で私の自由気ままな人生は幕を閉じたのだ。
「ああ、お前の言うことを聞くから頼む。ランジュの力を貸してほしい」
今まで辛い思いをしてきた人達を早く安心させてやりたい。
「取りあえずここにいる人達を城へ移動させるよ。そうしたら、守り手達も動けるようになるしね」
簡単にランジュは言った。
ジュランの剣の腕とランジュの魔術の力があれば何事も簡単に解決できるかもしれない。
しかし、二人に任せっきりだといけない。
弱いものは強いものに頼ってもいいが、頼りぱなしだと強きものも弱まる。
人は同じ状態のままではいられない。誰もが、毎日違う揺らぎがある。力を借りたなら弱く揺らいだときに手を差しのべる、というのが私の考えだ。
(このクソガキの場合は、手っ取り早く言うことを聞いて借りを返すのがいい)
美しい面の皮が厚い、何をこいつらが考えているのなんか分からない。
ランジュがミーナ達を城へと移動させた。
瞬間移動の魔術を使えるのはこの世で数人しか存在しないだろう。
疲労の色が見える。分かりやすい、青白い顔色になるランジュを目の前にして私は不覚にも動揺してしまった。
ジュランが真っ直ぐ私を見つめて問い掛けてきた。考え事をしていてやっと口を開いたという何処か重々しい口調だ。
「全く興味がないな。中身がクソガキだから、外見もクソガキの方が清々しいし、可愛いげがある」
「…俺達は可愛いだろうが甘えん坊でユイが抱っこをしくれないと夜泣きをするぞ」
抱っことは。よしよし、ねんね、と赤子を優しく抱き上げる若い女性のイメージが頭に一瞬過るがそんな穏やかな安らぎがあるものではない。
私はこの二人に抱き潰されている、という表現が正解だ。
散々双子に交互に身体を貪られて腰が鈍く痛み寝込みそうだったが、ランジュの魔法で痛みを消されて何故か肌艶もよくすごく調子が良い。
「もうお前らも子供じゃないんだから一人で寝ろ」
私は青筋を立てながらもジュランの調子に会わせてやる。年下の戯れ言に付き合ってやるのは年上の余裕というやつだ。
「そんな寂しいことを言わないでよ。何でも言うことを聞いてくれるんでしょう?この街で生き残った人達を城へ移動させて保護してあげるからさ」
ランジュは私の肩を抱いて耳元へと唇を寄せると甘ったるい声で囁いた。これは悪魔の囁き声という、自動的に魂を売られてしまうシステムのやつだ。
私はため息を吐き出した。
こいつらに目をつけらた時点で私の自由気ままな人生は幕を閉じたのだ。
「ああ、お前の言うことを聞くから頼む。ランジュの力を貸してほしい」
今まで辛い思いをしてきた人達を早く安心させてやりたい。
「取りあえずここにいる人達を城へ移動させるよ。そうしたら、守り手達も動けるようになるしね」
簡単にランジュは言った。
ジュランの剣の腕とランジュの魔術の力があれば何事も簡単に解決できるかもしれない。
しかし、二人に任せっきりだといけない。
弱いものは強いものに頼ってもいいが、頼りぱなしだと強きものも弱まる。
人は同じ状態のままではいられない。誰もが、毎日違う揺らぎがある。力を借りたなら弱く揺らいだときに手を差しのべる、というのが私の考えだ。
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