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第四章 悪役令嬢は王女と共に戦場を駆ける
301.悪役令嬢は舌鼓を打つ
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「これは――マジヤバ!」
と、ウィンディが素というか、ちょっとあり得ないほどツインテールをピコピコさせながらそう言ったわけだけど、流石に貴族令嬢だということは忘れないで欲しいところ。まぁ、周囲の誰も彼女が病弱設定で学園も休みがちだったのは冒険者として魔導洞窟へ潜っていることも知っているから苦笑くらいで済んでいる。
「えっと、ウィンディ様。マジヤバとはどういう意味なのでしょう?」
結構、真面目なジェニーは不思議そうに彼女に聞いた瞬間、私に助けを求めるような視線を送るのはやめなさい。マジで。
「本当に凄い――的な意味合いだと思っておけばいいわ。ハッキリ言って、貴族令嬢が使うような言葉では無い――と、いうのは言うまでも無く、ウィンディも理解しているでしょ。まぁ、ウィンディの貴族令嬢としての矜持さえどこかに吹き飛ばしてしまうくらいの味だというのは皆も理解したわよね。エルーサとウィラも、そろそろ解体の方は切り上げなさい。ほら、このあたりの肉も美味しく焼けたわ」
私はそう言いながら、何故か持っていたBBQセットを使って網焼きにしている焼けた薄切り肉を小皿に取り分けていく。そう、私は今、絶賛焼肉将軍だ。
「エステリア嬢。確かにこの肉は凄まじく旨いが、私としては君に肉を焼かせ続けていることが気がかりなのだが、やはり、私が変わりに――」
「いいえ、この肉は私が責任もって皆に振る舞うのです。たとえ閣下と言えど口出し無用にお願いします」
「しかし――」
「クーベルト辺境伯様。お嬢様のこういう時は誰も止めれぬのです。唯一止める事が出来るとすれば、奥様――ハーブスト公爵夫人くらいでしょう。皆もそれを分かっているので、苦笑はすれど、素直にお嬢様がなさる様を受け入れているのです。かくいう私も気持ちは同じですからね」
と、傍に戻ってきたエルーサはそう言いながら席に着き、私が肉を取り分けた小皿を受け取り、塩を振ってから箸を使って肉を口に運び、驚きの表情を浮かべる。
「これは驚きですね。我らがハーブストの食肉産業も驚くほどの出来と言わざるを得ません」
「そうね。しかも、現状はこの魔導洞窟でしか食べれないのよね。恐ろしいわ賢人サルバトーレ」
私の言葉に皆がそう頷きながら、私が焼き配った肉を口に運ぶのであった。うん、やっぱりこのクオリティは異常としか言えない――と、いうか生物的にはどうみても豚なのにその肉の味は牛って、いったいどうやって魔物なんか作ったのかしら。そもそも、魔導洞窟で生み出される魔物というモノが外の世界に存在する魔物や魔獣とは別の存在だと言わんばかりの事実に私は賢人サルバトーレの魔法技術というモノが少し恐ろしく思ったりもするのであった。
と、いうかA5ランクの牛肉を再現したいと思うあたり、その味を知っているってことよね。うーん、彼の思考というか、人物像が凄くちぐはぐな気がしてならないけど――ま、情報が無さすぎるし、考えても仕方ないところよね。ある程度、考え方や性格が見えてくると彼の考える魔法術式というモノがもっと理解出来るのだけど、正直、難しそうだわ。
「エステリア様、本当に焼いてばかりで大丈夫でしょうか?」
「全くもって問題無いわよ。それに私だって、焼きながらちょくちょく食べているから、思っているより食べ過ぎているくらいよ。まぁ、そろそろ皆も食べるのは控えた方が良いかもしれないわね」
そう、この手の油は後からズンとくることがあるし――と、思ったけれど日本人とは違うし、大丈夫なのかもしれない。その辺りは考えたことが無かったけど、どうなのかしらね。
「――確かに油分が多いことを考えると、後々体調を崩しかねないな。しかし、これほどの味だと食べ過ぎてしまうのも仕方ない気もするよ」
「まさか、そういう罠では無いですよねお嬢様?」
「流石にそんなわけないでしょ。それに賢人サルバトーレもこの味の肉が食べたくて、この魔導洞窟を作ったのだから」
「しかし、不思議なモノだな。この肉、若干だが魔力が回復するような効果があるようだ」
と、閣下は肉を頬張りつつそう言った。特に魔法を使って焼いているわけじゃ無いのに魔力に影響を与える肉というのは少し考えどころね。
「そう考えると、むやみに食べるのも止めた方がいいかもしれませんね。もう少し、キチンと効能などを調べたいところですが――」
「エステリア様。この肉って空間収納に入れて持ち出せない?」
ウィンディがそう言うと皆の視線が私に集まる。まぁ、そう言われても私だって分からない――実験するしかないわね。
「とりあえず、時間的な余裕はないけれど、色々と実験するしかないわね」
と、私はニコリと微笑むと何故か皆が微妙な顔をするのであった。なんとも失礼な――まったく。
と、ウィンディが素というか、ちょっとあり得ないほどツインテールをピコピコさせながらそう言ったわけだけど、流石に貴族令嬢だということは忘れないで欲しいところ。まぁ、周囲の誰も彼女が病弱設定で学園も休みがちだったのは冒険者として魔導洞窟へ潜っていることも知っているから苦笑くらいで済んでいる。
「えっと、ウィンディ様。マジヤバとはどういう意味なのでしょう?」
結構、真面目なジェニーは不思議そうに彼女に聞いた瞬間、私に助けを求めるような視線を送るのはやめなさい。マジで。
「本当に凄い――的な意味合いだと思っておけばいいわ。ハッキリ言って、貴族令嬢が使うような言葉では無い――と、いうのは言うまでも無く、ウィンディも理解しているでしょ。まぁ、ウィンディの貴族令嬢としての矜持さえどこかに吹き飛ばしてしまうくらいの味だというのは皆も理解したわよね。エルーサとウィラも、そろそろ解体の方は切り上げなさい。ほら、このあたりの肉も美味しく焼けたわ」
私はそう言いながら、何故か持っていたBBQセットを使って網焼きにしている焼けた薄切り肉を小皿に取り分けていく。そう、私は今、絶賛焼肉将軍だ。
「エステリア嬢。確かにこの肉は凄まじく旨いが、私としては君に肉を焼かせ続けていることが気がかりなのだが、やはり、私が変わりに――」
「いいえ、この肉は私が責任もって皆に振る舞うのです。たとえ閣下と言えど口出し無用にお願いします」
「しかし――」
「クーベルト辺境伯様。お嬢様のこういう時は誰も止めれぬのです。唯一止める事が出来るとすれば、奥様――ハーブスト公爵夫人くらいでしょう。皆もそれを分かっているので、苦笑はすれど、素直にお嬢様がなさる様を受け入れているのです。かくいう私も気持ちは同じですからね」
と、傍に戻ってきたエルーサはそう言いながら席に着き、私が肉を取り分けた小皿を受け取り、塩を振ってから箸を使って肉を口に運び、驚きの表情を浮かべる。
「これは驚きですね。我らがハーブストの食肉産業も驚くほどの出来と言わざるを得ません」
「そうね。しかも、現状はこの魔導洞窟でしか食べれないのよね。恐ろしいわ賢人サルバトーレ」
私の言葉に皆がそう頷きながら、私が焼き配った肉を口に運ぶのであった。うん、やっぱりこのクオリティは異常としか言えない――と、いうか生物的にはどうみても豚なのにその肉の味は牛って、いったいどうやって魔物なんか作ったのかしら。そもそも、魔導洞窟で生み出される魔物というモノが外の世界に存在する魔物や魔獣とは別の存在だと言わんばかりの事実に私は賢人サルバトーレの魔法技術というモノが少し恐ろしく思ったりもするのであった。
と、いうかA5ランクの牛肉を再現したいと思うあたり、その味を知っているってことよね。うーん、彼の思考というか、人物像が凄くちぐはぐな気がしてならないけど――ま、情報が無さすぎるし、考えても仕方ないところよね。ある程度、考え方や性格が見えてくると彼の考える魔法術式というモノがもっと理解出来るのだけど、正直、難しそうだわ。
「エステリア様、本当に焼いてばかりで大丈夫でしょうか?」
「全くもって問題無いわよ。それに私だって、焼きながらちょくちょく食べているから、思っているより食べ過ぎているくらいよ。まぁ、そろそろ皆も食べるのは控えた方が良いかもしれないわね」
そう、この手の油は後からズンとくることがあるし――と、思ったけれど日本人とは違うし、大丈夫なのかもしれない。その辺りは考えたことが無かったけど、どうなのかしらね。
「――確かに油分が多いことを考えると、後々体調を崩しかねないな。しかし、これほどの味だと食べ過ぎてしまうのも仕方ない気もするよ」
「まさか、そういう罠では無いですよねお嬢様?」
「流石にそんなわけないでしょ。それに賢人サルバトーレもこの味の肉が食べたくて、この魔導洞窟を作ったのだから」
「しかし、不思議なモノだな。この肉、若干だが魔力が回復するような効果があるようだ」
と、閣下は肉を頬張りつつそう言った。特に魔法を使って焼いているわけじゃ無いのに魔力に影響を与える肉というのは少し考えどころね。
「そう考えると、むやみに食べるのも止めた方がいいかもしれませんね。もう少し、キチンと効能などを調べたいところですが――」
「エステリア様。この肉って空間収納に入れて持ち出せない?」
ウィンディがそう言うと皆の視線が私に集まる。まぁ、そう言われても私だって分からない――実験するしかないわね。
「とりあえず、時間的な余裕はないけれど、色々と実験するしかないわね」
と、私はニコリと微笑むと何故か皆が微妙な顔をするのであった。なんとも失礼な――まったく。
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