悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

文字の大きさ
30 / 314
第一章 悪役令嬢は動き出す

30.悪役令嬢は王女様に説教する

しおりを挟む
「おねしゃす! 出来れば助けて!!!」

 微妙な顔からの土下座です。ってか、アンタがそれをするのはマズいのよ! わかってる?

 ってか、分かってたらしないよね。うん、やっぱアホの子ね。

「で、何を助ければいいの?」
「い、いやぁ……私ってさ、『とにキラ』の知識的にかなーり高慢な感じのキャラだったよね。実は方向は違うけど、私もどっちかというと突っ走るタイプのキャラというか……実は既に色々とやらかしてかるかもって……」

 何となく聞くのが凄く嫌なんだけど、聞かない分けにはいかないよね。と、私は小さく息を吐く。

「で? 何やらかしたの?」

 彼女は地面に座ったまま、周囲に視線を送って頬をポリポリと掻く。この子の場合、すごい突飛な事を言い出しかねないと思い私はゆっくりと息を吸い込み、彼女の言葉を待つ。しばしの沈黙の後、意を決したように彼女は口を開いた。

「……た、たぶんだけど、最近、どうでもいいような扱いを受けているような気がするんだよね。んで、その切っ掛けなんだけど、私ってばどうせ、断罪回避出来ても最終的には政略結婚だろうし、真面目に勉強しても意味ないかなぁ……って、サボりまくってたんだよね」

 やっぱアホの子ね。でも、魔法に関しての技量を考えると全てに関してサボっていたというわけではなさそうだし、今回のでもハーブスト公爵家が護衛を務めているわけだし、完全に見捨てられているわけじゃないよね。

 でも、王族としては魔法とかより、政治・経済、貴族的な思考、外交の為の語学などなど、色々と覚えないといけないことも多いだろうから……サボっていてはダメよね。

「えっと、魔法に関してはどうやって練習したの?」

 とりあえず、キチンと状況把握しておかないと、後々面倒になりそうなので細かく質問をしていこう。

「魔術関連は難しかったから、家庭教師の授業はブッちしてました。魔法は王城の書庫と魔法師団にいた変わり者に教えて貰ったくらいで、ほぼ独学……」

 なるほど、天才っているのよねぇ。まぁ、魔術は理論構築が何より大事だけど、魔法はイメージや空間把握とかが重要だから考え方が全く違うけど……簡単に独学で多重詠唱なんか簡単に出来るもんじゃないわよ。私はどっちかというと理論派だから、なんとなくでは出来ないし、結構な時間を割いて勉強してるのに。

「語学とか政治経済とかは全く興味が無い。とか、思ってたわけね」
「いえーす」
「超ド級のアホさ加減にちょっと眩暈を覚えるわ」
「面目ない……」

 でも、まだ彼女は5歳なんだから、時間はまだまだあるし……何とかなるよね? ってか、これはお母様にも相談して協力をしてもらった方がいいかもしれない。語学に関しては、周辺国とほぼ同じ言葉だし、大きな問題はないと思うけど。貿易とかを考えると大陸語は覚えておいた方がいいんだよね。これは私も苦手ではあるけど、古代文献とかは大陸語や神話語で書かれている事が多いから――覚えておいて損はないんだけど。

「歴史とかは?」
「それっておいしい――ヒィッ!?」

 とりあえず、ニッコリ圧を掛けておいた。にしても、ビビりすぎよ。歴史に関しては得手不得手があるからなぁ。私はどちらかといえばソッチ系が得意だったハズ。近代史は苦手だったけど、一応は抑えてあった程度だけど。この国の歴史は意外と面白いので彼女にも興味を持つ切っ掛けがあれば意外と簡単に覚える事は出来ると思う……けどなぁ。

「魔法以外に得意な事は?」

 これもキチンと聞いておかないといけない。私やアンネマリー嬢みたいに商売に力を入れている風にも見えないけど、何か光るポイントがあるかもしれないしね。

「剣術は得意かも。私ってば、そもそも運動神経には自信があるんだよね。それに今世はすっごい魔法もあるし。一応、2日に一度はお母様から直接指南して貰ってる。と、いうかお母様と会えるのもその時だけというか……」
「ってか、剣術って……国を出奔して冒険者にでもなるつもり?」
「まぁ、最悪、それもいいかなって思ってる」

 まぁ、それも一つの逃げ道よね。でも、女王キャロラインから直接指南って――そうだ、女王は剣術と魔法は天才的って設定だったわよね。隣国との戦争でも第一線で戦ったってお母様が言っていたわ。ってか、お母様は剣術より魔法魔術に長けた人だから、最前線なんて――いや、あの人ならそれもあるのか。私も剣術……習おうかな。

 っと、一応方向性は見えてきたわね。

「ともかく、助けてあげるわよ。私だって断罪回避のチャンスがあるわけだしね。でも、真面目に取り組むって約束してくれる?」
「それはモチロン! エステリアたんと一緒に勉強出来るなら、頑張れる!」
「はぁ、そういうのはいいから……ともかく、魔道具を切ったらちゃんと王女様らしくしてよね。たぶん、周囲は王家の護衛と公爵家の護衛でごった返してると思うから」

 すると、彼女は不思議そうに首を傾げた。

「ごえい?」
「当然、いるに決まってるでしょ。定期的に城から抜け出してるのも分かっててちゃんと護衛を用意してあるくらい、大事にされてるんだよ」
「う、うそ……」
「ホントよ。一緒に頑張ってあげるから、もう少しシャンとなさい」

 私の言葉を聞いた、アリエル王女は立ち上がって埃を払って少し苦笑いをした後に小さく咳払いをする。

「しばらく、迷惑掛けるかもしれないけど、よろしくね」

 と、言った彼女の表情はアホの子では無く、まさしくアリエル王女だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】長男は悪役で次男はヒーローで、私はへっぽこ姫だけど死亡フラグは折って頑張ります!

くま
ファンタジー
2022年4月書籍化いたしました! イラストレータはれんたさん。とても可愛いらしく仕上げて貰えて感謝感激です(*≧∀≦*) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 池に溺れてしまったこの国のお姫様、エメラルド。 あれ?ここって前世で読んだ小説の世界!? 長男の王子は悪役!?次男の王子はヒーロー!? 二人共あの小説のキャラクターじゃん! そして私は……誰だ!!?え?すぐ死ぬキャラ!?何それ!兄様達はチート過ぎるくらい魔力が強いのに、私はなんてこった!! へっぽこじゃん!?! しかも家族仲、兄弟仲が……悪いよ!? 悪役だろうが、ヒーローだろうがみんな仲良くが一番!そして私はへっぽこでも生き抜いてみせる!! とあるへっぽこ姫が家族と仲良くなる作戦を頑張りつつ、みんなに溺愛されまくるお話です。 ※基本家族愛中心です。主人公も幼い年齢からスタートなので、恋愛編はまだ先かなと。 それでもよろしければエメラルド達の成長を温かく見守ってください! ※途中なんか残酷シーンあるあるかもなので、、、苦手でしたらごめんなさい ※不定期更新なります! 現在キャラクター達のイメージ図を描いてます。随時更新するようにします。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...