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第一章 悪役令嬢は動き出す
31.悪役令嬢は国内の情報を整理する
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アリエル王女との邂逅から数日、私の手元にはお父様から集められた資料が沢山届けられていた。
「お嬢様はまだ7つですよ? こんな書類の山に対峙するお歳ではありません」
と、エルーサからの苦情を私はニッコリ笑ってスルーする。だって、必要なことなんだもん。エルーサも言っても無駄だと分かってはいるけれど、一応、言っているだけ。と、いうのも分かっている。それに彼女が分類分けなどしてくれているおかげで、随分と助かっている。
「それにしても、お嬢様。忙しすぎではありませんか?」
「そう? 意外と充実しているわよ」
忙しいといえばそうなんだけど、商会に関してはダナンに任せているし、私が判断しないといけない問題以外はお父様だって手を出して下さっている。最近は魔術研究なんか、お母様が殆どやっていて既に私が手を出すレベルでは無くなってて、お母様の講義で私が教わる状態なのだ。故にどちらかというと魔術回路に関してくらいしか、主だってやることは無い。
まぁ、確かに勉強だけでも、政治経済、魔術、魔法、体術、礼儀作法、歴史、語学と毎日覚えないといけない事はわんさかとあるけど、勉強って意外と楽しいのよね。前世の記憶は曖昧だけど、勉強とか研究とかって嫌じゃないタイプの人間だったのは確かだ。正直言って、許されるなら引き籠って色々と研究したいレベルだもの。
でも、お母様も魔術研究をしながら、公爵家の女主人としての社交や領地経営などもやりながら、私への講義、本人の仕事としての魔術研究。そして、さらに最近はアリエル王女の家庭教師として週に二回、王城へ赴いている。ちなみに私も同行して、二人で講義を受ける形になっている。
マリーには手紙でこの話をしたら、恨み節タップリの貴族らしい手紙が返って来た。彼女とアリエルをどこかのタイミングで会わせたいとは思っているけど、なかなか良い機会が無く現在検討中だ。
「もう……無理だけはいけませんよ」
「分かっているわ」
そう言って優しく微笑むとエルーサは仕方ないといった風に小さく溜息を吐いた。そんな事よりも資料をチェックしておかないとね。
まずはアーマリア侯爵のところ――かの侯爵は領地を持たない所謂、宮中伯や法服貴族のような立ち位置で国内の法務に携わる貴族で同様の立場で言えばアンネマリーの推しであるファルリオのリブロス侯爵家も似たような感じだ。ただし、リブロス侯爵は現在宰相として働いているのでそっちの方が立場は上だ。
なお、アーマリア侯爵家は非常に真面目で堅い性格の人が多く領地経営もやっていないことから、商売などには手を出していないらしい。派閥的にも代々保守系の派閥に所属しているそうだ。騎士の家柄との婚姻もそういった傾向があるから――なのかもしれない。特に変わった内容が無いのでもしかするとこの子はハズレなのかも――と、思っていると噂話。と、まとめられている資料というか、メモ書きに興味を引く内容が記載されていた。
私と同じ7歳の貴族令嬢リンリィ・アーマリア嬢、5歳頃からアーマリア侯爵家では神童と呼ばれている。これは侯爵家に仕える使用人からの情報らしい。
何をもってのエピソードか分からないので判断は出来ないけど、リンリィは神童と呼ばれている。もしくは、いた。というわけで、タイミングを見て会って判断をする必要があるわね。
そんなことを思いながら次の資料に手を伸ばす。
次に手にしたのはパルプスト公爵家の資料だった。あれ? リンガロイ伯爵家の情報じゃないの? と、不思議に思いつつ資料を見ていく。
内容的には他領からの仕入れなどに関する資料のようだ。と、いうかお父様この資料を私に見せて大丈夫なのかしら? パルプスト公爵領は王領と接しており、その北側は小領地が沢山あって、北から王都に入る商品は必ずパルプスト公爵領を通る。故に他領からの商品の出入りは非常に複雑だ。
仕入れ業者と領内をただ通過するだけの業者であったとしても、通行税を取られるわけだし、パルプスト公爵領は通行税だけでボロ儲けよね。実際、北から入ってくる商品の値段は高いという事をお母様も言っていたもの。
でも、この資料がリンガロイ伯爵と繋がるのかしら?
そんな事を思っていると、妙に通過頻度が高い商会がある事に気が付く。添付資料にちゃんとその商会情報が記載された物を見つける。
モイラ商会。扱っているのは布や糸――魔物素材。
魔物素材を扱っている商会が布や糸? それは魔物素材の糸や布ということ? なんだか、疑問符だらけになりそう。『とにキラ』のゲーム内でもおまけ要素的にRPG風ミニゲームがあって、魔物を狩って素材を手に入れて売ったりすることで、色々なお助けアイテムが買える――って事を考えると普通に魔物素材を扱う商会なんかもあって当然ではある。
「エルーサ、冒険者ギルドって魔物素材に関して一切を仕切ってるって話だったよね?」
「はい、そのように聞いています。ギルドから委託された商会であれば、取り扱う許可は取れたと思いますが、非常に敷居が高いので普通は手を出さないと思います」
エルーサが言った通り、魔物素材が特殊というより、ギルドという既得権益が特殊なので普通の商会は手を出さないし、そもそも許可を取り付けるのが難しいと思う。のだけど、この商会はそれをしたということなのだろうか?
私は資料を一旦机に放り投げて、うーんと唸りながら考える。
「お嬢様はまだ7つですよ? こんな書類の山に対峙するお歳ではありません」
と、エルーサからの苦情を私はニッコリ笑ってスルーする。だって、必要なことなんだもん。エルーサも言っても無駄だと分かってはいるけれど、一応、言っているだけ。と、いうのも分かっている。それに彼女が分類分けなどしてくれているおかげで、随分と助かっている。
「それにしても、お嬢様。忙しすぎではありませんか?」
「そう? 意外と充実しているわよ」
忙しいといえばそうなんだけど、商会に関してはダナンに任せているし、私が判断しないといけない問題以外はお父様だって手を出して下さっている。最近は魔術研究なんか、お母様が殆どやっていて既に私が手を出すレベルでは無くなってて、お母様の講義で私が教わる状態なのだ。故にどちらかというと魔術回路に関してくらいしか、主だってやることは無い。
まぁ、確かに勉強だけでも、政治経済、魔術、魔法、体術、礼儀作法、歴史、語学と毎日覚えないといけない事はわんさかとあるけど、勉強って意外と楽しいのよね。前世の記憶は曖昧だけど、勉強とか研究とかって嫌じゃないタイプの人間だったのは確かだ。正直言って、許されるなら引き籠って色々と研究したいレベルだもの。
でも、お母様も魔術研究をしながら、公爵家の女主人としての社交や領地経営などもやりながら、私への講義、本人の仕事としての魔術研究。そして、さらに最近はアリエル王女の家庭教師として週に二回、王城へ赴いている。ちなみに私も同行して、二人で講義を受ける形になっている。
マリーには手紙でこの話をしたら、恨み節タップリの貴族らしい手紙が返って来た。彼女とアリエルをどこかのタイミングで会わせたいとは思っているけど、なかなか良い機会が無く現在検討中だ。
「もう……無理だけはいけませんよ」
「分かっているわ」
そう言って優しく微笑むとエルーサは仕方ないといった風に小さく溜息を吐いた。そんな事よりも資料をチェックしておかないとね。
まずはアーマリア侯爵のところ――かの侯爵は領地を持たない所謂、宮中伯や法服貴族のような立ち位置で国内の法務に携わる貴族で同様の立場で言えばアンネマリーの推しであるファルリオのリブロス侯爵家も似たような感じだ。ただし、リブロス侯爵は現在宰相として働いているのでそっちの方が立場は上だ。
なお、アーマリア侯爵家は非常に真面目で堅い性格の人が多く領地経営もやっていないことから、商売などには手を出していないらしい。派閥的にも代々保守系の派閥に所属しているそうだ。騎士の家柄との婚姻もそういった傾向があるから――なのかもしれない。特に変わった内容が無いのでもしかするとこの子はハズレなのかも――と、思っていると噂話。と、まとめられている資料というか、メモ書きに興味を引く内容が記載されていた。
私と同じ7歳の貴族令嬢リンリィ・アーマリア嬢、5歳頃からアーマリア侯爵家では神童と呼ばれている。これは侯爵家に仕える使用人からの情報らしい。
何をもってのエピソードか分からないので判断は出来ないけど、リンリィは神童と呼ばれている。もしくは、いた。というわけで、タイミングを見て会って判断をする必要があるわね。
そんなことを思いながら次の資料に手を伸ばす。
次に手にしたのはパルプスト公爵家の資料だった。あれ? リンガロイ伯爵家の情報じゃないの? と、不思議に思いつつ資料を見ていく。
内容的には他領からの仕入れなどに関する資料のようだ。と、いうかお父様この資料を私に見せて大丈夫なのかしら? パルプスト公爵領は王領と接しており、その北側は小領地が沢山あって、北から王都に入る商品は必ずパルプスト公爵領を通る。故に他領からの商品の出入りは非常に複雑だ。
仕入れ業者と領内をただ通過するだけの業者であったとしても、通行税を取られるわけだし、パルプスト公爵領は通行税だけでボロ儲けよね。実際、北から入ってくる商品の値段は高いという事をお母様も言っていたもの。
でも、この資料がリンガロイ伯爵と繋がるのかしら?
そんな事を思っていると、妙に通過頻度が高い商会がある事に気が付く。添付資料にちゃんとその商会情報が記載された物を見つける。
モイラ商会。扱っているのは布や糸――魔物素材。
魔物素材を扱っている商会が布や糸? それは魔物素材の糸や布ということ? なんだか、疑問符だらけになりそう。『とにキラ』のゲーム内でもおまけ要素的にRPG風ミニゲームがあって、魔物を狩って素材を手に入れて売ったりすることで、色々なお助けアイテムが買える――って事を考えると普通に魔物素材を扱う商会なんかもあって当然ではある。
「エルーサ、冒険者ギルドって魔物素材に関して一切を仕切ってるって話だったよね?」
「はい、そのように聞いています。ギルドから委託された商会であれば、取り扱う許可は取れたと思いますが、非常に敷居が高いので普通は手を出さないと思います」
エルーサが言った通り、魔物素材が特殊というより、ギルドという既得権益が特殊なので普通の商会は手を出さないし、そもそも許可を取り付けるのが難しいと思う。のだけど、この商会はそれをしたということなのだろうか?
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