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第一章 悪役令嬢は動き出す
43.悪役令嬢は南方貿易の危険な品物を見せられる
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あれから数日後、王都の屋敷にダリルが商会の打合せに来ていた。私は大体のことはお父様に放り投げているので新しい案件や取り寄せていた物の受取り確認などが主である。
「ご無沙汰しております、お嬢様」
「ええ、忙しいのに態々こちらまで来て貰ってごめんなさいね」
「いえいえ、お嬢様が気になさることはありませんぜ」
そう言うとダリルは視線を後ろにいる付き人に向ける。彼らはそれを合図に私の前へ幾つかの箱を置いた。
「先ずはご希望の魔鉱石となります。工場の方へは別口で倉庫の方に運んでおります。後、奥様からも研究用に幾つか、お嬢様用と同量をお渡ししております」
「ありがとう。実際、どう使うかはまだ何も考えてはいないけどね」
ダリルは私が冗談を言ったのか疑問に思うような雰囲気だけど、本当にまだこれから研究するんだからね。ま、勝手に勘違いするのはいいんだけど。
「あと、こちらの大きめの箱は魔晶石になります。魔晶石はカサだけは大きいのが難点ですな」
「それは仕方ないわ」
魔晶石は魔鉱石に比べて大きい。結局錬金するか砕いてしまうので原型を留めないのだけど、掘り出した石のままでは非常に嵩張る。研究室でも場所取りとなっているが非常に便利な素材だから私の研究には必要なのだ。
「エルーサ、お願いね」
と、言えば、控えていたメイド達が箱を運んでいく。運ばれて行くのを確認して、ダリルは長細い箱をテーブルに置いた。
「コレは?」
「南方貿易で最近チラホラと流れてくる品なんですが……」
そう言って彼は箱を開ける。そこには木と鉄で出来た先込め式のマスケットが入っていた。
「知ってますかい? 魔力の少ない平民でも扱える強力な武器だそうです」
知っているけど、知っているとは言えない。しかも、私の知っている銃というのは先込め式なんかじゃない。カートリッジ式で何十発も撃てる? まぁ、物によるけど、前世における主軸装備だ。
「魔法障壁で防げるのでは無いの?」
見てから反応は無理だろうけど、撃って来るのが分かっていれば防壁を張っていれば防げるのではないかと思った。ダリルはやや薄めの髪をボリボリと掻きながら苦笑する。
「どうなんでしょうなぁ。ただ南方貿易の異人達は『魔法使い殺し』とも呼んでいるそうですので、それなりの効果はありそうですがねぇ」
「それは何とも大仰な売り文句のようね。ダリルは当然、お父様やお母様にも見せたのでしょ?」
両親とも、魔法にはかなり秀でた人物である。当然、私と同じ意見になると思うのだけど……どうなのだろうか?
「いやぁ、さすがお嬢様ですねぇ。ご両親とも、同じ意見でございました。ちなみにですが、火薬と弾を込めて、目標を狙い撃つまでに結構な時間を要するので、それまでに魔法で対応可能なのではないか。と、仰っておりました。ただ、魔力の少ない者や魔法が得意でない者には絶大な威力を発揮するのではないかとも、仰っておりました」
「確かにそうよね。例えば、これが小型化されたり、威力が強化されたり、何発も連続で弾を撃てるようになれば脅威かもしれないわね」
そう私が言うと、ダリルは「なるほど……」と、呟いて考え込む。因みにだけど、私はもっと問題だと思う事がある。魔石や魔晶石を使えば銃弾に魔法を刻む事も可能では無いかと思うのだ。それを作ってしまえば歴史が大きく動く事になりそうだ。
なんとも危険な武器だし、私が作らなくても誰かが気が付きそうなのよね。先に作って技術的な権利を牛耳ってしまえば、ある程度はコントロール出来るかもしれないけど……いやぁ、ダメね。気付きさえあれば、魔術理論に長けた人間であれば作れる可能性はある。ただ、我が家が秘匿している魔術分解や魔術回路の技術を表に出さなければ、数年は稼げるかも。
結局リバースエンジニアリングされれば、ある程度はバレる可能性が高いからなぁ。
「お嬢様はさらなる発展の方向性も見えているようですな」
考え込む私の姿を見て彼はそんな事を思ったようだ……と、いうか間違ってはいないけどね。魔法の優位性が崩れると国は確実に荒れちゃうよねー。回避方法って、やっぱり。
と、私は鉄砲をその場で購入することで決めた。
「ご無沙汰しております、お嬢様」
「ええ、忙しいのに態々こちらまで来て貰ってごめんなさいね」
「いえいえ、お嬢様が気になさることはありませんぜ」
そう言うとダリルは視線を後ろにいる付き人に向ける。彼らはそれを合図に私の前へ幾つかの箱を置いた。
「先ずはご希望の魔鉱石となります。工場の方へは別口で倉庫の方に運んでおります。後、奥様からも研究用に幾つか、お嬢様用と同量をお渡ししております」
「ありがとう。実際、どう使うかはまだ何も考えてはいないけどね」
ダリルは私が冗談を言ったのか疑問に思うような雰囲気だけど、本当にまだこれから研究するんだからね。ま、勝手に勘違いするのはいいんだけど。
「あと、こちらの大きめの箱は魔晶石になります。魔晶石はカサだけは大きいのが難点ですな」
「それは仕方ないわ」
魔晶石は魔鉱石に比べて大きい。結局錬金するか砕いてしまうので原型を留めないのだけど、掘り出した石のままでは非常に嵩張る。研究室でも場所取りとなっているが非常に便利な素材だから私の研究には必要なのだ。
「エルーサ、お願いね」
と、言えば、控えていたメイド達が箱を運んでいく。運ばれて行くのを確認して、ダリルは長細い箱をテーブルに置いた。
「コレは?」
「南方貿易で最近チラホラと流れてくる品なんですが……」
そう言って彼は箱を開ける。そこには木と鉄で出来た先込め式のマスケットが入っていた。
「知ってますかい? 魔力の少ない平民でも扱える強力な武器だそうです」
知っているけど、知っているとは言えない。しかも、私の知っている銃というのは先込め式なんかじゃない。カートリッジ式で何十発も撃てる? まぁ、物によるけど、前世における主軸装備だ。
「魔法障壁で防げるのでは無いの?」
見てから反応は無理だろうけど、撃って来るのが分かっていれば防壁を張っていれば防げるのではないかと思った。ダリルはやや薄めの髪をボリボリと掻きながら苦笑する。
「どうなんでしょうなぁ。ただ南方貿易の異人達は『魔法使い殺し』とも呼んでいるそうですので、それなりの効果はありそうですがねぇ」
「それは何とも大仰な売り文句のようね。ダリルは当然、お父様やお母様にも見せたのでしょ?」
両親とも、魔法にはかなり秀でた人物である。当然、私と同じ意見になると思うのだけど……どうなのだろうか?
「いやぁ、さすがお嬢様ですねぇ。ご両親とも、同じ意見でございました。ちなみにですが、火薬と弾を込めて、目標を狙い撃つまでに結構な時間を要するので、それまでに魔法で対応可能なのではないか。と、仰っておりました。ただ、魔力の少ない者や魔法が得意でない者には絶大な威力を発揮するのではないかとも、仰っておりました」
「確かにそうよね。例えば、これが小型化されたり、威力が強化されたり、何発も連続で弾を撃てるようになれば脅威かもしれないわね」
そう私が言うと、ダリルは「なるほど……」と、呟いて考え込む。因みにだけど、私はもっと問題だと思う事がある。魔石や魔晶石を使えば銃弾に魔法を刻む事も可能では無いかと思うのだ。それを作ってしまえば歴史が大きく動く事になりそうだ。
なんとも危険な武器だし、私が作らなくても誰かが気が付きそうなのよね。先に作って技術的な権利を牛耳ってしまえば、ある程度はコントロール出来るかもしれないけど……いやぁ、ダメね。気付きさえあれば、魔術理論に長けた人間であれば作れる可能性はある。ただ、我が家が秘匿している魔術分解や魔術回路の技術を表に出さなければ、数年は稼げるかも。
結局リバースエンジニアリングされれば、ある程度はバレる可能性が高いからなぁ。
「お嬢様はさらなる発展の方向性も見えているようですな」
考え込む私の姿を見て彼はそんな事を思ったようだ……と、いうか間違ってはいないけどね。魔法の優位性が崩れると国は確実に荒れちゃうよねー。回避方法って、やっぱり。
と、私は鉄砲をその場で購入することで決めた。
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