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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
226.悪役令嬢の父親達は娘の活躍を見守る
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「なかなかに楽しめそうだな」
そう言ったのはミストリアの女王の守り手とも呼ばれている男だ。因みにアイツが言っていることも確かではあるが、我が愛する妻と私の愛し子であるエステリアの実力は同年代の子達からは圧倒的に高い位置にいる。
「棒術とは中々に興味深い。そもそも、アレは別の武器を想定した動きになっているのだろう?」
「でしょうな。本来の棒術で使われる棒よりも少しばかり短いような気がしますし」
と、私と共に近衛騎士に化けているスティーブがそう分析していた。まぁ、正解だ。アレは我妻が武器を入れ替えずに魔銃を使った状態で近接戦闘が出来るよう仕込みを入れていたのだ。
「で、ウィングレーよ。答えはどうなのだ?」
「正解にございます」
満足そうに我がミストリアの王配であるランパートはドヤ顔を見せる。
「それにしても、バリュームーン子爵のところはどいつもこいつもデカいな。何を食えばあそこまでデカく育つのだ?」
と、コイツは言うがお前も長身の方だし、隣にいるスティーブも大概な長身では無いか? と、私は思うのだがそこは敢えて何も言わないで――いや、ここでは言えないから後に酒でも酌み交わしながら言ってやるとしよう。恵まれた体躯と魔力量を持つ一族ではあるが、何代も子爵のままで、戦働きも大きな戦果を挙げる事が出来ていなかったことを考えると、やはり脳筋というのはダメだと思わされる。まぁ、スティーブくらいにセンスがあれば別ではあるが。
「やはり肉か? スティーブはどう思う?」
「わ、私ですか? 特に肉ばかり食べているわけではありませんな」
彼はまじめにそう答えつつ、私はこやつがあまり肉を食っているイメージは無い。どちらかと言えば野菜が好きだと言っていたくらいなのだが、まぁ、デカくなる奴は何を食ってもデカくなるのでは無いかと思っている。我が愛する妻の話によれば幼い時に魔力を鍛えると成長が早く鈍化するような事を言っていたことを考えると、そういう影響もあるのでは無いかと思わなくはない。
しかし、バリュームーン子爵令息は我が子と近い年代の子供には見えぬほどにデカい――わけだが、そもそもバリュームーン子爵もその先代も図体のデカい男だった。そういえば、かの子爵には妹がいたが、彼女もそうとう長身だったな。西方の国の伯爵家に嫁いだと聞いているが、まぁ、元々あまり関わりの無い家の者だしな。どうでもよいか。
などと考えていると、スティーブの娘が会場に登場する。
「何度も言っておるが、スティーブに似てなくてよかったな」
「公、さすがに言い過ぎです」
「ウィングレー殿、問題ありません。私とて似てなくてホッとしているのですから。妻によく似て可愛らしいのですよ」
と、スティーブはあまり表情を変えずにそう言った。確かに彼の妻はどちらかと言えば華奢な感じはあるが、あの夫婦は冒険と戦闘をこよなく愛す変わり者だからな。なんとも言えん。しかし、リンガロイ伯爵家があってこそ、ミストリアが守られている状況でもある現在を考えると、いかんとも……だな。
「相手はディルツィーオ騎士爵の娘か。ウィングレーはどうみる?」
「どうみても、ウィンディ嬢の圧勝でしょう。公も分かってて聞かないで頂きたい」
我が娘も魔法無しルールだと自分の方が弱いまであると、言っていたほどだ。そして、試合が開始された瞬間、ウィンディ嬢は物凄い速度で対戦相手に突撃する。対戦相手のディルツィーオ騎士爵令嬢は素早く防御姿勢を取るが彼女の渾身かどうかは分からないが、身体の回転を活かした薙ぎ払いを受け、剣をへし折られながら吹き飛ばされ、錐揉み回転しながら地面に叩きつけられる。
「――ほう? なかなかに根性があるな」
ランパートが興味深そうにそう言ったのは地面に叩きつけられたディルツィーオ騎士爵令嬢が、苦し気になんとか立ち上がろうとしていたからだ。しかし、ウィンディ嬢はそこにスッと剣を向けて彼女の動きはそこで止まった。
そして、審判役の騎士がウィンディ嬢の勝利を宣言し、試合は終了。真っ直ぐに突進してくるように見せて、微妙に軸をずらしながら身体を回転させることで得られる遠心力を使って勢いを増した上でキチンと斬撃では無く斬撃からの打撃になるような当て方は天才的だが、これが戦であれば、キチンと切り刻んでおいた方がいいのではないかと私は思う――が、まぁ、子供だしそんなものか。と、思う事にした。
「確かにスティーブの娘相手によく頑張ったと言えるでしょう。もう少し魔力の扱いが上手ければ剣は折られなかったでしょうし、吹き飛ばされた衝撃を抑えることも出来たでしょう」
「こういうところはやはり魔力量が物を言うことが多いからな」
と、ランパートは言ったが、私は我が愛する妻から昔、聞かされたことがある。魔力の大小は多少は覆すことが出来る――あの話は当時は目から鱗が落ちるような思いだった。まぁ、ランパートも天才肌でなんとなく出来ているところが、コイツは――と、思うところだが。
「それにしても、面倒な視線を幾つか感じるのだが――」
「それについては無視してもよろしいかと」
ランパートの言葉にスティーブが即座に返す。我々も分かっているし、どうせ大したことは何もできないだろうと思っているからだ。もし、何かあっても、私とスティーブがいる。これだけで、何かが起こっても鎮圧するには過剰戦力というものだ。と、私は思いながら、小さな溜息を吐いた。
ああ――もっと、娘の活躍が見たいぞ。私は!!!
そう言ったのはミストリアの女王の守り手とも呼ばれている男だ。因みにアイツが言っていることも確かではあるが、我が愛する妻と私の愛し子であるエステリアの実力は同年代の子達からは圧倒的に高い位置にいる。
「棒術とは中々に興味深い。そもそも、アレは別の武器を想定した動きになっているのだろう?」
「でしょうな。本来の棒術で使われる棒よりも少しばかり短いような気がしますし」
と、私と共に近衛騎士に化けているスティーブがそう分析していた。まぁ、正解だ。アレは我妻が武器を入れ替えずに魔銃を使った状態で近接戦闘が出来るよう仕込みを入れていたのだ。
「で、ウィングレーよ。答えはどうなのだ?」
「正解にございます」
満足そうに我がミストリアの王配であるランパートはドヤ顔を見せる。
「それにしても、バリュームーン子爵のところはどいつもこいつもデカいな。何を食えばあそこまでデカく育つのだ?」
と、コイツは言うがお前も長身の方だし、隣にいるスティーブも大概な長身では無いか? と、私は思うのだがそこは敢えて何も言わないで――いや、ここでは言えないから後に酒でも酌み交わしながら言ってやるとしよう。恵まれた体躯と魔力量を持つ一族ではあるが、何代も子爵のままで、戦働きも大きな戦果を挙げる事が出来ていなかったことを考えると、やはり脳筋というのはダメだと思わされる。まぁ、スティーブくらいにセンスがあれば別ではあるが。
「やはり肉か? スティーブはどう思う?」
「わ、私ですか? 特に肉ばかり食べているわけではありませんな」
彼はまじめにそう答えつつ、私はこやつがあまり肉を食っているイメージは無い。どちらかと言えば野菜が好きだと言っていたくらいなのだが、まぁ、デカくなる奴は何を食ってもデカくなるのでは無いかと思っている。我が愛する妻の話によれば幼い時に魔力を鍛えると成長が早く鈍化するような事を言っていたことを考えると、そういう影響もあるのでは無いかと思わなくはない。
しかし、バリュームーン子爵令息は我が子と近い年代の子供には見えぬほどにデカい――わけだが、そもそもバリュームーン子爵もその先代も図体のデカい男だった。そういえば、かの子爵には妹がいたが、彼女もそうとう長身だったな。西方の国の伯爵家に嫁いだと聞いているが、まぁ、元々あまり関わりの無い家の者だしな。どうでもよいか。
などと考えていると、スティーブの娘が会場に登場する。
「何度も言っておるが、スティーブに似てなくてよかったな」
「公、さすがに言い過ぎです」
「ウィングレー殿、問題ありません。私とて似てなくてホッとしているのですから。妻によく似て可愛らしいのですよ」
と、スティーブはあまり表情を変えずにそう言った。確かに彼の妻はどちらかと言えば華奢な感じはあるが、あの夫婦は冒険と戦闘をこよなく愛す変わり者だからな。なんとも言えん。しかし、リンガロイ伯爵家があってこそ、ミストリアが守られている状況でもある現在を考えると、いかんとも……だな。
「相手はディルツィーオ騎士爵の娘か。ウィングレーはどうみる?」
「どうみても、ウィンディ嬢の圧勝でしょう。公も分かってて聞かないで頂きたい」
我が娘も魔法無しルールだと自分の方が弱いまであると、言っていたほどだ。そして、試合が開始された瞬間、ウィンディ嬢は物凄い速度で対戦相手に突撃する。対戦相手のディルツィーオ騎士爵令嬢は素早く防御姿勢を取るが彼女の渾身かどうかは分からないが、身体の回転を活かした薙ぎ払いを受け、剣をへし折られながら吹き飛ばされ、錐揉み回転しながら地面に叩きつけられる。
「――ほう? なかなかに根性があるな」
ランパートが興味深そうにそう言ったのは地面に叩きつけられたディルツィーオ騎士爵令嬢が、苦し気になんとか立ち上がろうとしていたからだ。しかし、ウィンディ嬢はそこにスッと剣を向けて彼女の動きはそこで止まった。
そして、審判役の騎士がウィンディ嬢の勝利を宣言し、試合は終了。真っ直ぐに突進してくるように見せて、微妙に軸をずらしながら身体を回転させることで得られる遠心力を使って勢いを増した上でキチンと斬撃では無く斬撃からの打撃になるような当て方は天才的だが、これが戦であれば、キチンと切り刻んでおいた方がいいのではないかと私は思う――が、まぁ、子供だしそんなものか。と、思う事にした。
「確かにスティーブの娘相手によく頑張ったと言えるでしょう。もう少し魔力の扱いが上手ければ剣は折られなかったでしょうし、吹き飛ばされた衝撃を抑えることも出来たでしょう」
「こういうところはやはり魔力量が物を言うことが多いからな」
と、ランパートは言ったが、私は我が愛する妻から昔、聞かされたことがある。魔力の大小は多少は覆すことが出来る――あの話は当時は目から鱗が落ちるような思いだった。まぁ、ランパートも天才肌でなんとなく出来ているところが、コイツは――と、思うところだが。
「それにしても、面倒な視線を幾つか感じるのだが――」
「それについては無視してもよろしいかと」
ランパートの言葉にスティーブが即座に返す。我々も分かっているし、どうせ大したことは何もできないだろうと思っているからだ。もし、何かあっても、私とスティーブがいる。これだけで、何かが起こっても鎮圧するには過剰戦力というものだ。と、私は思いながら、小さな溜息を吐いた。
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