悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第四章 悪役令嬢は王女と共に戦場を駆ける

292.悪役令嬢はナハリトの町長を〆る

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 ナハリトの町にある、随分と古い屋敷が町長まちおさである――えっと、名前は何だったかしら? と、私はそんなことを考えつつ、エルーサと共にその屋敷へ訪れた。因みに町を占領したわけだけど、町の広場に指令室である馬車と停めただけなんだけどね。町の者達も馬車のサイズから考えるとおかしな人数が出てきて、さぞ驚いたでしょうね。

「これはこれは……ど、どうされましたか?」

 と、印象的には『細長い』感じの男が町長であるキュレル準男爵だ。因みに一度、魔法による脅しを掛けた所為で随分と私に対して恐怖している――わけだけど、まぁ、それは致し方ないところ。

「キュレル準男爵に再度、訊きたい事があったので、訪ねさせていただきました」

 私の言葉に彼はビクリと小さく怯えるように跳ねる。うん、なんだか可哀想になってくるけど、まぁ、少し前の態度からすれば、こちらの方がマシともいえる。他の人達から私が彼をズタボロにしてしまうのでは無いかと心配されたほどだけど、残念ながら、それくらいでキレるわけないじゃない。

 まぁ、流石に下品な言葉と嫌らしい視線を向けれたことに関しては許すべからず。と、は思っているけど、ちょっと脅しただけで土下座するような者なのだから、小物であることは間違いないわね。

「へ、へぇ、なんなりと……」

 彼は揉み手をしながら冷や汗をダラダラと垂らしながらそう言いながら、私の小さな動きにもビクリとする。うーん、やり過ぎたのかしら? と、思いつつも会話を進める。

「元々の町の様子というのは分かりかねますが、あまりにも寂れすぎているのは奇妙に思えたので、少し話を訊かせて貰ってもよいですか?」

 私の言葉に彼はあからさまに反応する。うん、何かあるのね……いくつか考えられることはあるけど、まぁ、それも訊けばいいか。と、思いつつ少しだけ魔力で圧を掛けると、彼は小さく「ひぃっ」と、声を上げる。

「で、何があったのかしら?」
「……えっ、あ、は、はいっ、あ……いや……なんといいますか……いえ、あ、あの……元々、この町の近くにある魔導洞窟ダンジョンですが、あまり大きく無く我が国では不人気の魔導洞窟ダンジョンでして……そ、その……寂れているというほどでは無かったのですが……」

 と、彼は汗を拭きながらそう言った。まぁ、町の寂れ具合を考えても不人気だったということは分からなくはないけれど、現状の人気の無さは異常状態と言ってもいいでしょう。その原因というところを知りたいわけだけど――まぁ、ロクな話では無いのでしょうね。

「あ、あの……ですね。我が国では非常時である時は冒険者を徴兵する決まりがありまして……ガスパール侯爵様がお触れを出し、殆どの冒険者が戦へ出てしまい、あ、あの……」
「なるほど、それに関しては言う必要は無いわ。結果は私達の方が詳しいでしょうから。それだけでは無いわよね?」

 私がそう言うと彼は視線を泳がせた。うん、まぁ、なんとなく予想出来たけど、どうなのかしらね。

「ひとつ訊きたいのだけど、冒険者ギルドから文句は言われないの? 本来、冒険者ギルドに所属する冒険者というのは聖イーフレイ帝国が管理する組織が故にどの国でも徴兵というのは基本的にしていませんよね?」

 近年、その慣習というのも薄れてきているという話は聞いていた。しかし、スーリアルの人間が如何に考えているか少し気になった。

 キュレル準男爵は怯えつつも内心面倒くさいと思っているのか、視線を泳がせ小さく「あー」と、声を漏らす。

「私も……そのぉ、詳しくは無いのですが……我が国では先々代の頃より冒険者も活用するようになったのです……故に奴隷や冒険者のおかげで、強勢なる軍を維持して――」

 と、言ってから彼は項垂れた。

「おかげで、冒険者も徴収された奴隷も帰ってこない! この町に住む多くの者が財を失ったのです!!」

 彼は少しばかり頭に血が上ったのか、声を大にしてそう言った。エルーサが思わずピクリと動こうとするのを止めさせて、私は大きな溜息をあえて吐く。

「――ふぅ。 で? だから、何なのでしょう? そもそも、我がミストリアへ進攻する為に兵を動かしたのはそちらでしょう。冒険者や奴隷、資材を徴収したのはガスパール侯爵ですよね? 私に文句を言っても仕方ないでしょう。ガスパール侯爵が率いる軍は私達によって壊滅し、私達はパーレンダムも押さえた。そして、今現在、このナハリトの町も占拠しているのだから、私の怖さは知っているハズよね?」

 と、脅せば彼はガックリと膝を付き情けない声を上げる。なんとも、面倒くさい男だと思わず思ってしまう。

「どうして戦など始めてしまったのだ……」
「そんなことを私に言っても知らないわよ。スーリアルの者達が欲をかいただけでしょう? キュレル準男爵もガスパール侯爵が私達のような年端も行かない女子が指揮を執る軍に負けるとは思ってなかったのでしょ?」

 私はそう言いながら再度溜息を吐いて笑顔で圧を掛ける。と、彼は「ひぃぃぃっ」と、酷い顔で失禁するのであった。なんだか、解せぬ。
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