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勝ち目しかない勝負
③
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翌日。
スマホのアラームで目を覚ました俺は、予想通り身体バキバキの上に、しっかりと酒臭い。
これはシャワーを浴びずにはいられない。そう思い、司馬さんの様子を見に行ったが爆睡中だった。
布団に埋もれて眠る司馬さんを見て、「起こす方が失礼だな」と判断し、勝手に使わせてもらうことにした。
昨日の俺の功績を踏まえれば、シャワーくらい許してくれるだろうと自分に言い聞かせながら、そっとバスルームへ向かった。
シャワーを浴びて少しスッキリしたものの、着替えは当然ない。
下着は借りられないので昨日のままだ。シャツは昨晩干しそびれていたので、リビングにあったハンガーに慌ててかける。
――ビービービービービー。
大音量のアラームが部屋に響き渡る。
音源を辿ると、司馬さんのカバンの中でスマホが震えていた。毎朝この時間に目覚ましをセットしているらしい。
「……んんっ……」
寝室から、司馬さんのうめき声のような寝起きの声が聞こえた。
体調がまだ悪かったらどうしよう、と思いながら寝室に向かう。
「司馬さん、起きましたか?体調どうです?」
声をかけると、司馬さんはぼんやりと寝ぼけ顔でこちらを見た。
が、数秒後、何かに気づいたように一気に目が覚め、顔色がサッと変わった。
――しまった。
俺、風呂上がりでパンツ一丁だ。
そして司馬さんも、昨日服を脱がせたきりのパンツ一丁。
パンツ一丁同士で上司と見つめ合う朝って、何なんだ。
「あっ、相川君?……僕は昨日、一体……」
見る見るうちに司馬さんの顔が青ざめていく。
「すっ、すまない!まさか、僕が……記憶がなくて……いや、謝って許されることでは……!」
「いやいやいや!ちょっと待ってください!司馬さんが今想像してるようなこと、たぶん何一つ起きてないですから!!」
俺は慌てて昨晩のことを説明し、看病の経緯から現状まで、全部正直に話した。
司馬さんは手で顔を覆い、何度も「すまない」「ありがとう」と繰り返していた。
「大丈夫ですから。司馬さんにはいつもお世話になってますし。このくらいいつものお礼としてさせてくださいって。」
「いや、そういう訳にはいかない。昨日の分の弁償をさせて貰わないと……。」
グゥー
急にお腹の音が鳴る。
司馬さんに目を向けると、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして目が潤んでいた。
……そういえばこの人、昨日の夕飯吐いてたな。
俺は笑いを堪え、司馬さんに提案する。
「今からコンビニ行って朝飯何か買ってくるんで、俺の分も朝食代出してもらうってところで手を打ちません?」
司馬さんは渋々承諾し、俺はジャージを借りて近所のコンビニに向かった。
いつも完璧な司馬さんのぼんやりした姿を見て、どこか優越感を覚えていた。
司馬さんが何が好きか分からなかったので、おにぎりやサンドイッチを適当にカゴに放り込んでレジに向かった。
戻ると、部屋が少し片付いていた。いや、正確には、リビングのテーブル周りだけ物がどけられていた。たぶん、朝食を広げるためのスペースを作ったのだろう。
ソファに座って、袋から中身を出す。
俺と司馬さんはそれぞれ適当に食べたいものを手に取り、無言で朝ご飯を食べ始めた。
営業帰りに一緒にご飯を食べることはある。そういう時はたいてい、仕事の話をする。でも、今日は完全にプライベートで、しかも昨日の件があって、司馬さんは気まずそうにしていた。
――昨日のことを聞いても、いいんだろうか。
そんな風に迷っていたら、司馬さんのほうからぽつりと口を開いた。
「……昨日のことだけど、少しだけ――言い訳みたいなことをさせてもらってもいいだろうか?」
「聞いてもいいんですか?言いたくないことかと……。」
俺が慎重に尋ねると、司馬さんは静かに頷いた。
「本当は、できるだけ言いたくない。でも、昨日ああいう姿を見せてしまったからには、伝えておかないといけないと思って。」
スマホのアラームで目を覚ました俺は、予想通り身体バキバキの上に、しっかりと酒臭い。
これはシャワーを浴びずにはいられない。そう思い、司馬さんの様子を見に行ったが爆睡中だった。
布団に埋もれて眠る司馬さんを見て、「起こす方が失礼だな」と判断し、勝手に使わせてもらうことにした。
昨日の俺の功績を踏まえれば、シャワーくらい許してくれるだろうと自分に言い聞かせながら、そっとバスルームへ向かった。
シャワーを浴びて少しスッキリしたものの、着替えは当然ない。
下着は借りられないので昨日のままだ。シャツは昨晩干しそびれていたので、リビングにあったハンガーに慌ててかける。
――ビービービービービー。
大音量のアラームが部屋に響き渡る。
音源を辿ると、司馬さんのカバンの中でスマホが震えていた。毎朝この時間に目覚ましをセットしているらしい。
「……んんっ……」
寝室から、司馬さんのうめき声のような寝起きの声が聞こえた。
体調がまだ悪かったらどうしよう、と思いながら寝室に向かう。
「司馬さん、起きましたか?体調どうです?」
声をかけると、司馬さんはぼんやりと寝ぼけ顔でこちらを見た。
が、数秒後、何かに気づいたように一気に目が覚め、顔色がサッと変わった。
――しまった。
俺、風呂上がりでパンツ一丁だ。
そして司馬さんも、昨日服を脱がせたきりのパンツ一丁。
パンツ一丁同士で上司と見つめ合う朝って、何なんだ。
「あっ、相川君?……僕は昨日、一体……」
見る見るうちに司馬さんの顔が青ざめていく。
「すっ、すまない!まさか、僕が……記憶がなくて……いや、謝って許されることでは……!」
「いやいやいや!ちょっと待ってください!司馬さんが今想像してるようなこと、たぶん何一つ起きてないですから!!」
俺は慌てて昨晩のことを説明し、看病の経緯から現状まで、全部正直に話した。
司馬さんは手で顔を覆い、何度も「すまない」「ありがとう」と繰り返していた。
「大丈夫ですから。司馬さんにはいつもお世話になってますし。このくらいいつものお礼としてさせてくださいって。」
「いや、そういう訳にはいかない。昨日の分の弁償をさせて貰わないと……。」
グゥー
急にお腹の音が鳴る。
司馬さんに目を向けると、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして目が潤んでいた。
……そういえばこの人、昨日の夕飯吐いてたな。
俺は笑いを堪え、司馬さんに提案する。
「今からコンビニ行って朝飯何か買ってくるんで、俺の分も朝食代出してもらうってところで手を打ちません?」
司馬さんは渋々承諾し、俺はジャージを借りて近所のコンビニに向かった。
いつも完璧な司馬さんのぼんやりした姿を見て、どこか優越感を覚えていた。
司馬さんが何が好きか分からなかったので、おにぎりやサンドイッチを適当にカゴに放り込んでレジに向かった。
戻ると、部屋が少し片付いていた。いや、正確には、リビングのテーブル周りだけ物がどけられていた。たぶん、朝食を広げるためのスペースを作ったのだろう。
ソファに座って、袋から中身を出す。
俺と司馬さんはそれぞれ適当に食べたいものを手に取り、無言で朝ご飯を食べ始めた。
営業帰りに一緒にご飯を食べることはある。そういう時はたいてい、仕事の話をする。でも、今日は完全にプライベートで、しかも昨日の件があって、司馬さんは気まずそうにしていた。
――昨日のことを聞いても、いいんだろうか。
そんな風に迷っていたら、司馬さんのほうからぽつりと口を開いた。
「……昨日のことだけど、少しだけ――言い訳みたいなことをさせてもらってもいいだろうか?」
「聞いてもいいんですか?言いたくないことかと……。」
俺が慎重に尋ねると、司馬さんは静かに頷いた。
「本当は、できるだけ言いたくない。でも、昨日ああいう姿を見せてしまったからには、伝えておかないといけないと思って。」
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