あなたの瞳に映る花火 〜異世界恋愛短編集〜

宝月 蓮

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大切なのは私が幸せになること、そして私を陥れた者達が不幸のどん底に落ちること

後編(胸糞悪い描写あり、閲覧注意)

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※胸糞悪い過剰報復描写があります。苦手な方はブラウザバックを推奨します。

 数日後。
 ドビアスとキャロラインはオルシーニ侯爵領の街を歩いていた。
「ようやくアデリンネと婚約破棄出来て君と新たに婚約を結べるんだ。今日はとことん楽しもうじゃないか、キャロライン」
「ええ、ドビアス様。私、アデリンネが気に入らなかったのです。やたらと優秀でアデリンネだけ研究所で重宝されて。私の方が可愛いのに」
「ああ、そうだ。キャロラインの方が可愛らしくてあいつよりも良い」
 ドビアスとキャロラインは下品に笑っていた。
「それにしてもドビアス様、今日は街が随分と静かですこと」
「そうだな。でもその分道が広い。誰も俺達の邪魔をする者がいない。良いことじゃないか」
「そうですわね」
 ドビアスとキャロラインは再び下品に笑う。
 すると背後からガタガタと音が聞こえた。
 ドビアスとキャロラインが振り返ると、馬車がこちらに向かっている様子だ。
 その馬車は通常の倍以上スピードが出ており、そのまま二人の元へ突っ込むのであった。





♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔





「アデリンネ、上手く行った! 奴らの破滅確定だ!」
「まあ、ローマン様、ありがとうございます!」
 アウエルスペルク公爵城にて、とある知らせを受けたアデリンネとローマンは黒い笑みを浮かべていた。
「わざわざオルシーニ侯爵領の街を歩行者通行禁止にした甲斐があった」
「あの二人、文字が読めないのでしょうか」
 アデリンネとローマンはクスクスと笑っている。

 アデリンネとローマンはドビアスとキャロラインを陥れる為に動いていた。
 あらかじめドビアスとキャロラインの行動予定を手に入れたローマンは、オルシーニ侯爵領の街を歩行者通行禁止にした。
 しかしそれにも関わらず街を歩いていたドビアスとキャロライン。
 二人に向かって暴走馬車を突っ込ませたのだ。
 その馬車はアウエルスペルク公爵家の貴重な物資を運んでいた。
 アウエルスペルク公爵家は貴重な荷物を潰されたことで、歩行者通行禁止にも関わらず街を歩いていたドビアスとキャロラインの生家オルシーニ侯爵家とコルナイ伯爵家に多額の賠償を求めた。
 その額は王家の資産額にも匹敵し、オルシーニ侯爵家とコルナイ伯爵家は爵位や領地を返上して賠償額を賄うしか道が残されていなかった。
 ドビアスとキャロラインも当然平民になるしかなかった。
 おまけに馬車が突っ込んだことによりドビアスは利き腕の右腕を失った。キャロラインは左足の膝から下を失い杖がないと歩けなくなってしまった。

 オルシーニ侯爵家とコルナイ伯爵家の領地はアウエルスペルク公爵家が所有することになった。
 元オルシーニ侯爵領の研究所もアウエルスペルク公爵家が管理することになり、ローマンが所長となった。
 その際、キャロラインの味方をしアデリンネを睨んだ職員をローマンは全員解雇した。
 アデリンネはローマンが所長になった研究所に所属することになり、名誉も回復して現在は生き生きと研究に励んでいる。

「アデリンネ、今幸せかい?」
「ええ。ローマン様のお陰でとても幸せですわ」
 ローマンの言葉に、微笑むアデリンネ。
「それは良かった。じゃあ、後一息だね。奴らをどん底に落とそう」
「楽しみですわ」





♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔





 資産を失い、平民になったオルシーニ侯爵家とコルナイ伯爵家の者達。
 体の一部を失ったドビアスとキャロラインを養っていく余裕はなかった。
 よってドビアスとキャロラインは二人、物置小屋のような屋敷で暮らすしかなくなった。
 貴族生活が長かった二人にとって、現在の生活は苦痛だった。

 そんなある日、二人が暮らす小屋にやって来た者達がいた。
「なっ! アデリンネ……!」
「どうしてアデリンネ様がこんな所に!? それに隣の方は誰!?」
 ドビアスとキャロラインは目を大きく見開いた。
「お二人共、もう平民なのだからわたくしへの言葉遣いを改めるべきよ」
「教育がなっていないようだね」
 アデリンネと隣にいるローマンはドビアスとキャロラインを嘲笑う。
 ローマンが連れて来た護衛達に指示を出すと、護衛達はドビアスとキャロラインを取り押さえた。
「一体何なんだ!?」
「私達をどうするつもりなの!?」
 困惑、怒り、恐怖に染まるドビアスとキャロライン。
「この小屋を買い取ることにしたのよ。だから二人には出ていってもらうわ」
 アデリンネは冷たく言い放つ。
「出て行ってもらうって、じゃあ俺達どこで暮らせば……!?」
「アデリンネ様、きっと研究所でのこと、怒っているのよね……? 本当にごめんなさい。謝るから、出て行くことだけは許して」
「あ……俺も、悪かったよ。だから、許してくれ」
 ドビアスとキャロラインは青ざめて震えながら懇願する。
「聞き苦しいね」
 ローマンは冷たい声でそう言い、ドビアスとキャロラインの顔にとある薬品をかけた。
「何をする!?」
「きゃあ!? これ何なの!?」
「ドビアスが僕の愛するアデリンネにかけようとした薬品だよ。皮膚が爛れる劇薬だ」
 ククッと笑うローマン。
「まあ、お二人共顔が酷いことになっているわ。実際にかけられた感想はどうかしら?」
 愉快な表情で笑っているアデリンネ。
 ドビアスとキャロラインは悪魔を目の前にしたような表情になり、言葉が出なかった。
「アデリンネ、このくらいにしておこうか」
「そうですわね、ローマン様。やっぱり大切なのはわたくしが幸せになること、そしてわたくしを陥れた者達が不幸のどん底に落ちることですわ」
 ローマンとアデリンネはスッキリしたように笑っていた。
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