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第一章
第2話
しおりを挟む「なんてね。冗談。
すぐ隣なのに、泊ったりしないよ。
それこそ、お母さんたちが急に旅行に行ったりしない限り。」
泊ることを期待している自分もいたが、昨日の今日で二人きりは気まずいと思う自分もいた。
「あ、冗談か。おっけ。
てか、今日って何日だっけ。」
旅行というワードになんとなく引っかかるものを感じながら、食後のコーヒーを啜る。
俺は苦みが強いものより、浅煎りの酸味を感じるコーヒーのほうが好きだ。でも、両親は苦みの強い深煎りのコーヒーが好きなので食後はそれを飲んでいるのだが、今日は俺の好きな味だった。
「ん?7月18日だよ。
だいぶ暑くなってきたよね。」
春香は俺と同じコーヒーをアイスカフェオレにしているらしく、飲むたびにカランと音がなって涼しげだ。
というか、7月18日って、何かで聞いた気がする。
しかし、喉元に引っかかってしまって出てくる気がしない。
ふと、リビングの時計を見る。
短い針が8と9の間位にいた。長い針はと探してみれば、長い針は6を差し示していた。
8時30分、このままでは明らかに遅刻だった。
「春香!やばい、このままだと遅刻だ!」
俺が焦って叫んでも、春香は席から立ち上がったり驚いたりはしなかった、
そして春香は俺に呟くように教えてくれた。
「今日、祝日だよ。」
俺の膝がガクッと折れる。
そのまま、椅子に座ってしまう。
「はぁ~、マジかぁ。
じゃあ、どっか遊びに行く?ゲーセンとか、カラオケとか。」
「ん?いいよ。
でもせっかくだからさ、ちょっと遠出して水族館でも行こうよ。
午前中は水族館行って、昼は近くのカフェでご飯食べて、午後はショッピングモールで買い物でも市よ。」
まるで、そのコースは、
「それじゃ、デートみたいだな。」
照れた顔が見られないように俺が窓のほうを見て呟く。
でも、すぐに春香のほうを見ることになってしまった。
少し頬を赤く染めて、でも、しっかりと俺を見て彼女が言った。
「うん。デートだよ。
私、真一とデートしたい。」
それはまるで、昨日の言葉の返事のようで。
そんな状況に俺は、春香のことを強く愛おしいと思った。
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