The ミリオネア 〜億万長者を創る方法〜

一 千之助

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 お題 鞭アクメ 〜後編〜

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「おらぁっ! イッても良いぞ、七海っっ!! イケぇぇぇっ!!」

「ふぐうぅぅぅっ! うううーーーっ! ふぎぃーっ!!」

 パァンっと大きな音が鳴り響き、何度も絶頂する七海。
 今までのセーブされた鞭と違い、渾身の力で打たれる身体は、震えるような愉悦に呑み込まれ呼吸すらままならない。
 縄化粧がなくば、皮膚が裂け血が滴るだろう勢いの毅の鞭に頭が沸騰し、彼女の意識が朦朧としてきた。
 渇望するモノを与えられ、蕩けてビクビク痙攣する身体。
 その柔肉からズルリと何かが出ていく感触に、七海は慌てて意識を引き戻す。

 .....落としたら。子宮が壊されるぅぅ!!

 そんなハードな調教は、身体がソレを望もうとも七海の心がもたない。
 怖じける彼女は必死にお尻を締めて蝋燭を咥え込む。幸いな事にローションはつかわれていないため、ギリギリとお尻を締めて蝋燭を押さえる七海。
 滴る蝋の熱さで、思わず弛みそうになるが、彼女は死に物狂いで耐えた。

「へぇ..... 《待て》が効いてるのか?」

 ガクガクと痙攣しつつも蝋燭を落とさない七海を見て、感心したように呟く毅。
 そして優しく頭を撫でると、熱く蕩けた吐息で七海の耳元に囁いた。

「.....可愛いな。なぁ? もう我慢しなくて良いぞ? 落とせよ。俺に、お前の子宮を可愛がらせてくれ。じっくりと先端で開いてやるよ? ずっぷり呑み込めるように、優しくさ。な?」

 脳をトロトロにさせる甘い声音で鼓膜を舐め回され、七海の瞳がトロンと弛んでいく。
 ふるふる震えるお尻から蝋燭が動き、しだいに抜け出てきたあたりで、ブギーマンのアナウンスが聞こえた。

《タイム・アーーーップっ!! 時間終了ですっ!! 奴隷の皆様!! お疲れ様でしたぁぁーーーっっ!!》

「..........なっ?!」

 言われてヴィジョンの時計を確認する毅。

 確かに一時間ほどたっていた。

 今まで、お題を奴隷らが完遂すれば終了になっていたので気づかなかったが、どうやらプレイにも制限時間があったようだ。

 ……そりゃそうだよな。無かったら延々続けられちゃうわけだし。

 途中でリクエストを受けたせいで時間経過が早かったのだ。

 ……あ~~~っ、もう少しで落とせたのにぃぃっ!!

 お題に関係ないモノはリクエストに出来ない。お仕置きのリクエストをするという変化球でやれたプレイだ。

 ……はあ、まあ、部屋に戻ってからやれば良いか。


 溜め息をつき、毅は賞金メーターをチラ見する。投げ銭は凄いことになっていた。

 ……好事家とやらは多いみたいだしな。それでなくても、そういう嗜好の人間らは数知れず。

 ブギーマンに聞いたところ、ここのショーを何でも視聴出来る月額十万の視聴権を購入している人々は数千万人をこえ、さらに直接訪れる好事家達は入場料三十万を支払ってここにいるらしい。一日だけでだ。

  ビルの上にあるヘリポートのみがこの島への上陸手段。毎日、限定二百人様だけが入場出来るのだとか。
 それでも予約三年待ちというから驚く。金を持つ者は年で入場料を払い、いつでも気が向いた時に訪れるらしい。
 年間パスの購入者が優先されるため、実際の来客は一日百人ほど。
 三十万×三百六十日。ついでに端数は百の単位で切り上げなのが年買いなのだと聞き、毅は眼を見張った。

「まとめ購入って普通割り引いたりするんじゃないか? 切り捨てじゃなく、切り上げ?」

 眼をしばたたかせる毅に、ブギーマンは、にんまり笑う。

「一日券が三年待ちなプラチナチケットですよ? 安売りする理由ありますか?」

 ああ、なるほど。むしろ、別途で追加料金を払ってでも欲しがる人はいるわけだ。

「うちの予約は網膜認証なので、誰かに入場権を転売とかは出来ませんがね」

 ..........徹底している。

 そんな金をポンっと出せる連中だ。過激になったお題への御布施も半端なくなってきた。
 賭けた分を遥かに上回る投げ銭。ブギーマンはボロ儲けだ。
 
 毅らのこれからを話した、あの日。とんでもない世界に投げ込まれたものだと、少年は項垂れた。

 思い出して複雑な顔をする毅の耳に今回の結果が聞こえる。

《あ~~っと? おおおおっ! 今回の最下位は二組っ!! なんと三組がお題をこなしたぁーーーっ!!》

 おおおーーーっ!! と、どよめく観客達。

 毅も瞠目する。

 ……鞭でイカせた? すげええぇぇっ!

 自分を棚にあげる中坊様。

《しっ・かっ・もっ・ぉぉ? 最下位二組、賭けの配当が入り、奴隷落ち回避ーーーっ!!》

 驚愕の声が上がる観客席。ヴィジョンの中で抱き合い、喜ぶ奴隷達。
 はあああ~~っと毅は安堵に崩折れた。
 脚に力が入らない。ようやく本当に被害者を救えたのだ。

《毅氏の執念勝ちですね♪ 彼らは奴隷解放です。では皆様、また来週をお楽しみにーーーっ!!》

 ショーを終わらせようとしたブギーマンだが、その前に低い声が割り込んでくる。

『リクエストだ。少年の鞭アクメに百本』

 ルームが水を打ったかのように静まり返った。

『聞こえなかったか? 百本だ』

 ……ひゃ.....っ? 一億っ?!

 毅の喉が凍りつく。

 しかし、そこへブギーマンがすかさず口を挟んだ。

《雌犬が失神しておりま~~すっ、リクエストは不可能です♪》

 はっと顔を上げた毅は、力なく項垂れて吊られる七海を見る。ほっと胸を撫で下ろして、ブギーマンに同意した。

『ふん、軟弱な犬だな。なんなら私が打ってやろうか? 啼かせてあげるよ? 少年』

 毅の肌がぶわりと粟立った。この声は..........

 変声されてはいるが、独特の口調に言い回し。間違いない。

「啼き声なら聞かせてやっただろうが、玩具の時に」

 観客席の空気がざわりと蠢いた。

『驚いた。分かるのか? この変声機を通した声で』

「さあな。当てずっぽうかもな。俺を啼かせたいなんて悪趣味な奴は滅多にいないし」

『そうでもないよ? 《攻め受け》を忘れたかい? 少年を虐めて啼かせたい人は、たぶん少年が思うより多いよ?』

「ふざけんなっ!! 断るっ!!」

 ぎんっと眼を剥いた毅に嗤い、リクエスト相手は沈黙する。

 そこで暗転。

 ようやくショーが終わった。


 


「あの二人はどうなるんだ? ちゃんと解放されるのか?」

「されますよ? ただし半年後ですが」

「え?」

「ん~~、説明しておきましょうか。奴隷の解放は慎重にならざるをえないのですよ」

 ここはいつもの広間。ときおりやってくるブギーマンを捕まえて、毅はアレコレと詳細を尋ねる。

 聞けば、あの二人にも固定ファンみたいな客らがいるらしい。
 ここに出演した時点で素性はバレたようなもの。観客らが調べるなど造作もない。
 なので半年のラグを作り解放する。天涯孤独な別人の戸籍に上乗りさせ、新たな人生を与えるのだという。

「今までを捨てて暮らさないと、あっという間に好事家の餌食です。飽き性な金持ちばかりですから、半年もすれば新しい獲物を見つけるでしょう」

 ほとぼりが冷めたら元の家族らと逢うことも可能だとブギーマンはいう。

「そうするとペアだったのは幸いだな。一人じゃないのは心強い」

 ブギーマンが辛辣に眼を光らせたのを毅は気づかなかった。

 ……なんのかんのと、やっぱり子供ですよねぇ? 純真だこと。

 ブギーマンは知っている。ああいった行為に手を染めた者は、その沼から滅多に抜け出せないことを。
 金銭感覚が狂い、性的嗜好が狂い、その病んだとも言える精神が日常感覚を狂わせ、結局似たような沼にはまるのだ。

 ……今なら売りか闇クラブか。その辺の斡旋だけしておきましょうか。なんなら、うちに引き取っても良いし。
 現実に戻された彼等が安穏とした日常に馴染めたら問題はないが、もし壊れたら。責任取って、うちで働かせて面倒をみましょ♪

 くふりと笑うブギーマンを、毅は不思議そうに見上げていた。



「西園寺様、おいたはやめてくださいましね? あんまり子供を虐めないでやってくださいよ」

「子供? アレが本当に子供だと思っているのかね? ブギーマン。君だって何度も煮え湯を飲まされたくせに」

 興奮醒めやらぬのか、西園寺と呼ばれた男性は小さな少女を貫いていた。
 前だけくつろげ、組み敷いた獲物をガンガン突き上げる巨大な一物。

「きゃああああーーーっ!!」

 まだ十にもならない少女は眼を見開いて絶叫している。
 そのように調教し慣らされた少女でも、男性の巨根を受け入れるのは難しく、凄まじい突き上げに秘処がミチミチと軋んでいた。
 今にも裂けそうな少女の中を掻き回し、男性は恍惚とした顔で呟く。

「アレが欲しいな。うちの専属調教師としても。雌犬の量産は仕事柄必須だしな。.....何より、私の毎日が楽しくなりそうだ」

「御断りします。奴隷落ちしない限り、この先は本人の自由ですので」

 激痛に悶絶させられ、半白眼で力なく横たわる少女の中に精をブチまけ、ようやく男性は身体を起こした。
 その男性の汚れた一物を奴隷らが綺麗にし、衣服を整えて下がる。

 そっと少女を運ぶ奴隷達をチラ見し、ブギーマンは小さく嘆息した。

「アレはどうなさいますか? お持ち帰りに?」

「いや、ショーの興奮を鎮めたかっただけだから、置いていく。来週も使うかもしれん。メンテと餌だけ頼むよ」

「承りました」

 観客の中には専用肉便器を買い、ここに常備している者もいる。
 あの少女もそうだ。ここでこの男性に五千万で買われ、檻に繋がれていた。
 ここには、そういった目的の奴隷が、ありとあらゆる年齢層で用意されている。

 十歳以下は割高だ。

 赤子ならば億がつく。

 ブギーマンも下は七歳から、上は六十歳あたりまでがストライクゾーン。非常に範囲が広いが、こういった性癖を持つ者の中では標準だった。

「彼は私の声を覚えていたね? 堪らないなあ。売られてくれないかなぁ、少年」

 うっとりと呟く男性に唾棄するような眼差しを向け、ブギーマンは部屋を後にする。

 ……頼みましたよ、毅君。

 彼の呟きは誰にも拾われることなく、部屋の片隅に転がっていった。
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