「夢」探し

篠原愛紀

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友情の話。

┗少女と。

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海にぼんやりと月が浮かぶのを少女は気づかない程に、夢中になって話を聞きいってくれていた。

「私も、友達と沢山喧嘩したよ。戦争の準備して、私に挨拶しに来たの。あの時が、最後の喧嘩。仲直りなんてもう二度と出来ないのに」

 少女は、もう昔の思い出に「夢」を託せない、期待なんか端からしていないような寂しい顔をしている。

「この男の子二人はまだ生きてるから、夢も見つかるかもしれないし、叶える事はできるよね。私の夢は叶わないから」

「夢」を諦めたと言葉では言いながら、少女の瞳が強く輝かしいのは何故だろう。
「俺にもあったし今も叶えたい思いはあるよ」
 少女は同じだね、と笑った。ううん。違うよ。

 絶対無理なんだ。諦めるしかないんだ。ただしつこく俺が引きずっているだけなんだ。
 あんな灰空の下、俺だけ生きているのに

「夢」見ることなんて赦されるものか。少女はどんな「夢」なのかは聞いてこなかった。

もしかしたら自分も聞かれるのが怖かったのかもしれない。

それに、俺の夢は多分とてもささやかで

君は笑ってしまうかもしれないし。

君や他の人たちにとってはささやかでも、
赤い化物だった俺には、

多分死ぬ思いで、戦わなきゃ

全貌なんて見えないけれど。

「なんで笑ってるの?」

不思議そうにこちらを伺う。

首をかしげてこちらを見上げて。

そっか。俺は笑ってしまってたか。俺は秘密、と人差し指を立てて口元を隠す。

ずるーいと少女は怒る。

確かに、君は俺に秘密なんてしないで話してくれたのにね。

俺は秘密ばかりで情けないけど、

でもね、全て知ったら

君は俺を許さないだろうし

俺は君からさえ逃げなきゃいけなくなるんだ。

「じゃあ……」
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