「夢」探し

篠原愛紀

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天使の話。

┗少女と。

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「それは優しい俺の嘘だったんだ」

また会える日なんて来ないから――……。
「嘘……? 嘘に優しさなんてあるの?」
「あるさ。多分」

自信はないけど、良い嘘だってあるだろ。

その人を安心させるための嘘が。

ただ嘘を身に纏った俺は絶対に暖かくならないけどさ。

「……じゃあ、その天使さんとはもう会えないの?」

アエナイノ――――…?

その疑問をぶつけられて俺は不覚にも少し考えちまった。

「会わないの」

にっこり、そう答えておくことにした。

会えない、じゃなくて会わない。

それしか方法はないっしょ。

「……変なの。会わないなんて。私はもう会えないのに」

小さな墓を見つめて一人呟く少女。

「とても、とても大好きだったの。たった一人の友達だったの。いつも守ってくれたの。そばにいてくれたの。
……笑ってくれたの。」

少女は思い出を一つ一つ大事そうに胸にしまって。

少女の瞳が強く輝くのは、どんな思い出も大切に忘れずに胸の中にしまっているからかもしれない。

俺みたいに、都合が悪くなったら心の奥に封印しちゃって耳を塞いで目を瞑らずに。

気付かなかった俺を許してくれるかな。

優しく力強く笑う笑顔の中に、友人への思いへの苦しみと悲しみが滲んでいたことに。俺の前でだけは、
今だけは、悲しみとか辛いとか、全て忘れてくれたらいいのに、俺が言うなんて、浅ましくて傲慢で身の程知らずだけどさ。

悲しい話で悲しみを紛らすのは最低かもしれないけれど……この話だけは君にしておきたいんだ。

まだ少し付き合ってよ。

俺の話に。
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