「夢」探し

篠原愛紀

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「時」探し

花言葉

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一瞬で散った全ての命は、紅い薔薇へと蘇った。

私の目の前には、彼の腰にさしていた剣が地面に差してある。
 その剣に見覚えがあって見つめていた時だった。

「封印するか」

番人は無表情で、残酷な言葉を吐いた。

「え?」
「このオーバードライブで『時』が暴走するかもしれないんだ。『時』の神は脆く儚く危うい人だから、自分がオーバードライブを起きる前に止められなかった事を知ると壊れてしまう人だから……」

苦笑しながらも番人は剣の前まで歩みよる。

剣にも薔薇のつるが巻き付いていて、白と赤とピンクの薔薇が咲き乱れていた。

「俺は『時』の番人だから都合が悪い『時』は封印しなきゃいけない……」

そして私を見て口元だけニヤリと笑った。

「まぁ封印しても、400年後に君が封印を解こうとしてしまうんだけどね」

え?

え……?

ええー……?
もしかしてこの剣は、私が空に吸い込まれそうになった時に捕まった剣?

私はオーバードライブの『時』の中では、過去も未来も存在しているの?

と、言っても私の「今」がオーバードライブのいつの「時」なのかは分からないけど……。

「剣に巻き付いているつるには棘がないね……」

地面に咲く薔薇には棘があるのに、と。

「知ってる?薔薇の花言葉…」

棘のない薔薇は
  “貴方を尊敬します”

「それが答えだね……」

静かに微笑んだ。

あと、彼女が咲かせたピンクの大輪の花言葉は『子を授かりました』

赤と白の美しい調和の薔薇の花言葉……。

「薔薇の色によって花言葉は違うし、いくつも意味は存在するけれど」

そう思った方が少しは気が晴れるからね。

悪戯した子どもの様に微笑みながら、彼は静かに【オーバードライブ】を封印してしまった。

花言葉を話す一時の間に、残酷な長い時間を隠してしまった。

だから貴方は頷いたんだね。

研究生が言ったあの言葉に。

貧乏クジ。
皆を守る為に封印したのに、番人サン一人のエゴの様に見方によって見えるよね……。
その不器用な人は一体どんな風に生きてきて、どんな事を思い番人なんてしてるのかな……。

気になったから見つめてみたら、そっと指で口元を押さえて秘密って言った。

私の心を見透かしたかのように。

「番人さん。私、自分と同じ顔の人に会ったの。彼女も私も西の国の王子を知ってるかもしれない……」

「そっか。君の『時』の手掛かりが見つかり始めたんだね」

おめでとう、と言ってくれた。

「『時』の果ての中にあるなら、番人さんに連れて行ってもらうとか出来ますか?」

番人さんは辛そうに静かに首を振った。

「無理。俺は君の時間に関与できないんだ。俺が『時』を守る番人という立場である以上……」

何か隠しながら、それを私に気付かれないように……。

「そうですか……じゃああの子の所にどうやって行けばいいの?」

「その子の所に君の『時』間が眠っているのなら必ずまた会えるよ。俺はその少女と会おうと思わない。ごめんね」

少女はまた自分の『時』を探しに行ってしまった……。
そっか。

そういうことなんだ。

もうあの『出会い』から何百年も経っているんだね。

だから、また君と会えたんだ。

どこの『神』の差し金かな?

運命なんて諦めてたのに。

誰の陰謀かお節介か気まぐれか……。

俺が会った事のない神の仕業か……。
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