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「時」探し
化 物
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「どう? オーバードライブについて、何か分かった?」
悲しく笑う「時」の番人が現れた。
相変わらず、笑顔が下手くそで、私が傷つけた人。
――もう目を覚まさなきゃ、いけないのかな?
だって、歌が聞こえるの。
「戦争」
私が呆然としながらつぶやくと、下手糞な笑顔で誤魔化した。
「悲しい時間しか流れていなくて、苦しくなる」
でも、それでも西の国の王子様は、傷だらけであの時間をさ迷っている。
「時」に関与されず、いつも同じメロディで。誰の声も届かない場所で。「貴方は『時』の番人なら、全ての『時』の管理をしているの?」
「それは否、かな?」
ん~と考えながらも即答した。
「教えて。『東の国の王子様』はどうなったの?」
西の国の王子には聞けなかった。
ぼんやりと微かに命の灯を宿しながら、自分の気持ちを隠して、全てを拒絶していたから。
「大丈夫。彼は『風』の番人だから」
今も生きて、いる。
ただ、愛しい人の幸せを願って。
「番人って沢山いるのね」
じゃあ、彼女の元にまた帰ってくるのかな?
「オーバードライブ、私はよく分からないの。大きな爆発音の後に、灰の空に佇む西の国の王子を見た事だけしか」
それ、も自分の「時」を探していた途中に垣間見ただけに過ぎない。
「西の国の王子様、東の国の人たちから逃げ出した時、私みたいに闇に包まれていたの」
「時」の番人は悪戯するみたいに笑った。
「オーバードライブを起こした西の国の王子様、ね。たった一言の過ちから、
全てを失った駄目な王子様、だ」
と番人は笑った。
「人前にはもう、出てこないだろうよ」
視界は、私と番人が初めて会った「時」の果て。
もしかしたら私は「時」を垣間見ながら、この場所から動いてないのかもしれない。
「化物は空想の人物にならなきゃ、な」
番人は哀しい顔を、前髪で隠しながら、
残酷な言葉を平気で吐き出す。
「化物の、あいつは。逃げなきゃね、世界の全てから。醜い、醜い人殺しだから」
「…でも」
何故、か分からないけれどそう思った。
何故、か分からないけれど、残酷な言葉を番人さんからは聞きたくなかった。
「でも、私見てたから。西の国の王子様は化物じゃないよ」
だって、灰空の下、その場景に愕然としてた。
嗚咽になっても涙は止まらなかった。
怒鳴るような叫び声で、『止めて』って。
「心はあると思う。心ない化物だったら、泣くはずないよ。」
国が破壊されて、絶望しないわけないよ。
あんな場景になってしまって、傷つかない訳ないよ。
だから、私は真っ直ぐ番人さんを睨みつけた。
今言った残酷な言葉を否定してほしくて。
前髪で隠れた瞳をじっと見つめながら。
番人さんの表情は硬いままだったのに、フッと地面を見つめて、そして私に向き直った。
そして「ありがとう」と不器用に笑った。
「あいつも俺も嬉しいよ」
「時」の番人さんは、ゆっくり時のベールに包まれながら、首をかしげて、まるで懺悔するかのように、私を真っ直ぐ見つめていた。
「全てを知っても、嫌わないで」
「時」で心を隠しながら、「時」で心を硬く閉ざして
「違った、
全てを思い出しても、だった」
私の知っている人によく似ている気がした。
そして、また「時」の中に逃げていくんだ。
彼は何に怯えているのだろう。
彼は何に悔いているんだろう。
「時」の果てで一人で。
何を思い生きているんだろう。
何か一欠片でも教えてくれたら、私の「時」間探しは終わるのに。
悲しく笑う「時」の番人が現れた。
相変わらず、笑顔が下手くそで、私が傷つけた人。
――もう目を覚まさなきゃ、いけないのかな?
だって、歌が聞こえるの。
「戦争」
私が呆然としながらつぶやくと、下手糞な笑顔で誤魔化した。
「悲しい時間しか流れていなくて、苦しくなる」
でも、それでも西の国の王子様は、傷だらけであの時間をさ迷っている。
「時」に関与されず、いつも同じメロディで。誰の声も届かない場所で。「貴方は『時』の番人なら、全ての『時』の管理をしているの?」
「それは否、かな?」
ん~と考えながらも即答した。
「教えて。『東の国の王子様』はどうなったの?」
西の国の王子には聞けなかった。
ぼんやりと微かに命の灯を宿しながら、自分の気持ちを隠して、全てを拒絶していたから。
「大丈夫。彼は『風』の番人だから」
今も生きて、いる。
ただ、愛しい人の幸せを願って。
「番人って沢山いるのね」
じゃあ、彼女の元にまた帰ってくるのかな?
「オーバードライブ、私はよく分からないの。大きな爆発音の後に、灰の空に佇む西の国の王子を見た事だけしか」
それ、も自分の「時」を探していた途中に垣間見ただけに過ぎない。
「西の国の王子様、東の国の人たちから逃げ出した時、私みたいに闇に包まれていたの」
「時」の番人は悪戯するみたいに笑った。
「オーバードライブを起こした西の国の王子様、ね。たった一言の過ちから、
全てを失った駄目な王子様、だ」
と番人は笑った。
「人前にはもう、出てこないだろうよ」
視界は、私と番人が初めて会った「時」の果て。
もしかしたら私は「時」を垣間見ながら、この場所から動いてないのかもしれない。
「化物は空想の人物にならなきゃ、な」
番人は哀しい顔を、前髪で隠しながら、
残酷な言葉を平気で吐き出す。
「化物の、あいつは。逃げなきゃね、世界の全てから。醜い、醜い人殺しだから」
「…でも」
何故、か分からないけれどそう思った。
何故、か分からないけれど、残酷な言葉を番人さんからは聞きたくなかった。
「でも、私見てたから。西の国の王子様は化物じゃないよ」
だって、灰空の下、その場景に愕然としてた。
嗚咽になっても涙は止まらなかった。
怒鳴るような叫び声で、『止めて』って。
「心はあると思う。心ない化物だったら、泣くはずないよ。」
国が破壊されて、絶望しないわけないよ。
あんな場景になってしまって、傷つかない訳ないよ。
だから、私は真っ直ぐ番人さんを睨みつけた。
今言った残酷な言葉を否定してほしくて。
前髪で隠れた瞳をじっと見つめながら。
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そして「ありがとう」と不器用に笑った。
「あいつも俺も嬉しいよ」
「時」の番人さんは、ゆっくり時のベールに包まれながら、首をかしげて、まるで懺悔するかのように、私を真っ直ぐ見つめていた。
「全てを知っても、嫌わないで」
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「違った、
全てを思い出しても、だった」
私の知っている人によく似ている気がした。
そして、また「時」の中に逃げていくんだ。
彼は何に怯えているのだろう。
彼は何に悔いているんだろう。
「時」の果てで一人で。
何を思い生きているんだろう。
何か一欠片でも教えてくれたら、私の「時」間探しは終わるのに。
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