英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

篠原愛紀

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それからそれから。

それからそれから。七

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「私の人生全てを賭けて幸せにします」

さっきの台詞は後半はただただ可愛いとしか言ってないような気がするんだけども。
素直に嬉しいと思う。
私の姿をそう思ってくれる人がデイビーで本当に良かった。
私もこの気持を伝えたいし、もっともっと気持ちを貴方へ届けたい。

だから私も自分の人生全てを賭けて幸せになってみせる。

「ストール……本当はとても嬉しかったよ」

「じゃあ、この桜の木にいつ花が咲くか賭けましょうか」

雪が溶けて、まだ濡れて輝いている桜の木を見上げて、デイビーはそう言う。

「そうですね。何を賭けますか?」

ふふと自信ありに私が笑うと、デイビーも自信満々に微笑み返してきた。


「そうですね。行ってきますのキスも毎日お願いしてもらいたいです」

「分かりました。私が負けたら、ですけどね」
お腹を擦りながら、私も不敵に笑う。

ふふ。私だって楽しく、賭けをしてあげるんだから。

「美麗は?」

「私は」
後ろをちょっとだけ振り返り、右手を耳元に寄せると小さく答えた。


――父やデイビーみたいな優しくて暖かい雰囲気の男の子が欲しいです。


後ろに私ごと倒れたデイビーは、いつもの余裕な顔で、甘い言葉を呟かなかった。
私がそんな大胆な言葉を言って腰でも抜かしたのかと起き上がろうと上半身を浮かした瞬間、デイビーが先に起き上がる。

私を見下ろすデイビーの顔は、極上に甘くそして真っ赤で優しい顔つきだった。


「煽った貴方が悪い」


「デイビーがどんな顔をするのか、賭けてみたんです」

驚いてうろたえてくれるかと思ったのに。

「じゃあ、私は初めて負けましたか?」
「いいえ。予想以上に嬉しい表情をしてくれました」

畳に流れおちた私の髪を、指でくるくると掬い、口元に持ってくると深き口づけを落とす。
その色っぽい唇が、好き。触れて欲しくなる。

「じゃあ、桜が咲く賭けは私も負けても勝っても幸せだからどちらでも嬉しいです」

――私もです。
だから、いっぱいキスしていっぱい抱き締め合って、もっともっと甘い恋の賭けをしよう。

優しくデイビーの唇に触れると、手首を捕まえられてそのまま捕われるように甘いキスをした。

ずっとずっと甘い賭けの中にいるような、捕えて離さない優しいキスを。
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