とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

篠原愛紀

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五、溺愛×賞味

五、溺愛×賞味⑬

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 その後、慌てた麗一さんとクスクス笑う喬一さんに連れられて、産婦人科へ。
 車の中で真っ青になる麗一さんに、お姉さんは私の大根剣のことをまるで武勇伝のように語っていた。

「いやあ、腹黒い愚弟だから心配だったけど、顔だけでお嫁さんを選ぶ馬鹿じゃなくて良かったわ」
「すいません、すいませんっ」
「なんで謝るのよ。私も今度は大根で殴るわ」
「食べ物を粗末にするな」

 お姉さんと喬一さんが言い合いになるも、さっきのような緊迫した様子じゃない。
 子犬がじゃれているような、微笑ましい口喧嘩だった。

「あの、お腹、喬一さん、お腹大丈夫ですか?」
「あとで確認していいよ」

肩を引き寄せられて、髪に唇を押し付けてくる。
良かった。大根のダメージは少ないらしい。

 正月休みにも関わらず、おねえさんが通っている産婦人科だったので一階を開けて女性の先生が診察をしてくださった。聖マリアンナクリニックと看板が見えたが、産婦人科というよりまるで結婚式場かホテルのような豪華な施設で驚いた。

 診察を待つ間、急いできたせいで手に大根を持っている喬一さんに、麗一さんとお姉さんが大爆笑していたから、恥ずかしい。

 そしてお姉さんと――なぜか私まで見てもらったのだけど。


 母体共に異常がないと診断されたお姉さんは、麗一さんとともにティールームへ。
 ついでだからと、三か月検診を受けることにしたらしい。待っている間、ティールームでお茶を飲むらしい。

 私は、診察室に呼ばれ、何故かエコー写真を見せられていた。

「まだね、エコーには全く映らないんだけど、まあたぶん、これかしらね」
 上品そうな先生が、クスクス笑いながらエコー写真を見せてくれた。
「三週間目じゃ、エコーには映らないのよ」
「……嘘」


「さんしゅうかん?」

「三週間で気づくってことは滅多にないのよ。不妊治療中とか基礎体温を欠かさずつけている人とかは気づくけども」
「さんしゅうかんって、その、え……ええ?」

 大根を車に置いてきた喬一さんが隣に座って、私の手を握ってくれた。

「ずっと微熱が続いていたから、多分そうだろうなと思っていたんだ」
「……ええ?」

「この、小さな黒い点が赤ちゃんだと思う。まだ確認はできないけど検査薬では確認できる段階でね――」
「えええ、私のお腹に赤ちゃん?」
「おめでとうございます。是非、うちで産んでくださいね」

 先生と喬一さんの言葉に、一瞬気絶してしまった私は落ち着くまで、客室に案内されてしまったのだった。
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