神様のうそ、食べた。

篠原愛紀

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四  あの夜のこと

四  あの夜のこと 二

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どんな顔をしていいのか分からず、あたふたしていると、真くんはにっこり笑った。

「えんそくで、はなそうね。ぼくがつれてきてあげるから」

そうにっこり無邪気に笑われると何も言えない。

「うん。ありがとう」

そう言うと、真君も満足したのか、ビニールシートの上に走っていく。

でも、今は部長とまともに話せないし、何を話していいかわからないし、そもそも今は会いたくないし。

気持ちが追いつかなくてぐるぐるするんだもん。

「みなみ先生と明美先生」

土を親の敵のように掘り起こしていると、園長先生に呼ばれた。

園長先生は、灰色のシスター服を乙女のように靡かせて笑いながら手を振っている。
還暦は過ぎてると笑っていたのにこの上品さ。

「そろそろ隣の教会のミサにも行ってみて欲しいんですが、大丈夫ですか?」

「ミ、ミサ!?」

「先生たちには年3回は行って貰うようにお願いしているのよ。神父は私の兄だから、そんなに本格的にはしないから大丈夫よ。子どもに教える立場ですから雰囲気だけでも知って欲しいの」
園長先生は洗礼を受けるぐらい熱心な方だとは知っていたけど、あまり押し付けたりしないから好感が持てる。

週に一回、保育所でもミサに教会に通うのだから勉強は必要なのは当然だよね。

「あと、うみたまごのお土産ありがとう。レポート、忘れないでね」

「レポート!?」

「何処が子どもにとって気力的な場所だったとか、此処は危険な場所だったとか、レポート用紙で一枚にまとめて提出してね。遊びに行かせたわけじゃないので、一応ってことで」

うふふふ、と笑う園長先生はさすがです。


そっか。私はメモしたりコース回ったけど、明美先生は大丈夫かな?

ちらりと見るとやっぱり顔面蒼白。
……遊んでたもんね。思いっきり。

「まあ、金曜日の親子遠足の反省と一緒に出してもらえばいいからゆっくりで良いわよ」

そう優しく気遣ってくれるけど、やっぱり仕事は仕事。


何処で働いたって、どんな職種だって大変なのには変わりないんだね。

「うわあああん。ヤバいヤバい! セイウチとイルカのショーしか覚えてない! 親子遠足で危険な場所探さなきゃ!」



慌てふためく明美先生に苦笑しながら、問題の夜は近付くのでありました。
私は悪いことしていないのに、なんだか後ろめたくて。


夕飯は、侑哉の大好きな海老フライにから揚げにフライドポテト。
おまけのポテトサラダにはたっぷりのマヨネーズ。

部活をしていた時はこのメニューをご飯三杯は食べていた気がする。
そりゃあ大きくなるわけだ。



あんなにがっしりした腕や肩、抱きしめられたら安心できる胸。


――て私は何を考えているのか。
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