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はじめての異世界 ―ウィリデ探訪編―
エルネスへの依頼
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エルフの長(おさ)の代理人であるヨセフから具体的な出発日を聞かなかったので、その日が来るまでエルネスと魔術の修練を続けていた。
オオコウモリの討伐で受けたダメージは回復して、日に日に己の成長を感じることが増えていった。
そんな日々がいくらか続いた後、宿舎にリサがやってきた。
俺はエルネスのところへ出発しようとするところだった。
「何日かぶりね? 元気にしてた?」
「そうだね、そっちこそ元気だった?」
「伝達係というのも疲れるのよ。ひどいわ、若いからって小間使いにして」
彼女は頬を膨らませるようにして、不機嫌そうな表情を見せた。
その様子が何だか可愛らしく思えた。
「エルフの人は見た目よりも年齢が高いよね。リサは何才なの?」
「私は30才。エルフの中じゃ若い方よ。それであなたは?」
「俺も30才だ。同い年だったのか」
ただの偶然としても素直に驚いた。
彼女はとても同い年に見えないが。
「ええっ、ふざけてる? 30才には見えないわ」
「そんなことで嘘をつかないよ」
免許証でも見せようかと思ったが、ここでは通じないだろう。
ちなみにリサは十代後半、せいぜい二十代前半ぐらいにしか見えない。
うっかりしていたが、ここに来たということは何か用事があるはずだった。
会話をできた喜びに浮かれて、聞くべきことを脇においてしまっていた。
「俺に会いに来たということは大森林に行ける状態か確認にきたんだろ?」
「ふふっ、お見通しね。その通りよ」
彼女は座るわねといって近くの椅子に腰かけた。
「体調なら見ての通り、すっかり復活してるよ」
「それなら問題ないわね。大森林の中では私も護衛につくけれど、一人だけでは戦力不足なの。それでエレノアから推薦があって、エルネスが候補に上がってる」
聞き慣れた名前が出てきて安心した。
彼が一緒なら心強いだろう。
「……ふーん、そんな話になってたんだ。たしかにエルネスなら気心も知れてるし、実力は申し分ないから適任だと思う」
リサに告げられて少し驚いたものの、おそらく最良の選択なはずだ。
それに他の候補が思い浮かばない。
「とりあえず、あなたの許可は下りたわね。あとはエルネスに確認しないと」
「それなら今から行くつもりだったから、彼のところへ一緒に行く?」
「そうね、そうさせてもらうわ」
俺たちは話を切り上げると魔術組合に向かって歩き始めた。
リサの歩くペースが早いせいか、彼女に合わせているといつもより短い時間で到着した。彼女は先に進んで魔術組合のドアを開けた。
建物の中に入るとエルネスにミーナ、それと見知らぬ人が数人いた。
部屋にいる全員で何やら話し合っているようだった。
「カナタさんと……リサですか。珍しいですね」
「あらあら、久しぶり。エレノアから話は聞いてる?」
エルネスはリサの来訪に驚いているようだが、彼女はすぐに本題を切り出した。
「リサが来たということは大森林に行く話でしょう。ちょうど留守にしている間のことについて話していたところです。もうすぐ終わるので、少し待っていてください」
「そう、それじゃあ続けてちょうだい」
二人の会話はそこで終わって、エルネスは話し合いに戻っていった。
特にやるべきことはなく、そのまま様子を見ることにした。
「――お待たせしました。これで僕が不在の間も大丈夫でしょう」
「今更詳しい説明は必要ないわね。あなたにカナタの護衛を頼みたいの」
「エルネス、俺からも頼む」
彼はにっこりと笑って、もちろんと答えてくれた。
俺はリサと視線を交差させて互いに頷き合った。
「大森林に行くだけならともかく、フォンスまで抜けるとなると長旅になりますね。たしか、カナタさんと同じ国の方も行くのでしょうか」
「それなんだけど、同行する予定だった友人が行けなくなってしまって、今回は一人でお願いします。目的地は大森林の先のままで」
メールやチャットがあるわけではないので、適宜伝達する必要があると実感。
リサは成り行きを見守るように静かなままだった。
「リサ、僕は街育ちだから旅程が分からないので、どれぐらい準備が必要なのか分かりません。その辺りはどのように考えているのでしょうか?」
「それなら心配いらないわ。森のエルフは今回の旅を協力するつもりだから、最低限の食料や装備があれば大丈夫。二人も魔術師がいるなら武器はそこまでいらないと思うわ」
リサははっきりとした声で宣言した。
それを聞いてエルネスは何度か頷いた。
「……えーと、ちなみに俺が準備しておいたほうがいいものはありますか?」
「うーん、そうね……着替えを用意してあれば十分じゃないかしら」
「カナタさん、必要な準備は僕とリサに任せてください」
エルネスは力強くいった。
分からないことも多いので、二人に任せることにした。
「カナタの体調も大丈夫そうだし、準備の時間を計算して……二日後に出発しましょう。馬車の用意は必要ないから、そんなに手間のかかることはないわ」
「そうですね、今日を含めて二日あれば十分でしょう」
この世界に馬がいると知ったのは新情報だった。
それと馬を使わないということは徒歩の旅になるのだろう。
少々先が思いやられるが、言われた通りに着替えをしっかり用意しておこう。
オオコウモリの討伐で受けたダメージは回復して、日に日に己の成長を感じることが増えていった。
そんな日々がいくらか続いた後、宿舎にリサがやってきた。
俺はエルネスのところへ出発しようとするところだった。
「何日かぶりね? 元気にしてた?」
「そうだね、そっちこそ元気だった?」
「伝達係というのも疲れるのよ。ひどいわ、若いからって小間使いにして」
彼女は頬を膨らませるようにして、不機嫌そうな表情を見せた。
その様子が何だか可愛らしく思えた。
「エルフの人は見た目よりも年齢が高いよね。リサは何才なの?」
「私は30才。エルフの中じゃ若い方よ。それであなたは?」
「俺も30才だ。同い年だったのか」
ただの偶然としても素直に驚いた。
彼女はとても同い年に見えないが。
「ええっ、ふざけてる? 30才には見えないわ」
「そんなことで嘘をつかないよ」
免許証でも見せようかと思ったが、ここでは通じないだろう。
ちなみにリサは十代後半、せいぜい二十代前半ぐらいにしか見えない。
うっかりしていたが、ここに来たということは何か用事があるはずだった。
会話をできた喜びに浮かれて、聞くべきことを脇においてしまっていた。
「俺に会いに来たということは大森林に行ける状態か確認にきたんだろ?」
「ふふっ、お見通しね。その通りよ」
彼女は座るわねといって近くの椅子に腰かけた。
「体調なら見ての通り、すっかり復活してるよ」
「それなら問題ないわね。大森林の中では私も護衛につくけれど、一人だけでは戦力不足なの。それでエレノアから推薦があって、エルネスが候補に上がってる」
聞き慣れた名前が出てきて安心した。
彼が一緒なら心強いだろう。
「……ふーん、そんな話になってたんだ。たしかにエルネスなら気心も知れてるし、実力は申し分ないから適任だと思う」
リサに告げられて少し驚いたものの、おそらく最良の選択なはずだ。
それに他の候補が思い浮かばない。
「とりあえず、あなたの許可は下りたわね。あとはエルネスに確認しないと」
「それなら今から行くつもりだったから、彼のところへ一緒に行く?」
「そうね、そうさせてもらうわ」
俺たちは話を切り上げると魔術組合に向かって歩き始めた。
リサの歩くペースが早いせいか、彼女に合わせているといつもより短い時間で到着した。彼女は先に進んで魔術組合のドアを開けた。
建物の中に入るとエルネスにミーナ、それと見知らぬ人が数人いた。
部屋にいる全員で何やら話し合っているようだった。
「カナタさんと……リサですか。珍しいですね」
「あらあら、久しぶり。エレノアから話は聞いてる?」
エルネスはリサの来訪に驚いているようだが、彼女はすぐに本題を切り出した。
「リサが来たということは大森林に行く話でしょう。ちょうど留守にしている間のことについて話していたところです。もうすぐ終わるので、少し待っていてください」
「そう、それじゃあ続けてちょうだい」
二人の会話はそこで終わって、エルネスは話し合いに戻っていった。
特にやるべきことはなく、そのまま様子を見ることにした。
「――お待たせしました。これで僕が不在の間も大丈夫でしょう」
「今更詳しい説明は必要ないわね。あなたにカナタの護衛を頼みたいの」
「エルネス、俺からも頼む」
彼はにっこりと笑って、もちろんと答えてくれた。
俺はリサと視線を交差させて互いに頷き合った。
「大森林に行くだけならともかく、フォンスまで抜けるとなると長旅になりますね。たしか、カナタさんと同じ国の方も行くのでしょうか」
「それなんだけど、同行する予定だった友人が行けなくなってしまって、今回は一人でお願いします。目的地は大森林の先のままで」
メールやチャットがあるわけではないので、適宜伝達する必要があると実感。
リサは成り行きを見守るように静かなままだった。
「リサ、僕は街育ちだから旅程が分からないので、どれぐらい準備が必要なのか分かりません。その辺りはどのように考えているのでしょうか?」
「それなら心配いらないわ。森のエルフは今回の旅を協力するつもりだから、最低限の食料や装備があれば大丈夫。二人も魔術師がいるなら武器はそこまでいらないと思うわ」
リサははっきりとした声で宣言した。
それを聞いてエルネスは何度か頷いた。
「……えーと、ちなみに俺が準備しておいたほうがいいものはありますか?」
「うーん、そうね……着替えを用意してあれば十分じゃないかしら」
「カナタさん、必要な準備は僕とリサに任せてください」
エルネスは力強くいった。
分からないことも多いので、二人に任せることにした。
「カナタの体調も大丈夫そうだし、準備の時間を計算して……二日後に出発しましょう。馬車の用意は必要ないから、そんなに手間のかかることはないわ」
「そうですね、今日を含めて二日あれば十分でしょう」
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